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清掃依頼 2


朝だ、今日は普通に目が覚めた、特に変わったことも無い

どうやら夢を見なかったみたいだ、おはようございます


今日は下水道清掃の続きをする予定だ

昨日考えた魔法が使えれば良いのだが…

結局白い塊を落とすための案は出なかった、せいぜいシャベルみたいな物が有れば良いな程度だ

仕方がない、やれる範囲で頑張るとしよう


「マスターはよ~」


マスターが一瞬ビクッっと反応した、どうしたのだろうか


「…あ、ああ、おはよう」


「何か有ったのか?」


「まぁ、坊主しか客が居ないんだ、問題ないか。

 お前、臭いぞ?」


「え?まだ落ちてないのか?」


「ああ、物凄く臭いって訳では無いが、近くにいると、かなり匂うな」


「マジか…実は今日も同じ依頼をやる予定なんだが、どうしたら良い?」


マスターは少し考え、奥に入って行った

そして、何やら持ってきた


「こいつをお前にやる、仕事が終わったらこれで洗え」


そう言って、何か草の塊みたいな物を渡してきた


「何コレ?」


「こいつは食器を洗うのに使っている物なんだが、油汚れから焦げ付き等、とにかくしつこい汚れも取れる薬草から作られている。

 ついでに匂いとかも取れるから、そいつで体を洗う時に擦ると良い。と言うか、臭いまま帰ってくんな」


「へいへい、わかりましたよ。

 とりあえずコイツは有りがたく貰っておくわ。

 所で、氷室の氷を作っちゃおうと思うんだが、入っても良いか?」


あ、スッゲー悩んでる、多分匂いが原因だろう


「今は止めてくれ、あそこには食料も有る、匂いを取って問題が無いことが確認出来たのなら、夜、もしくは明日の朝にしてくれ」


「はいよ、じゃあ飯食べるから、くれ」


「あぁ、持ってくるが、窓際の席に…いや、悪いが今日は外で食ってくれ。

 裏庭に持って行ってやるから、そこで待ってろ」


「そこまで臭いんかぃ。

 まぁ、仕方ないか、わかったよ」


俺は裏庭に出て待っていると、マスターが台車と簡易的な椅子を持ってやってきた

台車には食事が乗っていたので、テーブル替わりなんだろう


「ほら、飯だ、食ったらそのままで良いぞ。

 俺は、他の客が来る前に、匂い取りの掃除をしなくちゃならん、だから行くぞ」


「いや、ホント、マジ、すいません」


俺はさすがに悪いと思うので、素直に謝っておく


「気にすんな」


そう言ってマスターは宿に戻って行った

じゃあ、さっさと朝飯食って、仕事に行きますか

今日の朝飯はっと、ホットサンドとオムレツ、コーシーだ

今日の朝飯は野菜系が無いな、マスターにしては珍しい、さっそく食べることにする

しかし、こうした旨そうな匂いは分かるんだが、自分の体の匂いが全く分からん、慣れてしまっているからなのだろうか

とりあえず美味しく全部頂いた


「ごっそーさん」


準備も出来ていることだし、このまま仕事に向かうことにする

処理場の事務所に到着したので、男性に声を掛ける


「こんにちは~引き続き仕事をしに来ました」


「お待ちしておりました、今日もまた宜しくお願いします」


「仕事をする前に確認なんですが、シャベルって有りますか?」


「シャベルですか、それはどういった物でしょうか?」


「あー、えっとですね、先端が平らになっているこんな形の道具なんですが」


俺は手ぶり身振りで説明をしてみた


「申し訳ありませんが、そういった道具は、こちらには有りませんね」


構造も難しくないし、有りそうな物だったんだけど、この世界には無いのかな?


「そうですか、わかりました。

 それでは仕事に行ってきます」


「宜しくお願いします」


俺は服を着替えて、下水道に降りて行くのだった

仕事場に到着し、さっそく昨日考えた魔法を試してみることにする

水を通す穴を1cmくらいの穴に通すイメージでウォーターの魔法を発動する

おお!まさに高圧洗浄と言っても良いくらいの勢いで…とはらなず、少し勢いが増えたかな程度だった


「あれれ~?間違えたかな?

 いや、もともとウォーターの魔法は水道の蛇口程度の太さだった、風とは違うんだっけ。

 じゃあもっと穴を小さくすれば良いのか?」


今度は5mmくらいをイメージして試してみる

おお!今度は結構な勢いで水が飛ぶぞ!でも、もうちょい勢いが欲しい、今度は3mmで挑戦してみる

ジャーーーー!!

成功だ!正に高圧洗浄と言っても良いかもしれない、が、あっと言う間に水が切れる…

水1つだけだからだろうか?だったら水×水×水なら結構長く出続けるのではないだろうか?試してみる

ジャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

凄い、全然勢いが止まらない、早速ヘドロに向けて水を飛ばしてみる


「フハハハハッ!面白いようにヘドロが取れるぞ~!!

 しかも予想外と言うか、白い塊も一緒に取れるでは無いか!!」


水は30分ほど出続けた、水だけだと10秒程度で、水×水×水だと30分か、試して無いが、水×水だと10分くらいでは無いだろうか?

とりあえず高圧洗浄と言う名前で覚えておくことにする


ふと、思いついたことが有る、穴のサイズを1mmにしたらどうだろうか?試してみることにする

ジーーー!!

やべっ!壁に穴が空いちまった、もしかして凄い魔法を開発してしまったのでは無いだろうか?

5mも飛ばすと飛散してしまうので勢いが無くなるが、1~2mの近距離なら十分に使えそうだ、ウォーターカッターと名づけよう


折角なので昨日考えていた、水×風も試してみることにする

うん、お花に水を上げるのに丁度良い魔法が出来た♪

おそらく使うことは無いだろうが、折角だから水やりと名付けておく


さて、気を取り直して高圧洗浄でさっさと仕事をすることにする

先ほどの魔法で実は10mほど進んでしまった、ある意味ノルマは達成したと言っても良いくらいだ

だが、魔力はあと回復する分も含めると10回は行けそうである

宿屋で氷を作らなくてはならないことを考えると7回か?できればきりの良い100mで終わらせたい

最悪、聖魔力水飲めばいいし、8回にすることにする


サクサクと洗浄を行い、見事100mの清掃が終わった、振り返ってみると、綺麗な壁が見えて気持ちが良い

これで全体の100分の1が終わったが、100分の1しかと考えるか、100分の1もと考えるかによるが、個人的には「も」を推奨したい

さて、今後の話になるが、どうしよう?

単純に考えると100日かかるって話になる、聖魔力水を飲んで時間一杯やったとしても50日か、悩む…

とりあえず今日の分を報告して、帰ってから考えることにしよう

下水道を出て、事務所に行き、男性に声を掛けた


「すいません~今日の分は終わりました~」


「ご苦労様です、大変だったでしょう」


「そうですね、でも、効率よく行う方法が見つかったので、少し楽になりました。

 なので、もう少し頑張ってみようと思います」


「そうですか、それは凄くありがたいです」


「参考になのですが、この仕事って、どのくらいの人が来るんですか?」


「そうですね、新人の方がお金目当てで来ますが、1度やると次は来なくなりますね。

 それが月に1人か2人くらいでしょうか、なので私が酷い箇所を定期的に清掃する感じになります。

 だから、あなたが来てくれて、しかも数日やって頂けるのは、本当に有難いと感謝しております」


やっぱり大変な仕事だし、そんなものかもしれない

俺も最初、普通に対応した時は1日に10mが限度だ、十分な稼ぎとは言え、魔法が無かったら昨日で辞めていたかもしれない

今は効率が良くなったおかげで、昨日と今日で金貨1枚の稼ぎだ、匂いの件さえクリア出来れば悪くない話かもしれない

人のためにもなるし、とりあえず最低でも1kmまでは頑張ってみることにしよう


「わかりました、俺も頑張れるだけ頑張ってみます。

 今日はもう上がりますので、また明日来ます」


「宜しくお願いします」


俺は事務所を出て、体を洗うことにする

今回はマスターから貰った秘密兵器がある、どうなるか期待が高まる

タライに水を張り、まずは簡単に汚れを落とす、これだけでも汚い水が出来た

水を捨て、新しい水を張り、今度は例の草の塊を使って洗う

石鹸みたいに泡立つとかではないが、ほんのりハーブの匂いがして、悪くない

一通り洗うと、やっぱり汚い水が出来ていた

もう一度水を捨て、再度水を張り、もう一度洗う、今度はほとんど汚くならなかったので、おそらく綺麗になったのだろう

軽く水で洗い流して終わりにする、ついでに服にも匂いが付いていると思われるので、洗濯しておく

着替えて、スッキリしたんだが、本当に匂いも落ちているんだろうか?


「くんくん…やっぱり自分じゃ良く分らん…

 誰かとすれ違えば、ハッキリするだろう」


さて、まだ日は高いが疲れたし、帰ることにする


実際、高圧洗浄で物を洗うのは気持ちがいいです

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