氷室を作ってみた
「やめろ!やめるんだ!シ〇ッカー!!
最後の楽しみに取っておいた、俺のポテチの残りかすを食べるなんて、貴様は鬼だ!悪魔だ!怪人だ!!」
ガバッ!
「…あれ?ポテチは?ん?ポテチってあれ?」
どうやら夢を見ていたらしい、何の夢を見たかは忘れたが、とてつもない悪夢を見たような気がする
きっと世界の破滅とかそんな感じの夢だったのだろう、おはようございます
今日は冒険者としての仕事は休む予定である
昨日の樽の状態を確認してから、今後の冷えたエール化計画を決めるのと、師匠の所に行ってみる予定だ
よし、まずは昨日の確認に向かうことにした
「マスターはよ~」
「坊主、来たか」
「で、昨日のエールの状態はどんなもん?」
「まずは飲んでみろ」
マスターがエールを出してきた、ジョッキではなく、試飲程度の一口サイズだったが、チッ
とりあえず貰ったエールを飲んでみる…
常温よりは低いが、冷たいでは無いな、初めて飲んだのなら悪くないと思うが、キンキンに冷えたエールを飲んだ後では物足りない
「悪くは無いけど、キンキンに冷えたのから比べると微妙だな」
「やっぱりそうか」
「結局、どのくらいまで冷えていたんだ?」
「個人的な判断になってしまうが、美味しいと思えたのは3の時間が過ぎるくらいだな」
「まぁ、実際そんだけ冷えていたら十分だと思うよ。
冷たいのを維持できる方法が無い場合は、客に出すのは2つの時間と半分くらいまでにしておいた方が良いと思う」
「ああ、今の所はそうするつもりだ。
それで坊主、何かいい方法とか思いついたか?」
「思いついたのは2つだな、氷室と魔法瓶だ」
「何だそれは」
「まず氷室ってのは、冬に洞窟や地下室に雪を詰めて氷を作って冷やす部屋の事だ、地下や洞窟は温度が変わりにくいため、環境にもよるけど、半年は持つぞ」
「今は初夏だから雪なんか無いぞ?」
「だから、それを魔法で代用できないかって話、試してみなければ分からなけどね」
「なるほど、で、もう一つの魔法瓶ってのは何だ?」
「断熱材、もしくは真空を作って熱伝導をカットする方法なんだけど、こっちは技術的に難しいと思う」
「だんねつ?しんくう?何か良く分らんが、無理ってことだな。
それじゃあ氷室ってやつなら出来そうだな、幸いなことに、ここには地下室がある。
坊主が言っている通りに温度が低いから、野菜とかを保管している」
「んじゃ、今日は狩りとか行かないし、試してみよーぜ!
マスター、水を貯められる大きな入れ物とかって有る?」
「湯あみに使用するタライくらいしか無いな」
「あれか、まあ飲んだり食べたりする訳じゃないし、実験だから良いか。
んじゃタライ3個とエールが入ってる樽3個地下室に運ぼう」
まずはタライを持って地下室へ行く、地下室はキッチンの中に扉があり、そこから地下室へ行けるみたいだ
階段を降り、地下室の扉を開けると、そこには地上と違ってヒンヤリした空気が有った
「お、これなら期待以上の効果があるかもしれないな。
で、マスターよ、タライ何処に置く?」
「こっちは野菜が置いてあるから、そこの角が良いだろう」
野菜と反対側の何もないスペースにタライを設置、そこへ水を入れる
「樽は後で持ってくるとしてますは氷が出来るか実験だ、フリージング」
1回目、冷たい水が出来た
2回目、うっすらと氷が張った
3回目、1cmほどの氷になった
4回目、5cmほどの氷になった
・・・・
9回目、タライの中の水は完全に凍った
「何とか氷が出来たな、後はこの氷がどれくらい持つかだな。
マスター、後1回分しか魔力無いんだけど、どうする?」
「今日の分のエールがまだ届いてないから、とりあえず朝飯でも食べて待っててくれ。
ついでに魔力が回復する飲み物を用意してやる」
「うぃ~了解~」
俺は食堂に行き、朝食を待つことにした
「ほら、食え」
マスターが朝食を持ってきた、今日の朝食は、パンにリンゴーンのジャム、オムレツに野菜ジュースだ
確かにこのメニューならフリージング1回分のMPが3回復するな、ありがたく頂くことにする
今日は時間に余裕が有るため、のんびりと優雅に朝食を食べる、やっぱり、たまにはこういう日も作るのも良いな
「ごっそーさん。
それでマスター、エールはまだ?」
「もうそろそろなんだが…
そうだ、坊主よ、今のうちに確認しておくが、明日は10の日だがどうする?」
「うっ…ジェニファーか…
んー何か思ってた以上に平気だったのと、慣れちゃったみたいだし、そのまま継続でいいや」
「わかった」
そうこうしている内に今日の分のエールが届いた、全部で5樽か
「坊主、地下に運ぶのは3樽で良いのか?」
「んー置き場所見ながら考えたいと思う、まずは1樽持っていこう」
階段を降り、地下室の扉を開けると寒かった
「なんでこんなに冷えてるん?氷でここまで冷えんの?それとも先ほどの魔法の効果が残ってる?
まあいいや、マスターよ、こんだけ冷えているんだら全部持って来ても良いんじゃね?」
「そうだな、場所も有るし、そうするか」
5樽全部を設置し、蓋を開け、とりあえず魔法で冷やしておく
「あれ?試験で使ったやつとかは?」
「あれは通常価格用として取っておくことにする」
「そうか?個人的には常温のエールはいらん気がするが…」
「…そうかもしれんが、もしかすると飲むヤツも居るかもしれん」
「マスターの店だし、良いけどね。
んじゃこれで終了っと、後は夜まで待ってどうなるかだな。
用事が有るから出かけてくるが、とりあえず夕刻になったら帰ってくるわ」
「おう、一応こちらも温度とか気にしておく」
俺は宿を出て、師匠の所に向かうのだった
富士山の氷穴は夏でも寒いです