草刈り依頼
目が覚めた、どうやら昨日の事は引きずっていないようだ
よし!気分一新!頑張るぞ!!
そういえば昨日はステータスのチェックをしていなかったな
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名前:ハル
年齢:20
状態:普通
LV:2
HP:15/15
MP:30/30
STR:9
VIT:5
AGI:4
INT:17
DEX:22
LUK:3
スキル:
投擲Lv3(new)、言語理解、剣術Lv1、激おこぷんぷんLv4、魔力操作Lv3、生活魔法Lv3、鑑定Lv3、隠密Lv2、解体Lv3、調合Lv3、索敵Lv2、直感Lv1
称号:命100、ケモナーLv2、暗黒変態紳士、ロッテの弟子、ショーボン創造神の加護、中二病(new)
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やった、投擲のレベルが上がったぞ!
道理で命中しやすくなってきた訳だ、そろそろ中級者も見えてきたことだし、ふっ…自分の才能が怖い!
後、気になるのは称号の中二病だが、また変なのが増えたよ、これって称号なのか?それにどんな効果があるんだろうか?
やっぱりこの称号が付いた理由は、調子こいて呪文を唱えたのが悪かったんだと思う、次からは気を付けることにしよう
ふと思ったが、魔法使いはみんな中二病の称号を持っているのかもしれない
しかしケモナーは俺自身も自覚しているから良いとしても、暗黒変態紳士とか中二病とか消せないだろうか?
これだと人に見せられん、まー見せる物でもないのかもしれないが、いざ見せることが有った場合、恥ずかしいではないか
でも、ケモナーとか中二病とかって、こっちの世界じゃ意味が通じないかもしれないな、それなら安心なんだが、どうだろうか
いつものことになってしまうが、ナタリーさんに聞いてみよう
「マスター朝飯プリーズ」
「いつもの坊主だな…待ってろ」
そう言ってマスターは朝飯を取りに行った、どうやら昨日の事はバレているらしい
「ほらよ、さっさと食って仕事行ってこい」
「なんだよ、飯くらいゆっくり食わしてくれてもいいんじゃね?」
「けっ、坊主がいると、やかましくて仕事にならん、早くしろよな」
そう言ってマスターは戻って行った
おそらくマスターなりの励ましなんだろうと思う、何だかんだでお節介焼きだからな
そうだよな?違うんだったらどうしよう?まぁ、それでも良いか、知ったこっちゃない(笑)
今日の朝飯はフレンチトーストにサラダとコーシーだ
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【フレンチトースト】
品質:B
効果:HP回復+1
砂糖、ミルクと溶いた卵に漬けて染み込ませたパンを、バターで焼き、モープルシロップをかけたもの
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説明を読むだけでも旨そうだ、でも、モープルシロップって牛からでも取れるのだろうか?それはそれで怖いな
フレンチトーストを食べる…ぱくり
ふっくら卵にシロップの甘さがたまらん、パンなのにケーキみたいで旨い!
そーいやこの世界にケーキって有るのだろうか?たまにはそういったお菓子を食べるのも良いかもしれない
フレンチトーストを食べ終えた俺はサラダを食べ、食後のコーシーを楽しむ
「ごっそーさん」
宿屋を出ようとしたら、マスターに声を掛けられた
「坊主、今日で払った分は終わりだが、継続するか?」
「そっか、じゃあまた5日分よろ~」
俺は財布から銀貨4枚を取り出し、払った
「ん、まいどあり。
ほれ、仕事行ってこい」
「あいよ、んじゃなー」
今度こそ冒険者ギルドに出発するのだった
到着したギルドは相変わらずの混雑だ、だが俺も負けてはいられん、突撃じゃあ~~~!!
ブオオォ~ブオオォ~(以下略)
勝ち取った依頼はこれだ!
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【庭の草の除去】
目的 :スキー准男爵家の庭の草の除去
期限 :終わるまで
成功報酬:(銀貨2枚)
依頼失敗:依頼放棄
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あれ?スキー准男爵家ってナイチ様の屋敷か?
嫌な予感がしない訳でもないが、まぁナイチ様の相手をする訳じゃないし、何とかなるか
さっそく依頼受付に向かおう
「次の方どうぞ~」
「ナタリーさん、おはようございます。
この依頼の受付をお願いします」
俺は依頼書と一緒にギルドカードを提示した
「ハル様、おはようございます。
草の除去作業ですね、少々お待ちください」
カードを機械に通し、受付作業を行う
「はい、受付完了しました、カードをお返しします」
カードを受け取り、称号の件を聞いてみることにした
「ナタリーさん、称号の件について聞きたいんだけど、大丈夫でしょうか?」
「称号ですか?どういった内容でしょうか?」
「称号ってどうやったら付いたり、消えたりするのか分かりますか?
後、称号が付くと何か効果とかって有るのでしょうか?」
「称号はある条件を満たした時に付くことがあります、また条件が外れた時に消えることもあるそうです。
ただ、称号はめったに表れることが無く、とても貴重なものとされています。
効果については称号次第ですね、効果が有るものから、勲章みたいにそれ自体には効果は無いものもあるそうです。
こんな感じですが、よろしいでしょうか?」
「そ、そうなんですね、よ、よくわかりました」
俺、称号が6個も有るんだが、これって異常だよな?変な内容なのも多いが…
そうか、条件によって増えたり減ったりするのか、覚えておこう
「それではナタリーが受け付けました。
頑張ってくださいね♪」
ナタリーさんが笑顔で見送ってくれた
やっぱり美人さんの笑顔は元気が出る、頑張ろうって気になるな
それじゃスキー准男爵の屋敷へ向かうことにした
屋敷に到着し、ノッカーを叩く
扉が開き、そこには執事と思われる老紳士が居た
「スキー准男爵家に何か御用で?」
「冒険者ギルドから依頼を受けて来たのですが」
そう言って依頼表を執事へ提出した
「おぉ、お待ちしておりました。
今から行って頂けるで、宜しいでしょうか?」
「はい、大丈夫です」
「それではこちらへ」
案内されて着いた場所は屋敷の裏庭だった
「ここは、あまり人が来る場所では無いため、恥ずかしながら、この様な状態になってしまいました。
除草作業はこの屋敷の所から、あの木から、こちらの木の範囲をお願いします」
おいおい、これってざっと見ただけでもサッカーコート2面分くらい無いか?
まぁ、銀貨2枚の仕事だし、そんなもんなのかもしれないが
「わかりました、それで確認なのですが、草は完全に除去するのでしょうか?それとも少し残した方が良いのでしょうか?」
「出来るならば、完全除去でお願いします。
道具が必要であれば、こちらを使用して下さい。
それでは終わりましたら声を掛けて下さい、明日も行う場合は、今日の終わった時点で一度声を掛けていただければと思います」
そういって執事は去って行った
「んじゃ、やりますか」
貸し出してくれた道具は、鎌みたいに切る物ではなく、どうやら根っこ毎抜きとるための道具らしい
棒状の先端に針が3本ほど合って、使い方は草の茎を挟むように刺し、回しながら持ち上げると根っこ毎取れる道具みたいだ
面白いように根っこが取れるが、1本抜くのに5秒は掛る、と言うことは
草を抜く庭の広さは120m×180m=10800平方mくらいの広さになる
1平方mに約2000本ほどの草があるとして、10800×2000=21600000本だ
1本抜くのに5秒だから。1時間に720本か、ん?
21600000÷720=30000時間
まじめにやったら1250日!?まじか…銀貨2枚程度じゃ割に合わん、さすが貴族様だ、汚い
いや、依頼を取った俺も悪いんだけどね…道理で残っていた訳だ
しかし、まじめにやったら次から次へと生えるから一生終わらんぞ?どうする?
考えらえる最善の手としては魔法を使って対応するだが、焼き払うのが楽か?
試しに火を使ってみる、1本焼くのに1MPの使用か、ついでに時間も掛かり過ぎる
いっそのこと火×火×火でどうだ!面白いように焼けるが、せいぜい3MP使って30本が良い所か
抜くよりは断然早いが、MPの問題もあるし、効率的では無いな
そういえばホーンラビットを狩るときに穴を空けた時って草はどうなっているんだ?
試してみる、直径50cmで深さは30cmくらいだ、中は草が落ちていた、どうやら土だけが消えたらしい、それで上に生えていた草が落ちたと、埋め戻してみると単なる土の表面になった
消えた土が何処に行ったのとか、戻った土が何処から来たのかとか、色々と疑問はあるが、それを知るのも面倒だし、結果だけ知っていればどうでもいいか
でも、これならいけるぞ!どうせだから土×土×土でやったら広範囲になるのではないだろうか?
そのままだとボーリングで深い穴になってしまうから、1cmくらいを掘って、広範囲になるようにイメージする
するとテニスコート2面分くらいの草がすべて倒れている、根っこが残っているが、草を集める熊手っぽい道具を使うと簡単に根っこ毎引き抜けたので道具を使うよりよっぽど楽だ
減った分の土は気にならない程度だ、文句を言われるなら埋め戻せば良い、よし、この魔法を草刈りと命名とする
しかし、完全除去で助かった、少し残すだったら大変だったかもしれない…
草刈り魔法を使って庭の草刈りを行う、魔法を使った後は残った草をかき集め、1ヶ所に集めておく
途中でMPが尽きたので回復しながら行い、日が暮れ辺りが暗くなるころには、約7割ほどの草刈りが終了した
この調子なら明日で終わるな、とりあえず今日はここまでだ、一度報告してから帰ることにする
ドアのノッカーを叩き、執事さんを呼ぶ
「どういたしました?」
「今日は日も暮れたので、また明日作業することにします」
「さようですか、それでは明日またお待ちしております」
「今日の作業の確認はしなくても良いんですか?」
「1日程度で終わる作業では無いので、大丈夫です、終了してからの確認だけで大丈夫ですよ」
「はぁ、そうですか」
にゃろ~絶対知っててあの依頼出しているに違いない、絶対終わらなくて逃げるのを期待しているっぽいな
ある程度綺麗になっていれば、次の依頼でまた対応してもらえれば良いし、何ともズルイな
しかし残念だったな、明日には終わる予定だ、せいぜい悔しがるといい
今回の依頼は、ある意味勉強になったのは良かったと思う
貴族の依頼はこれからは注意して受けることにしようと決心し、俺は屋敷を後にするのだった
「依頼が完了していないし、ギルドへ行っても仕方がないよな。
ナタリーさんも依頼中ってことで納得してくれるだろう。
よし、帰るか」
俺は真っすぐ宿に帰るのだった
土の魔法を使った際の、穴を空く原理を思いつかなかった(汗)