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この世界の神々


「くぁwせdrftgyふじこlp!!」


言葉にならない悲鳴と共に、俺は飛び起きた


「あれ?」


廻りをキョロキョロと見回した俺は、体にも周りにも何も異常が無いことを確認して安心するのだった


「ん?安心?何に?つーか何が有ったんだっけ?

 駄目だ忘れっちまった」


ちょっと考えたが思い出せないので諦めることにした


「ま、人間諦めも肝心だよね、多分変な夢でも見たんだろう。

 うわ~服が汗でぐっしょりで気持ち悪いな、さっさと着替えて飯を食いに行くか!」


着替えたついでに洗濯もしておく、やっぱり便利だな生活魔法は

出かける準備が終わった俺は食堂へ向かうことにした


「マスター飯~」


「おう、坊主来たか、その調子だと大丈夫そうだな」


ん?もしかして今朝の夢と関係が有るのか?


「何があったんだっけ?」


「なんだ、覚えてないのか、あれだけテンパっていたし、仕方ないか。

 だけど、昨日の坊主は見ていて楽しかったぞ」


「あーナタリーさんとの会話の事ね」


全く関係が無かったみたいだ

それにしてもニヤニヤしているマスターを無視して朝食を食べることにする


今日の朝食は、パンにジャム、ハムエッグにサラダとミルクだ

マスターよ、最近手抜きが多くないか?

それでも他で食べるよりは数段旨いから文句が言えないのが悔しい…

とりあえず初見のジャムだけでも鑑定しておく


----------------------------------

【リンゴーンのジャム】

品質:C

効果:MP回復+1

リンゴーンをすりおろし、砂糖と一緒に煮詰めたもの

----------------------------------


リンゴのジャムはパンに塗って食べると甘くて美味しかった


「ごっそーさん」


食べ終えた俺は今後の予定を考えることにした

調合は問題なく行えることが分かったから、しばらくは練習あるのみだな

ナタリーさんにHPポーションの納品も約束したしな

そうすると薬草の採取とホーンラビットで解体の練習がベストか?

後は必要ないかもしれないが、一度は教会にも行ってみるのも良いかもしれない

聖水の事はもちろんのこと、この世界の宗教がどんなものかを知っておくのも、後々役に立つだろう

よし、まずは草原へ出発~


・・・・


で、草原に到着したので、薬草の採取を開始することにする

だいたい10束でHPポーションが3本分と余りが少々、30束で丁度10本になる計算だ

ギルドに売る場合、薬草だと銅貨3枚に対し、ポーションだと銀貨6枚になる、これは笑いが止まらんな

今まで頑張っても1日銀貨1枚だったのが嘘みたいだ、よーし頑張るぞ~!!


無い、無い、無いぞ~!!

何でこういう時に限って薬草が見つからないんだあぁぁ~~~!!

まさか、この世界にも物欲センサーが働くとでも言うのか!?

ちなみに今の手持ちの薬草は3束…桁が1つ足りませんが何か?

これではHPポーション1本分にも満たないではないか、正に取らぬ狸のうんたらだ


どうやらこの辺りの薬草は取りつくされているみたいだ、もう少し森の方へ行くべきか?

でも、ホーンラビット以外の魔物と戦ったこと無いんだよなぁ、ゴブリンとか出てきて戦えるのだろうか?

よく異世界物語の初心者の相手がゴブリンが多いとは言え、それはチート持ちだからであって、俺の場合は下手すると死ぬかもしれん

せめて仲間が居れば違うのかもしれないが…

考えても仕方ないか、どうせいつかは相手しないといけない魔物だ

1匹くらいだったら挑戦してみて、2匹以上とか、相手してみてヤバそうだったらとっとと逃げる、それで行こう!


俺は索敵しつつ、隠密が発動しているのか分からんが、隠れながら慎重に薬草を探す

以前、ホーンラビットに不意打ちされた経験も活かし、森以外にも注意を払う

やっぱり森近くまで来ると、ちらほらと薬草が見つかるようになった、周囲を索敵しつつ、薬草を集める

何とか目標の30束を見つけることが出来たので、退散することにする

え?ゴブリンの戦闘?んなもん知らん知らん、そんなもんは他の異世界勇者にでもくれてやるわ!俺様は安全第一なんだよ


何とか無事にいつもの平原まで戻ってきた

ふぃ~やっぱり森近くは緊張したな、でも薬草が見つからない関係上、また森近くまで行く必要は有るのかもしれない

次来るときはゴブリンとの戦闘も考慮する必要はあるだろうな、何か方法を考えておこう


街まで戻ってきたんだが、さっさと切り上げてきたため、まだお昼時だ、時間はたっぷりある

よし、気にもなっていたし、教会へ行ってみよう


途中で道を聞きながら、なんとか教会に到着した

…なんか思っていたのと違ったな、白い石造りの普通の家っぽい感じだ

地球の教会みたいな十字架が無いのは仕方がないとは言え、ωみたいな記号が入り口の上に描いてある

だめだ、某AAの口にしか見えん、何とも言えない気持ちになった

どうやら神妙な顔になっていたらしく、声を掛けられた


「何か、悩み事でも有りますでしょうか?」


振り向くと、初老に差し掛かる年配の女性が居た

こういった時のパターンだと巨乳癒し系のシスターでは無いんでしょうか?


「いえ、悩み事は無いのですが、教会の入り口のマーク?絵?を見たらちょっと何とも言えない気持ちになってしまったのです」


「そうですが、あれは教会の信仰に当たる、ショーボン神様のシンボルになります」


うをぃ!!

心の中でツッコミを入れた俺は、決して悪くないと思う


「そ、それでショボーじゃなかった、ショーボン神様はどの様な神様なんでしょうか?」


「はい、ショーボン神様は、この世界を創造した創造神として祀られております」


「創造神ですか…す、凄いお方なんですね」


俺は女性に見えないようにわき腹をつねって笑いを耐え、神妙な感じで受け答えを頑張った


「そうなんです、ショーボン神様なる偉大なお方が居るおかげで、私たちは暮らしていけるのです」


「はぁ、そうなんですね」


た、助けてくれ、わき腹の痛みだけでは耐えられなくなってきた

わ、話題を変えねば吹き出してしまう


「ちなみにこの世界には他の神様もいらっしゃるんでしょうか?」


「創造神の下に、獣人の神であるギーコキャット神様、知識と知恵の神であるイーチ神様、武力の神であるモーナ神様、商売の神であるプーン神様の四大神様がいらっしゃいます」


「す、すいません、少し席を外しても良いでしょうか?」


「まぁ、お顔が優れないようですね、ちょっと座って待ってて下さい。

 今、お水を持ってまいります」


そう言って、女性は奥に入って行った

俺はチャンスとばかり、教会を飛び出し、周りに人が居ないことを確認


「あははははははははははっ、ダメだ、腹痛い!、くそっ、何でそんな名前なんだよ!しかもスゲー懐かしい名前ばっかじゃんかよ!

 あー笑った笑った、俺、この世界の神様が、ある意味好きになれそうだ。

 とりあえず落ち着いた、あの女性が帰ってくる前に戻らねば」


俺はダッシュで戻り、一息入れた所で女性が戻ってきた


「お待たせいたしました、お水をお持ちしました」


「ありがとうございます、頂きます」


俺はゴクゴクと一気に水を飲みほした、大声で笑ったために、喉が渇いていたおかげで、水は最高に美味かった


「すっかり良くなられたようですね。

 もし宜しければ、お祈りをされていきませんか?」


「はい、是非させてください」


女性に案内されて着いた場所は聖堂だった

そこには座り込み哀愁を漂わせる感じの神像が有った


「あちらがショーボン神様の像になります。

 ショーボン神様はシャイなお方で、あの様な姿をしているんですよ」


一度落ち着いたからなんとか耐えられるが、見た目そのまんまだな

俺は神像の前まで行き、膝をつき祈りを捧げるのだった

ツーちゃんねる系の神様なら、これで行けるだろう


『V〇Pからきますた、この異世界でア〇ーンせずに、クソスレを立て、アオリ、叩き、相手をおちょくることで楽しく可笑しく生きられますように…』


こんなもんで良いだろう


「お祈りは済んだようですね、あなたにショーボン神様のお導きが有りますように」


「そうそう、こちらで聖水を分けて頂けるって聞いたのですが、どうすれば良いのでしょうか?」


「聖水は、ショーボン神様へのお布施を頂ければ、お渡しできます」


「ちなみに、お布施はいかほどで?」


「それはあなたの気持ち次第です」


あーこの世界でも、このパターンになるかよ

葬式とかで支払うお布施も値段言ってくれないから、ホント困るんだよね…

結局ネットで相場とか調べて払うんだけど、多いと何も言わないのに、少ないと遠回しに文句言うからなぁ…

こっちの世界の相場がマジ分からん、どうすっかな

銅貨はさすがに安すぎるか、銀貨?足りるか?金貨?高過ぎじゃね?

下手に反感持たせて悪い印象持たせるのもアレか、えーいままよ


「こちらでお願いします」


俺は金貨1枚を提示した


「これはこれは、大変な信仰をありがとうございます。

 あなたにショーボン神様のご加護が有りますように」


もしかして高すぎたか?まぁ、払っちまったもんは仕方がない、諦めることにする


「それでは、こちらに聖水が沸く聖なる泉があります。

 今後はご自由に利用することができます」


お、毎回お布施が必要な訳じゃないんだな、そう考えれば金貨1枚で済んだのはラッキーかな


「わかりました、ありがとうございます」


俺はとりあえず、ポーション瓶に聖水を入れて教会を後にしたのだった


誰も夢がフラグとは言ってない(マテ)

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