HPポーション調合の実験をしてみた
宿屋に着いた
「ハルさん、お帰りなさい~」
「ナンシーちゃん、ただいま」
やっぱり女の子にお帰りを言ってもらえるのは嬉しい
「ハルさん、ご飯どうしましょうか?」
「まだちょっと早い時間だし、部屋でゆっくりしてから食べるよ」
「わかりました~お待ちしてますね」
ナンシーちゃんと別れ、部屋に戻った俺は、せっかく習ったHPポーションを復習の意味でも作ってみることにする
「あっ…聖水貰ってきてない。
今から教会に行くのもなぁ、この水だとどうなるんだろう?」
部屋にある水差しにある水を鑑定してみる
----------------------------------
【水】
品質:D
効果:なし
井戸から汲んだ水
----------------------------------
ただの水だ、まぁ、実験ついでにやってみることにする
「今ある薬草は失敗を省いて20束か、10束は乾燥不足だから、まずはこれの処理をするか」
乾燥魔法で薬草の下準備を行う、出来上がった薬草と、すでに乾燥済みの薬草と合わせて粉末処理を行う
「葉身の処理はこれでOKだが、葉脈の炭化はどうすっかな。
さすがに宿内で火はマズイよな、換気すれば行けるか?
とりあえずマスターと相談するか」
おれはカウンターへ行き、マスターに相談してみることにした
「マスターちょっと良い?」
「今、夕食の準備で忙しいだが、なんだ?」
「調合で火を使いたいんだけど、何処かやっていい場所有る?」
「…どのくらいの火を使うんだ?」
「鍋で炭化させる作業や、お湯を沸かす程度なんだが」
「消火用の水を用意してからやるんであれば、裏庭でやっていいぞ。
それと、何か有ったらすぐ言うんだぞ」
「サンキューマスター」
了解を得られた俺は、早速準備を行い、裏庭で作業をするのだった
まずは葉脈の炭化作業と粉末処理を済ませ、用意した水と葉脈の粉末を入れて沸かす
沸いたので火を止めクーラー魔法で冷却を行う
十分に冷えたので葉身の粉末を少しずつ加える…炭の黒と緑の粉末の混ざった水が出来上がった
----------------------------------
【だんぼぼ草の粉末水】
品質:E
効果:なし
井戸から汲んで沸かした水にだんぼぼ草の粉末を加えたもの
----------------------------------
やっぱり普通の水じゃダメだったか…
聖水貰ってこないと作れないんじゃしょうがないな、今日はここまでにしよう…あっ、ふと思いついたんだけど、生活魔法で出した水ってどんなんだろう?
----------------------------------
【生活魔法水】
品質:C
効果:なし
生活魔法で生成した純水、微量な魔力を含む
----------------------------------
品質は水より上で、聖水と同じか…それに、純水で魔力を含んだ水でもあるし、もしかしたら!?
よし、試してみるか…で、出来たのがこれである
----------------------------------
【劣化HPポーション】
品質:D
効果:HP回復+3
飲むと体力が回復する
----------------------------------
おぉ!劣化だけどHPポーションが出来た!
と言うことはHPポーションに必要なのって魔力とかを含んだ水?
でも、聖水には魔力を含むとは書いてなかったんだが…もしかすると祝福がそうなのかもしれない
それにしても魔力を含んだ水ってどうやって作るんだ?
聖水は教会で祝福を受けたって書いて有ったけど、祝福って何だ?やっぱり聖魔法みたいなもんか?
俺には聖魔法なんか使えないし、魔力を込めるにはどうすれば良いんだろう?
そうだ!アイリさんに魔力操作を教えてもらう時に、魔力を送ってもらったっけ、あの方法って使えるんじゃないかな?
早速この水に魔力を送ってみる、で出来たのはこれである
----------------------------------
【魔力を含んだ水】
品質:D
効果:なし
井戸から汲んだ水、わずかに魔力を含んでいる
----------------------------------
で、出来たHPポーションは
----------------------------------
【劣化HPポーション】
品質:D
効果:HP回復+3
飲むと体力が回復する
----------------------------------
生活魔法で作られたポーションと同じだった、
なら、魔力を微量に含んだ生活魔法水に魔力を通すとどうなる?
----------------------------------
【魔力水】
品質:C
効果:MP回復促進
生活魔法で生成した純水、魔力を含んでいる、飲むとMP回復が促進される
----------------------------------
おお!記載は若干違うが、聖水と同じものが出来た…と言うことは、これを使うと、どうなるのか
----------------------------------
【HPポーション】
品質:C
効果:HP回復+10
飲むと体力が回復する
----------------------------------
やった!HPポーションが出来た!!
苦労した甲斐があったな、これで瓶と薬草さえ有れば、ポーション作りが出来ることが分かった
これからは調合で生活してみるのも良いのかもしれないな、折角の異世界だから冒険を辞めるつもりは無いけどね
残りの材料は3個分か、どうせだ作ってしまえ!
もともと持っていたのと、新たに作ったのを合わせるとHPポーションが9本になったので、これで多少ケガしても安心だ
まぁ、ワザとケガするつもりは無いけどね
調合の結果に満足した俺は、ちょっと遅くなってしまったが夕食を食べることにした
「ナンシーちゃ~ん!お腹空いたからご飯ぷりーず!」
「は~い、今お持ちしますね~
空いてる席に着いて、待っててください~」
「了解~」
空いている席を探そうと思った所で、ふと視線を感じたので振り向くと、そこにはこっちをジーっと見ているナタリーさんが居た
またこのパターンかと思ったのと、一人で食べるのも何だし声を掛けてみることにした
「ナタリーさん、こんばんは。
もしよろしければ、相席宜しいでしょうか?」
コクコクコクと頷くナタリーさん、どうやらOKみたいだ
「それでは、失礼します」
俺はナタリーさんの前に座ったと同時にナンシーちゃんが夕食を持ってきてくれた
「お待たせしました~ハルさんの彼女さんですか?良いですね~
それでは、邪魔者は退散しますので、ごゆっくりどうぞ~」
おぃ!ナンシーちゃんよ!何を爆弾発言してから行くんだ!
ナタリーさんは俯いている、ヤバイ怒らせたっぽいな、どうする?俺
「あ、あはははっ、参ったなぁ~他から見るとそう見えちゃうんですかね?
ナタリーさんみたいな美人さんと俺が釣り合う訳ないのにね。
すいません、俺、別の席で食べますんで」
そう言って席を立とうとしたら、袖口をナタリーさんが掴んだ
「へ、平気です」
「そ、そうですか?
じゃ、じゃあお言葉に甘えまして、失礼します」
「「…」」
うん、気まずい…
彼女居ない歴=年齢の俺にはキツ過ぎる…
何か話題、話題はっと
「な、ナタリーさん今日は良い天気でしたね」
何言ってるんだ?俺は、お見合いかよ
「今日は曇ってましたよ?」
しかも間違ってるし
「あれ?そうでしたっけ?あはははっ。
あーっと、えーっと、ナタリーさんはよくここで夕食を食べるんですか?」
「そうですね、頻繁にってほどではありませんが、たまに食べに来ます。
今日は仕事が休みで、家の事をしていたら夕食作りそびれちゃったので、食べに来たんです」
「そうなんですか、自分は師匠の所で調合の勉強してたんですよ」
「昨日教えて頂いたので、知ってますよ」
「そういえばそうでしたね、あはははっ」
やべー全く会話が続かないし、何を話して良いかもわかんねー、こうなったら夕食をさっさと食べて退散するべきか?
「調合の方はどうでしたか?」
「はいぃ?」
やべっ!違うこと考えてから変な声が出ちまった
「調合をやられていたんですよね、それでどうでしたか?」
「そ、そうですね、何とかHPポーションを作るまでは、出来るようになりました」
「凄いです、それなら今度はHPポーションの納品をしてくれるようになるんですね。
冒険者の方はよくケガをされるので、HPポーションが沢山あれば、ギルドとしても嬉しいです。
頑張ってくださいね」
「はい、頑張って納品しますね」
何とか会話を続けられた俺は夕食を食べて。ナタリーさんと別れて部屋に戻ってきた
夕食?緊張していたので何が出たのかも、何を食ったのかも覚えてねーよ!
精神的にも疲れた俺は、湯あみを済ませ、さっさと寝ることにした、おやすみなさい…ぐぅ
これで調合成金でうはうはだ~!!