最後に一勝負
反省会も終わったので、この後の行動を決めることにした。
「それじゃ、今日はそろそろ帰る? それとももう1戦する?」
「やる!」
「あたいはどちらでも良いのじゃ。」
「私もどちらでも良いかな~」
「ハルさんにお任せします。」
「私もハル様の決定に同意致します。」
「ふむ。」
賛成1で、後はどちらでも良いってことか。今のところ怪我をした人はいないし、体力もまだ余裕は有るな。よし!
「じゃあ、最後にもう一度戦って、そしたら帰ろうか。」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
そうと決まれば戦闘に頭を切り替えることにした。先ほどは投擲で失敗したから、これは封印だな。使うとしても四足歩行系の道具を使うことが出来ない系の相手のみにしよう。
高温高圧洗浄はオーガに取っては有効なのが分かっているから、いざという時以外は使わないでおこう。
謎の石は鍛錬にならないから却下して、ここは普通の石で牽制するのが正解だろう。
俺はスリングショットを装備した。
「なんじゃ、例の石を使うのか?」
「いや、使うのは普通の石だ。あくまで牽制が目的だし。」
「うむ、それで良いじゃろう。」
「よし、行くぞ!」
扉を開けて外に出て、再び中に入ると同時にスリングショットを回し始める。
スライムが燃えているので、オーガの姿が確認できたが、攻撃はまだだ。
『我求めるは静かなる水、荒れ狂う吹雪で相手を凍らせ、ブリザード!』
まずはアイリさんの範囲魔法による先制攻撃をしてもらう。
「グオォォ~!」
これでゴブリン2匹は倒せただろう。残りはオーガのみだ。
今回はアイリさんの攻撃が止んだ瞬間を狙う! 効果範囲ギリギリまで近寄り、タイミングを待つ……今だ!
俺は吹雪が止むと同時にオーガへと投擲した。
グシャ!
オーガの顔面、右目の辺りに石がめり込んだ! これは痛そうだ。と言うか右目から何かが垂れている。グロッ!
でも、これで死角が増えた。正面にビアンカさんが配置して、俺は左側へと移動し、ワザと顔を狙って突きを繰り出す。
俺の攻撃が気になることで、右側への意識が薄くなったところへ、ナタリーさんの攻撃がオーガの右膝へと入った。
バキャ!
あ、これ皿が割れたと言うか、膝が反対側に曲がってるよ……
思いっきりバランスを崩したオーガは前方へと倒れ込む。両手をついて地面への直撃は避けたみたいだが、無防備の背中が丸見えだ!
「全員攻撃だ!」
俺は思い切り振り上げて、全身全霊を込めた一撃を繰り出し、思いっきり脇腹を切り裂いた。
シャルは右足を、ナタリーさんは左肩を、そしてビアンカさんの斧の一撃がオーガの頭を叩き割った!
さすがのオーガもこの攻撃には耐えられなかったみたいだ。
「上手く行ったな。」
「そうじゃな。」
「ハル君、容赦なかったよね~」
「凄いです。」
「ん、流石。」
「今回、出番が無かったです。」
言われてみれば……ティアさんどんまい。
「さて、今日はこれで終わりにして帰るか。」
「「「「「はい(なのじゃ)。」」」」」
俺達はダンジョンを出るために移動することにした。
帰りの地下9階は全部の部屋を回って、武器と盾を回収。かかしゴブリンだからウハウハだ。
相変わらず地下5階のボス部屋は大人気で行列だったが、並ぶ気は起きなかったので、スルーすることにする。
そして何事も無く、無事にダンジョンを後にしたのだった。




