安易な攻撃は身を亡ぼす?
何はともあれオーガとの再戦がアッサリと終わってしまったのだが……
「どうする? もう1回挑戦する?」
「やる!」
シャルはやる気満々だ。
「あたいも今の戦闘で役に立たんかったからの。もう一度やるで構わないのじゃ。」
「私も問題無いよ~」
「頑張ります!」
「ハル様、私も頑張ります!」
どうやら全員やる気みたいだ。
「なら、次は普通に戦ってみようか。」
「「「「「はい(なのじゃ)!」」」」」
俺達は再度オーガ戦に挑戦してみることにした。
アイテムを回収した後一度部屋を出て、再度部屋へと入る。
先ほどと同様にオーガのらしき人型が見えた。
アイリさんが呪文を唱えている内に一番槍を頂くことにしよう。
「くらえ!」
今回は謎の石は使わないので、短槍による投擲だ。
俺は勢いを付けてやり投げのフォームで、短槍をオーガ目掛けて投げつけた!
「グオッ!」
が、俺の投擲した短槍はオーガに刺さる前に掴まれてしまった。どうやら勢いが全然足りてなかったみたいだ。
そして、オーガはその短槍を装備した。えっ!?
「この馬鹿たれが! 敵に武器を与えてどうするんじゃ!」
「す、すまん。」
そこにアイリさんの範囲魔法が飛ぶ!
「グオオォォ~!」
続けてティアさんの炎の矢が飛ぶ! ……が、短槍で叩きつけることで打ち消されてしまった。
「来るのじゃ!」
ビアンカさんが前に出てオーガの攻撃をしのいているのだが、今回は俺のせいで武器持ちになったため、ちょっと苦労しているみたいだ。すまぬ……
俺も攻撃に参加するのだが、俺の攻撃は短槍に弾かれてしまい攻撃が届かない。オーガは調子に乗っていて、力任せにやりたい放題だ。正に鬼に金棒とはこのことである。
「武器持ちになるとここまでになるとは厄介じゃな……」
全部俺のせいです。ホントごめんなさい。
リーチが長くなったせいで、シャルも中々近寄ることが出来ないみたいだ。
こうなったら!
「高温高圧洗浄!」
この魔法なら避けられても防ぐことは出来ない。例え避けられても打ち出す方向を変えられるしな。
オーガの反射神経だと顔は避けられそうなので、面積の多い体を狙う!
ジャーーー!
流石にお湯の熱さには耐えられなかったみたいで、某お笑い芸人が熱湯風呂に入った後のリアクションを取ってくれていた。
個人的には入る前の女性の生着替えで時間オーバーになったときの方が好きだったが……いえ、何でも有りません。
「行く!」
その隙を突いてのナタリーさんの会心の一撃がオーガの頭にめり込み、それが決定打になったみたいで、何とかオーガを倒すことが出来たのだった。
・・・・
「……すいませんでした。」
俺は今正座で皆の前に座っている。
「ほ、ほら、は、ハルさんも別に悪気が有った訳じゃないですし。」
「ナタリー、いくら大好きなハル君だとしても、こういう時はきっちりしないと駄目なんだよ。」
「……はい。」
一瞬天使が舞い降りたかと思ったが、説得させられてしまった。
「……まぁ、今後武器を持ったオーガも出るかもしれんし、良い予行練習となったと思えば悪くない話じゃろ。」
おぉ! 女神様が降臨なさった!
「とは言え、ハルにはお詫びとして全員に何かして貰おうかの。」
「「「「賛成~!」」」」
「……はい。」
今の俺には、この案を却下する資格は無いので了解することにした。
こうして俺はむやみやたらと投擲してはいけないということを学んだのだった。




