散策
ふと、忘れていたが気になったことが有ったので聞いてみることにした。
「リアさん、何でこのお店はこんなにもボロボロなんですか?」
「!?」
俺がそう言うと、リアさんは驚いていた。
「お前さん、もしかしてだが、まさかだと思うが、呪い耐性を持っとらんか?」
「えっと、確か持ってたかな?」
「呪い耐性を持ってるとは、どんな人生を歩んできたのやら……恐ろしい……」
何か得体のしれない物を見た様な顔をされたんだが、失礼な!
でも、何で呪い耐性なんて取得したんだろう? 謎だ。
「それで呪い耐性が有るとどうなんですか?」
「この店はな、呪具によって綺麗な店に見せかけていたのさ。呪い耐性持ちには見えないけどね。」
「何でそんなことをしてるんですか?」
「……だ。」
「はい?」
「だから……からだ。」
「すいません。聞えなかったので、も一度お願いします。」
「だから、掃除が面倒じゃからだよ!!」
「あーうん。はい。」
単なる横着者だったのか。それにしては酷過ぎる気もしなくも無いが……
普通の人は綺麗なお店に見えて居るってことなら……いや、止めておこう。
「さて、長々とお邪魔してしまいましたので、そろそろお暇しようかと思います。」
「何か買って行かないのか?」
「そうですねぇ~、じゃあ中級、または上級HPポーションの材料とかって有りますか?」
「毒堕観草なら20本程有るが、鶏蕪徒は今は在庫が無い。すまんの。」
「いえ、なら毒堕観草を20本頂けますか?」
「なら金貨4枚じゃの。」
俺はお金を支払い、商品を受け取った。
「他には無いかの? 逆に買い取るでも構わないよ?」
「買い取ってくれるのは、あくまで薬剤の素材ですよね?」
「それ以外に何がある。」
「まぁ、そうなんですけどね。とりあえず今売れる物は特に無いかな?」
「そうかい。売りたいものが有ったら持ってきな。物によってはすこし高めに買い取ってやろう。」
「分かりました。その時は宜しくお願いします。」
「また来るが良い。」
「はい。それではまた。」
俺はリアさんと別れてお店を後にするのだった。
「まさか師匠に妹さんが居たとは……これも何かの縁なのだろうか?
師匠もどうせなら教えてくれれば良かったのにな。……そーいや、シャルの故郷に行くとしか言って無いか?
迷宮都市に行くと知らなければ、そりゃ教えてはくれないか(汗)
さて納得出来たところで、この後のことだがどうすっかな。」
長々とお邪魔したとは言えまだお昼くらいの時間だ。
その時、俺のお腹がぐぅ~って鳴った。
「そうだな、昼飯にでもするか。」
まずは腹ごしらえをするために移動することにした。
何となく目に付いた露店で串焼き肉を買い、それを食べながら散策していると、前方で人だまりが出来ていて、何やら騒いでいるのが見えた。
野次馬根性で興味が沸いたので近づいてみると、何処かで聞いたことが有る様な声で言い争っているのが聞えてきたのだった。
「いったい何時まで待たせんだよ!!」
「うっさい! こっちは一人でやってるんだから無理なの分かるでしょ!」
「だったら人を増やせば良いだろうが! このクズ!」
俺が人混みの間から顔を出すと、男性と屋台をやっている女性が言い争っているみたいだ。
あれ? あの女性何処かで見た様な……
「キー! そんな簡単に増やせる訳が……ああっ!!」
その時、女性と目が合った。
「貴方! 手伝ってくれない? お給料も弾むから、お願い!!」
「えっと?」
突然助っ人をお願いされてしまった。手伝いと言ってもなぁ……
ふと、屋台の売り物を見ると、売り物はから揚げとポテトチップとポテトフライだった。ん?
「確か食堂の店長さんでしたっけ?」
名前は忘れた。
「そうよ、ロザリーよ。手伝ってくれる?」
「えっと、急にそう言われましても、どうして俺?」
「もちろん優秀な奴れ……じゃなくて、助っ人になれるって頼れる人って知ってるからよ。」
今奴隷って言いそうにならなかったか?
「そもそも何で屋台なんかやって居るんです? お店はどうしたんですか?」
俺が疑問に思ったので聞いてみると、
「お店でから揚げにレイモンを掛けるか掛けないかで喧嘩が起きて、お店を壊されちゃったのよ!
修復中の間のツナギで屋台をしてたって訳なのよ。」
「そ、それはご愁傷さまです。」
それって俺のせい……じゃないよね?
「おい! 助っ人が来たんだったら早くしてくれよ!!」
「は、はい! 直ぐにやります!!
と言う訳でこんな状況だから、お願い!!」
ロザリーさんが両手を合わせてお願いしている。仕方ないか。
「分かりましたよ、お手伝いします。」
「ありがと~!!」
こうして急遽屋台のお手伝いをすることになったのだった。




