パンケーキ
……息苦しさを感じて目が覚めた。
ガバッ!
布団を捲ると胸の上にシャルが眠っていた。
「道理で息苦しい訳だ。」
結構大きくなってきたシャルが重……げふんげふん。立派に成長したよな。うん。
さて、今日も頑張りましょうか。
「シャル、朝だよ。起きて。」
シャルの頭をポンポンとして起こしてみたのだが、起きる気配が無いな。
ほっぺたをツンツンしてみる。うん、柔らかいな。
だが起きる気配が無い……いや、シッポがピクピクしているな。狸寝入りかな?
「だったらこうだ!」
俺はシャルのシッポを掴むのだった。
「~~~~~!!」
このモフリ具合、やっぱりシャルのシッポは最高だ。
「ハル様!」
「あはははっ、ごめんごめん。おはよう。」
「ん、おはよう。
でも、いきなりはビックリするから駄目。」
シャルがほっぺたを膨らまして抗議しているが、全然怖くないし、むしろ可愛い。
「うん。無理。」
俺は正直に言ってみた。
シャルが一瞬ガーンとショックを受けた顔をしたが、諦めたみたいだ。
「せめてシャルだけの時にして。」
「おう。」
了解を貰えてしまった。言ってみるもんだ。
「じゃあ、起きようか。」
「うん。」
着替えた俺達は食堂へ向かうが、誰も居なかった。
まだ起きて無いのかな? ナタリーさんとティアさんもキッチンに居なそうだし……はて?
「まあいいか。たまには休みにしてのんびりするのも良いかもな。」
そうと決まれば今日は休みに決定だ。
「そうだ、たまには俺が朝食を作ってあげよう。」
「シャルもやる!」
俺がそう言うと、シャルも賛同してきた。
「そうだな。一緒に作ろうか。」
「うん!」
こうして俺とシャルは朝食を作ることにした。
「さて、何を作ろうかな。」
朝っぱらから手の込んだものを作る気力は無いから簡単な物にするつもりだ。
「シャル、何か食べたい物は有るか?」
「稲荷ずし!」
「さすがに昨日の夜に食べた物はちょっと……他には?」
「ん~~~~~~~~~~~」
腕を組んで考えているが思いつかないみたいだ。
「そうだな、パンケーキなんてどうだ?」
「うん!」
シャルも了解してくれたと言うことで、パンケーキを作ることにした。
卵3個、ミルク300ml、小麦粉300g、ふくらし粉少々、今回は甘さ控えにするつもりなので、砂糖は50gくらいにしておく。
作り方は簡単だ。分量を量って混ぜたら焼くだけだ。
「シャル、材料を入れたからかき回してくれ。」
「うん。」
その間にフライパンの準備をする。
弱火で火にかけ、フライパンが温まったら油を入れる。油を回して余分な油はふき取っておく。
「シャル出来たか?」
「出来た。」
しっかりと混ざったのを確認できたので、お玉ですくってフライパンへと投入する。
ジュワアアアァァァァァ~~~~
表面にプツプツと泡が出てきたのでひっくり返す。
ジュワアアアァァァァァ~~~~
「よし、完成!」
まずは1枚分が出来た。
「シャル、何枚食べる?」
「5枚!」
「いや、さすがに食べすぎじゃね?」
1枚が直径20cmで厚さ1cmくらいも有るんだぞ?
「う~、じゃあ4枚。」
4枚でも多そうな気がするが、残したら俺が食えば良いか。
「オッケー。じゃあちゃっちゃと焼いちゃいますか。」
「シャルも焼きたい!」
「ん~、まあ良いか。よし、やってみな。」
「うん!」
俺はお玉とボウルをシャルに渡してあげた。
「入れるのはお玉1杯分で良いぞ。」
「はい。」
シャルがおそるおそるフライパンへと入れてジッと焼けるのを見つめている。
泡がプツプツと出てきたのでそろそろだ。
「ん!」
シャルがパンケーキを上手にひっくり返した。
先ほど焼いているのをしっかりと見ていたらしく、ひっくり返すタイミングもバッチリだった。
「おっ、ナイスタイミングだ。あと返すのも上手かったぞ!」
「しっかり見てたから。」
「そっか、流石はシャルだな。」
「ん。」
そして反対側も良い具合に焼けたみたいだ。
「出来た!」
完成したパンケーキは先ほど俺が作ったのとほぼ一緒だ。
「完璧じゃ無いか。」
「むふぅ~!」
シャルが満足げな顔で頷いた。可愛い。
「よし、残りもやっちゃいますか。シャル頼むぞ!」
「うん!」
こうして俺達はひたすらパンケーキを焼き続けるのだった。




