今日のナタリーさん 128
特に問題も無く順調にダンジョンを進み、地下7階へと到着した時に彼がぽつりと何かをつぶやきました。
聞き逃してしまったので、確認しようと彼を見ると、彼は魚を釣り上げた人を見ていました。
もしかして釣りをやりたくなったのかな? と思ってたのですがどうやら違ったみたいです。
どうやらお腹が空いたみたいです。ちょっとお昼には早いですが、食べたい人だけが食べると言うことで休憩にすることになりました。
なるほど、魚を見たから食べたくなったんですね。確かに彼は魚も大好物でしたね。
どうやら彼は、完璧な焼き魚を目指すみたいです。下ごしらえはキッチリと行い、火も薪では無く炭を使うと言う拘りぶりです。
なるほど、魚の下ごしらえにもあそこまで手間暇をかける必要が有るんですね。それに焼き方にも……勉強になります。
焼きあがったヨンマを食べた感想ですが、もっともっと精進しないと駄目ですね。
普段の料理にはちょっと時間的に難しいかもしれませんが、出来るなら美味しい魚を彼に食べて貰いたいですし、頑張りたいと思います。
その時以前釣りエサを譲って頂いた男性と再会しました。
男性は私達が食べているのを見て食べたくなったみたいです。物凄く分かります。
彼は先に進むからと断るみたいでしたが、私的には先ほどの手順を忘れる前に実践してみたい思いも有ります。
幸いなことに炭がまだ残っているので彼にお願いしてみることにしました。
彼は快く了解してくれたので、シャルティアさんと一緒に挑戦してみることにしました。
彼の一つ一つの作業を思い出しつつしっかりと下ごしらえの処理をしていきます。
「さすがはナタリーさんですね、私ももっと頑張らないと駄目ですね。」
「そうですか? 私的にはそれほど差が有る様にも思えないんですけどね。」
そうは言っては見ましたが、やっぱり認められるってのは嬉しいものです。次は焼きへと入ります。
火加減を見つつじっくりと魚を焼いて行きます。マスターさんにも言われましたが焼きのタイミングは難しいです。
随分と慣れて来たとは言え、マスターさんの腕前にはまだまだ及ばないんですよね。
「ここです!」
その時、シャルティアさんが掛け声と共に、ヨンマを取り出します。
それを見て、私も慌ててヨンマの状態を確認します。
「!!」
少し、ほんの少しだけですが、タイミングが遅かったみたいです。
「やっぱりシャルティアさんは凄いですね。完璧な焼き具合です。」
「いえ、私なんかナタリーさんに比べればまだまだですよ。」
「お互いもっと頑張りましょうね。」
「はい。」
焼いた魚を男性に渡した後は、再びダンジョンを進むことにしました。
その後は特に問題無く、無事に地下10階へと到着しました。
此処は小部屋で左側と下側に扉が有ります。彼がシャルちゃんに何処の扉が良いか聞いています。
「左!」
シャルちゃんは左ですか、なら私は……
「あたいはし「そうかそうか! なら左に行こうな!!」じゃ。」
「ハル君ハル君、私はねぇ~」
「みんな左に行くぞ~!!」
どうやらシャルちゃんの意見で決定みたいです。残念です。
扉を開けて先に進むと、敵はグラスウルフでした。すこし拍子抜けですが、油断は禁物ですよね。頑張ります!
グラスウルフを倒した後に、彼が地下10階の説明をしてくれました。なるほど此処までに出てきた敵がランダムで出るんですね。
次の部屋はホブゴブリンでした。確かに今まで出会った敵が出て来るみたいです。
次の扉を抜けた先の通路で中心に向かう扉が有りましたが、彼は一度外周をマッピングすることにしたみたいです。
そして次の部屋には何とスライムが居ました。えっと……確かにここまでで出てきた敵には違いませんが、こんなので良いのでしょうか?
ぐるっと1週して、今度は中心に向かう扉の先へと進みます。
「凄いです!」
そのには神秘的な空間が有りました。まるで神殿でもありそうな感じの場所です。
突然彼が振り向き、私達の様子を確認しています。主に胸っぽいですが……えっと触りたいのでしょうか?
此処には私達だけとは言え、ダンジョン内ではちょっと……少しくらいなら良いですけど、出来れば帰ってからにして頂けるとありがたいです。
……何を勘違いしてたのでしょう。私の馬鹿!
と、とにかく先に進むことになりましたが、彼が今度はアイリに決めて貰うみたいです。いいなぁ……
羨ましそうに彼を見ていたら、彼が察してくれて私はビアンカさんの次に選ばせてくれるみたいで良かったです。
進んだ先の扉の前で彼がボスかもしれないと注意を促します。私は武器を握りしめて気合を入れます!
頑張るぞ~!! と意気込んで進んだのですが、敵はホーンラビットでした。えっと?
しかも流れ作業的にビアンカさんとシャルちゃんがあっけなく全部倒してしまいました。
本当に此処は地下10階なのでしょうか? 少し自信が無くなってきました。
ビアンカさんが選んだ扉を進むと、今度はゴブリンです。
ずっと楽な戦闘が続いていたので、たまには体を動かさないと駄目ですよね?
ゴブリン程度なら、今の私なら問題有りませんし、行かせて貰います!!
「えぃ!」
私の攻撃でゴブリンは倒されていきます。
ダンジョンのゴブリンは、地上のゴブリンと違って気持ち悪い雰囲気が無いため戦いやすいです。
戦闘が終了した後、彼がシャルちゃんのギルドカードを見て驚いてました。どうやらシャルちゃんの誕生日が5日前に有ったみたいでした。
そう言えば、アイリ以外の誕生日って知らなかったな。今度全員に聞いておくことにします。特に彼の誕生日は重要です。
そしてシャルちゃんの誕生日を知った彼は、突然誕生パーティをやると言ってダンジョン攻略を中止して戻ることになりました。当然ですよね。
いっぱいお祝いしなくちゃ駄目ですよね。頑張ろう!




