ボール
さて、夕食も終わったので今日の部屋割りだが。
「今日はシャルちゃんだね~」
「そうじゃな。」
「そうですね。」
「いいの?」
「シャル、お母さんも含めて皆さんの好意なのですから、気にしないで行ってきなさい。」
「うん!」
どうやら今日はシャルで決定みたいだ。
「じゃあみんなおやすみ。」
「おやすみ。」
「「「「おやすみなさい~(なのじゃ)」」」」
部屋に戻ってきた俺は、こっそり買っておいたボールを取り出す。
「ほら。」
そしてシャルへと軽く放り投げた。
一瞬慌てたシャルだが、しっかりとそれをキャッチした。
「ボール?」
「興味持って見てたからな。
折角誕生パーティをしたのに何も無いのも可哀相だから、今日のところはコレで勘弁な。」
「……ありがとう。」
「どーいたしまして。
折角だから少し遊ぶか?」
「うん♪」
とは言え狭い部屋の中だから大したことは出来ないけどね。
軽くキャッチボールをしたり、お手玉にしてみたり、ボーリングみたいにして遊ぶのだった。
・・・・
「そろそろ終わりにして、湯あみして寝るぞ~」
「うん!」
沢山構ってくれたシャルは嬉しさのあまり元気一杯だ。
俺的にも良い気分転換になった気がする。たまにはこうして童心に帰って遊ぶのも悪く無いな。
さてと、タライにお湯を張って準備完了だ。
「ほら、シャルおいで。」
何時もだったらすぽぽ~んっと脱いでいたのだが、今日は服を脱ぎ捨てないで綺麗にたたんでいた。
「おっ、やっぱり1つお姉さんになっただけは有るな。偉いぞ!」
俺が褒めると、シャルがむふぅ~って自慢気な顔をした。
こうして一つ一つ成長を見られるのも良いものだ。今後も楽しみである。
「よ~し、今日は新しく成長したシャルのためにも、徹底的に綺麗にするぞ~!!」
俺は気合を入れてシャルを洗うのだった。もちろん耳とシッポは重点的に行うのだった。
「は、ハル様!? あ……あふっ、ちょ、ちょっと待って!」
俺は今、シャルを綺麗にすることに使命をとしているのだ。なので妥協は許さない。
シャルが何か言っているみたいだが、あーあー聞えない(笑)
「はっ、はっ、はっ、はっ……」
シャルが息も荒げにぐったりとしている。
うん、どうやら本気でやり過ぎた様だ。辞められなくてごめんよ……
「ハル様!」
しばらくして復活したシャルが怒っている。まぁ当然だわな(汗)
「ゴメン、ほんと~にゴメン!
シャルのシッポとお耳があまりにも魅力的だったもんで……」
「ん。それなら許す……けど、少しは遠慮して?」
「え~!」
「……ちょっとだけなら。」
「よっしゃああぁぁ~~!!」
言質はとったぞ?
「じゃあ寝るか。」
「うん。」
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
俺はシャルを抱っこする感じにして横になって目を閉じるのだった。
パチリ。
少しして俺は目を開けた。
「すぅ~すぅ~……」
目の前にはシャルが寝息を立てて眠っている。よし!
俺はシャルを起こさない様にゆっくりと起き上がった。
「さて、やるか!」
俺はアイテムボックスるより人形の材料を取り出した。
俺が作ろうと思っているのはキツネのぬいぐるみだ。えっ? 人形じゃ無いの? と思われるが、やっぱりモフモフなのは譲れない。
街中では人形は見かけたが、ぬいぐるみ自体を見かけなかったので、もしかしたらそう言った物は無いのかもしれない。
だったら、俺が作るしか無いじゃん? と言う訳でぬいぐるみを作るのだ。
まぁ、女の子だったら可愛いのは好きだろうし、大丈夫だと思う。
とりあえず見た目は地球で御馴染みでもあるキタキツネだ。
色合い的にもシャルのシッポに近いし、個人的にもキタキツネが好きだからだ。
最初布生地で作ろうかと思ったが、どうせなら本物そっくりな羊毛フェルトで作ろうと思っている。
とは言ってもフェルト生地なんて物は無いため、ベースは麻布だ。後は綿と動物の毛で何とか作ってみよう。
まずはベースとなる体の制作からだ。大きさはだいたい全長30cm位が良いだろう。
記憶を元に、麻布に直接線を書いて、その通りに切って行く。
袋状に縫って、そこに綿を詰めたら綴じるを繰り返し、頭、両耳、体、両手、両足、シッポの9つのパーツが完成した。
「おっと、そろそろ寝ないとマズいな。」
思わず熱中してしまった。
続きは明日にすることにして、アイテムボックスへと片付けた俺は、シャルの脇に入り込んで寝ることにした。
おやすみなさい……ぐぅ……




