誕生パーティー
「後生じゃ、目の前に旨い酒が有ると言うのに……」
「お腹減ったよ~」
ビアンカさんとアイリさんが机に伏せて待っていた。
それに比べてシャルは、嬉しそうにしながらもキチンと待っていた。普通逆じゃね?
「待たせたな。」
「ご飯!」
「やっと来たのじゃ!」
「ハル君、お腹ペコペコで死にそうだよ~」
そんな3人を他所にテーブルに料理を並べて行った。
「ハル君、ハル君、これ何?」
「ほぅ? 旨そうじゃの。」
「美味しそう。」
「これか? これはいなりずしって言う食べ物だ。
シャルが喜んでくれるかなって思ったから作ってみたんだ。」
「ハル様、ありがとう。」
そう言ってくれるだけでも作った甲斐が有ったってものだ。
全ての料理を並べ終わったので、早速頂くことにしよう。
全員にフリージングで冷やしたお酒とジュースを配る。
「それでは、シャルの7歳の誕生日を祝って、乾杯~!!」
「「「「「乾杯~!!」」」」」
ごきゅ、ごきゅ、ごきゅ……ぷはぁ~!!
旨い! 正にこの一杯のために生きていると言っても良いくらい旨い!!
さすがは何時もと違う高級な酒なだけはあるな。
さて、今日の夕食はっと、いなりずし、サイコロステーキにサラダにスープ。後はフルーツの盛り合わせが有った。
まずはいなりずしから……いや、最初はシャルに食べて貰いたいかな。
「ほれ、シャル。あ~んだ。」
俺はいなりずしを1つ取ると、シャルに差し出した。
「あ~ん。」
その小さなお口に食べさせる。
カッ!
するとシャルの目が輝いた。そしていまにも踊り出しそうなくらいに高いテンションを醸し出している。
やっぱりこれって食べさせても大丈夫なのだろうか?
「どれどれ~、私も食べて見よっと~♪」
「あたいも。」
2人が手を伸ばしたいなりずしが忽然と消えてしまった。
「あれ?」
「なんじゃ?」
「ん~~~~~~~!!」
犯人はやたらとテンションが高いティアさんだった。
一応シャルが食べるまでは我慢していたみたいだったみたいね。
「ほら、まだ数は有るから。」
俺がいなりずしを1つ手に取り、アイリさんに渡してあげる……のだが受け取ってくれなかった。
代わりに口を開けて待っていた。
「あ~ん。」
「仕方ないな。ほれ。」
俺はアイリさんに食べさせてあげた。
「美味しい~♪」
それを見たビアンカさんも口を開けて待っていた。
「あ~ん。」
「ほれ。」
俺は仕方ないので、ビアンカさんにも食べさせてあげた。
「ほほぉ! これは旨いのじゃ!」
ふと、ナタリーさんも口を開けて待っているのに気が付いた。ナタリーさんあんたもか……
「ナタリー、ほら。」
「あ~ん。」
ナタリーさんにも食べさせてあげた。
「おいひいです。」
さてと、俺もいなりずしを食べるとしますか。
「……ん?」
気が付くお皿の上にいなりずしは残っていなかった。
最期の1個が今正にティアさんのお口の中に消えて行くところだった……
「ん~~~~~最高です!!」
そらよーござんした。俺は食えなかったけどね(涙)
まぁ、何にせよ此処まで美味しく食べてくれたのだから作った甲斐が有ったってものだな。
ちなみにティアさんが35個、シャルが30個を食べたみたいだ。よくもまぁそんなにも入った物だ。
よく見るとお腹もぽっこりと膨らんでいた(汗)
「お腹いっぱい。」
「幸せでした。」
そりゃあれだけ食べればねぇ?
参考に、ビアンカさんは15個、アイリさんは10個で、ナタリーさんは8個だった。
俺? だから食えなかったって言ったじゃんかよ~~!! 0個だよ0個!!(涙)
まあいいや、ナタリーさん達が作ってくれた料理で満足しておこう。
パクパク、もぐもぐ、ずず~~~~ごっくん。
「ごっそーさん。」
こうしてシャルの誕生日パーティは終わったのだった。




