地下10階 2
扉を抜けた先はやっぱり直線の通路だった。
少し進むと左側に扉が見えた。おそらくこの扉が外周から中に入るための扉なのだろう。
「多分、この先に部屋が有ると思うんだけど、行ってみる?」
「行く!」
「ハルに任せるのじゃ。」
「どちらでも良いかな~」
「お任せします。」
「シャルが行きたそうなので、ご迷惑でなければ……」
ティアさんが申し訳なさそうに言ってきた。
「いえ、どうせマップを埋めなきゃ気が済まない性質なので、もともと行くつもりでしたから、気にしないで下さい。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ扉は後回しにして、ぐるっと1週してみようか。」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
通路を進むと扉が有り、やっぱりここにも反応が5つ有った。
俺は先ほどと同様に指示をして、扉の中に入るのだった。
「敵は……スライム?」
何と敵はスライムが5匹だった。いや確かにスライムは地下1階の敵だけどさ……
「えっと、どうしようか?」
「燃やしておけば良いんじゃないの~?」
「燃やしますか?」
「い、いや、俺がやっておくよ。」
ティアさんの魔法だとMPが勿体ないしね。俺なら魔法職じゃないし、火を点けるだけなら5MPで済むしな。
「後はこの上の扉だけか。この先は階段の部屋に着くみたいだから、確認だけしてこようか。」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
俺達は降りてきた階段の部屋を確認した後、通路の途中にあった扉の前にまで戻ってきた。
扉を開けると、少し通路になっており、そこを抜けると大きな広場、いや通路に出た。
「ほぉ! これは中々じゃの。」
「すっご~い!」
「凄いです!」
「大きい。」
「これは何かの神殿なんでしょうか?」
正面の少し入り組んだ先に扉が有り、左右は20m幅の通路が有って、通路の両側に太さ1m程の神殿に有りそうな柱が並んでいたのだ。
「もしかして!!」
バッ!!
俺は突然振り返り、仲間の様子を確認する。
「何じゃ! 何が有ったのじゃ!」
「ハル君どうしたの?」
「ハルさんどうしたんですか?」
「?」
「ハル様、何も異常は見当たりませんが。」
どうやら誰の胸にも黄金の矢は刺さってないみたいだ。良かった……
「い、いや俺の気のせいだった。何でも無いよ。」
みんな不思議そうな顔をしていたが、何も起きて無いことから納得はしてくれたみたいだ。
さてと、落ち着いたところで何処から攻略していくかだが、予想では正面の扉がボスへと続く扉の気がする。なら正面の扉は後回しかな。
右に行くか、左に行くかだが……
「アイリ、どっちが良い?」
「やった! え~っとね、正面の扉が良いな~♪」
「あーうん。じゃ、じゃあそうしようか。」
別にボスを先に倒しても問題無いか。
折角アイリさんが提案してくれたことだし、そちらに向かうことにした。
「「じ~~~~~」」
「えっと……(汗)」
ビアンカさんとナタリーさんが、期待を込めた目でこちらを見ている。いや、声も出している。
ティアさんはじっと我慢の子である。でも、チラッ、チラッっとは見ているけどね。
「つ、次はビアンカな。その次はナタリーで、最後にティアにお願いしようかな。」
「分かったのじゃ!」
「はい!」
「頑張ります!」
どうやら正解だったみたいだ。ほっ……




