地下9階 2
落ち着いたところで、改めて部屋の確認をしてみると、この部屋は最初地下9階に降りてきた時の部屋と同じサイズの部屋だった。
そして入ってきた扉と左右に扉が有って、今回は上に扉は無かったが、これは最初から分かっていたので問題無い。
後は次の部屋に入った時に、部屋のサイズが同じかどうかで、この階の作りは大体分かるかもしれない。
「どうする? このまま攻略するか?」
「問題無いのじゃ。」
「私も大丈夫だよ~」
「問題無い。」
「頑張ります。」
「私も頑張ります。」
「じゃあ、次の部屋に行ってみるけど、多分ゴブリンナイトが3匹居ると思う。どうしようか。」
「先ほどと同じでも構わないし、あたいの所に3匹来ても問題ないじゃろう。ハルに任せるのじゃ。」
「う~ん、シャルはどうしたい?」
「同じで良い。」
「分かった。じゃあシャルに頼むぞ? ただ、怪我した時の約束だけは守ってくれよな?」
「うん!」
ゴブリンナイトの攻略が決定したので次の部屋へと進むことにした。今度は左の部屋へ進むことにする。
扉を開けて次の部屋に進むと、やっぱり同じ様な感じの広い部屋で、ゴブリンナイトが3匹待機していた。
そしてこちらに気が付くと、武器を構えて走ってきた。
「俺達も行くぞ!」
「「「「「はい(なのじゃ)!!」」」」」
まずはアイリさんの範囲魔法でダメージを与え、ビアンカさんが前に出る。
シャルが1匹をタゲを取るために近寄ると、2匹が反応してしまった。どうやら近づくのは早すぎたみたいだ。
「マズイ!」
俺が1匹のタゲを取ろうとした所、
「炎の矢!」
そこにティアさんの魔法が飛ぶ! 盾で塞がれたのでダメージは無かったみたいだが、1匹の足を止めさせることに成功した。
その隙にビアンカさんが移動してタゲが自分に来るように対応した。
「ナイスだ2人も!」
これで先ほどと同じパターンになったな。俺とナタリーさんとシャルで1匹ずつ倒していく。
最期の1匹も倒せたので、労いの言葉を掛けた。
「みんな、お疲れ。」
「最初2匹がシャルに行った時にはヒヤッとしのたのじゃ。」
「でも、ティアの絶妙なタイミングは凄かったよね~」
「あ、ありがとうございます。」
「シャルなら大丈夫だったもん!」
でも、シャルは少しだけ不満が有るみたいだ。なので少しお話しすることにした。
「そうだな、俺もシャルなら大丈夫だとは思ってた。」
「うん!」
シャルも思わず援護されたことにより嬉しそうにした。
「だけどな、シャルに万が一攻撃が当たったとしたら俺は悲しい。
どうしようもない時は頼むかもしれないが、余裕が有る時は無理せず、ビアンカに任せて欲しい。
あっ、一応訂正しておくが、ビアンカが怪我しても平気って訳じゃないからな?」
「適材適所じゃろ? 分かっておるのじゃ。」
「それにな、2匹を相手取ってたら避けるのに専念しちゃうから、シャルのカッコイイ必殺パンチが見れないだろ?」
「分かった。」
どうやらシャルも納得してくれたみたいだ。
もしかしたらシャルだったら、2匹を相手でも避けながら攻撃出来そうな気がしなくも無いが、出来ればもう少しレベルが上がって余裕が出来てからにして欲しいと正直思う。
「じゃあ次の部屋に行くぞ。戦闘方法はさっきと同じな。」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
次の部屋も同じくゴブリンナイトが3匹いたが、俺達は危なげなく倒すことが出来たので、恐らくこの階は油断さえしなければ問題無く攻略できそうだ。
「そろそろ戻らないと夜までに出られなくなりそうだな。」
時計が無いから正確な所は分からないが、そんな感じがした。
「ハル君戻るの?」
「今戻らないと、今日中に宿に戻れなくなっちゃうからね。
だけど、今後この階より下を攻略するんだったら、ダンジョン内での野営も考えないと駄目かもしれないな。」
「野営!」
俺が何気なく呟くと、それにシャルが反応してやる気を出していた。
「何だ、シャルは野営がしたいのか?」
「したい!」
「ふむ……」
アイテムボックスには食料も野営するための道具も揃っているから出来ない訳でも無い。どうしようかな。
「ナタリー、敵を倒したこの部屋で野営をしても大丈夫?」
「すいません。分からないです。」
ナタリーさんがすまなそうな顔をして謝ってきた。
「いや、知ってたら助かったな~って程度だから、そんなに気にしないで。
じゃあ、アイリは何か知ってる?」
「えぇ~! 私に聞いても知らないよ~!
だって、ハル君と出会わなかったらダンジョンなんて来る予定なんて無かったから調べたこと無いしぃ~」
「そっか。ビアンカも?」
「そうじゃな、あたいも知らないのじゃ。じゃがここだともしかするとゴブリンナイトが現れるかもしれんし、階段の小部屋で野営をする方が良いのでは無いかの?」
言われてみれば確かにそうかもしれない。さすがに地下8階みたいな通路に出る階は無理だが、地下9階みたいに小部屋になっている階なら行けそうか?
「試しに野営してみて、明日帰ってみようか?」
「やったー!」
シャルが大喜びをしているし、これも経験だしな。
こうして俺達はダンジョン内での野営に挑戦してみることにしたのだった。




