地下9階 1
下の階への階段が有ると思われる部屋までやってきた。
「じゃあ、ここのボスはアイリとティアに任せるぞ。」
「まっかせて~♪」
「頑張ります!」
「ビアンカはスケルトンが近づかない様に防御、シャルとナタリーと俺は、各々スケルトンの撃破だ。」
「任せるのじゃ。」
「頑張ります。」
「倒す。」
「じゃあ行くぞ!!」
「「「「「おー(なのじゃ)!!」」」」」
扉を開けて中に入る。やっぱり此処もオークメイジみたいだ。
「来るのじゃ!」
ビアンカさんが盾を構えて前に出る。
それを見たオークメイジがスケルトン召喚を始める。
「ブモッ! ブ『アイスウォーターアロー!』『炎の矢!』モオオオオオオォォォォ~~~!!」
ズシーン!
「・・・・」
「やったね♪」
「頑張りました。」
「お、お疲れさん?」
そうか、オークメイジと言っても魔法が使えるだけで、普通のオークと大して変わらないんだったっけ(汗)
オークメイジよ、安らかに眠ってくれ……
ドロップアイテムを拾い、部屋を見渡すと下に降りる階段が有った。
「どうする?」
「行く!」
「行きたいな~」
「行くのじゃ!」
「行きたいです。」
ティアさんは相変わらずニコニコ顔だ。ってことは俺次第か。
「そうだな、行ってみて無理そうなら撤退な。」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
階段を降りると広い部屋に出た。そして階段の側に扉が有った。
とりあえず部屋を見渡してみるが、暗くて向こうの壁は見えない。
「ティア、魔法で照らして貰えないか? ついでにスライムが居たら燃やしてくれ。」
「分かりました。」
ティアさんに狐火を飛ばしてもらう。どうやら今居る部屋は正方形の形をしており、四方の壁には各々扉が有るみたいだ。
どの扉から行くべきか……
「ど……ちらにしようかな、天の神様の言う通り!」
危ない危ない、どの扉にする? って聞いたら意見が分かれた気がしたからだ。
「ハルさん、それって何ですか?」
「ん?」
俺は自分の体を確認するが、何時もと同じだ。キョロキョロと辺りを見渡してみたが、変わった様子は無かった。
「あ、いえ、ハルさんが扉を選ぶときに、言っていた言葉ですよ。」
「ああ、そのことね。
これは俺の住んでた所で、物事を選ぶときに神様任せにする時に、使う言葉なんだよ。
言葉一つに対し1つの物を選んでいくんだ。ど・れ・に・し・よ・う・か・なってな感じで。」
俺は指で扉を指しながら声に出してみた。
「そうなんですね。面白いですね。」
「まぁ、文字数が決まっているから、開始する場所で何処が当たるかは分かっちゃうけど、お約束だな。
ちなみに住んでいる地域によっては言葉が多少違うから色んな種類があるぞ?」
「へぇ~、面白いね~
私の場合だと、ジョルシュ神様の言う通りになるのかな?」
(おっぱい!!)
あっ、何か物凄くやる気になってるな。ならばマブダチのためにも今度お願いしてみようと思う。
((´·ω·`)ショーボン)
いや、その……何だ、スマン。ショーボン創造神様はその次にお願いな。
「じゃ、じゃあ、そろそろ行ってみようか。」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
マップは上から埋めて行こうと思っていたので、上の扉を開けることにした。
扉のトラップは地下10階以降だから無いとは思うが一応確認だけはしておく。
「よし、何も無いな。」
扉を開ける前に注意と言うか、作戦会議を行うことにする。
「この向こうに3つの反応が有る。この階の敵はゴブリンナイトと書かれていたのだが、そうだとして3匹って対応出来るか?」
「今のあたいなら2匹までなら問題無いと思うのじゃが、3匹になるとどうじゃろうな。」
初めて遭遇した時は、1匹でも一杯一杯だったからな。分からなくも無い。
「魔法で足止めして、1匹ずつ倒すではどうでしょうか?」
ティアさんが提案をしてくれた。
「それしか無いかな?」
「ハル君ハル君! 範囲魔法しようか?」
「そうだな、最初に一発お願いするよ。」
「おっけ~」
「ハル様、1匹だけならシャルでも平気。」
「シャルが前に出るのか?」
「ん。」
「う~ん。」
確かにシャルが凄いのは知ってはいるのだが、悩むな……
「あの、ハル様。」
「何?」
「シャルに、あの子にやらせてあげて下さい。」
「ティアはそれで良いのか? 下手したら死ぬかもしれないんだぞ?」
「あの子なら大丈夫です。それともハル様は信用出来ませんか?」
「うっ……」
それを言われると痛いな。俺がシャルを信用していない訳が無い。チラリとシャルを見ると、やる気満々だ。
「シャル。すこしでも怪我をしたら直ぐに離脱してHPポーションを飲むことを約束してくれるか? その間は俺が代わりに入る。」
「シャルなら大丈夫。」
俺はそれに対して答えずに、ジッとシャルの目を見続ける。
「……分かった。」
どうやら折れてくれたみたいだ。良かった。
「よし、ならシャルにお願いするぞ!」
「うん!」
「ナタリー、スマンがシャルのフォローを頼む。」
「分かりました。」
「じゃあ、戦闘の確認するぞ。
まずアイリの範囲魔法による先制攻撃の後、ティアが1匹を足止めする。
ビアンカとシャルで1匹ずつ受け持って、俺とナタリーでシャルのフォローしつつ攻撃をする。
ティアの足止めが出来なかった、もしくは抜けてきた場合は、ビアンカが上手く誘導して2匹の足止めを頼む。」
「ハルよ、最初っから2匹を受け持った方がやりやすいのじゃが。」
「分かった。ならティアの足止めは無しで、攻撃魔法でビアンカのフォローをしてくれ。」
「分かりました。」
「ハル君、私も攻撃した方が良いかな? かな?」
「それは状況を見つつ判断してくれ。ただこの階は、通常の敵がゴブリンナイトだから、バンバン魔法を使うと魔力が足りなくなるかもしれないからそこだけは気を付けてな。」
「は~い。」
「何か質問は? ……無いならこの案で行く。ただ、必ずしも上手くいかない場合も考えられるから、その時は臨機応変で。」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
俺達は扉を開けて中に入る。
「ブリザード!!」
まずはアイリさんの範囲魔法での先制攻撃だ。
「「「ギャー!」」」
「ティア明かり!」
「はい!」
ティアさんの狐火を飛ばして明かりを確保しつつ、ビアンカとシャルが前に出る。
「ほれ、来るのじゃ!」
ビアンカさんが盾をガンガンと鳴らして挑発する。
3匹ともビアンカさんの方に向かいそうになったので、シャルが一番端の敵に対して攻撃を仕掛ける。
ガン!
本気の攻撃では無くてあくまで牽制だったためアッサリと防がれたが、ゴブリンナイトはシャルを標的に変えたみたいだ。
「えい!」
ナタリーさんが背後から殴り掛かる。ゴブリンナイトが剣で防ぐが、それは悪手だ。鎖が剣に巻き付き動きを止めた。
そこに俺が左から突きを入れる。
ガイン!
盾で受けられたが、例の貫通する攻撃が通ったらしく、ゴブリンナイトの動きが止まった。
「シャル!」
俺が声を掛ける前にシャルは動いていた。一瞬動きが止まった懐に入り込みパイルバンカーの一撃でアッサリと倒したのだ。
「次!」
ビアンカさんのフォローに回ることにする。横目で確認はしていたが、防御に専念すれば2匹を相手でも問題は無さそうだった。
ゴブリンナイトが攻撃を仕掛けるところを狙って、持ち手を狙って突きを入れた。
ガン!
ゴブリンナイトは、剣の腹を使って俺の攻撃を防ぐ。……が、剣を取り落としてしまった。ラッキー!
ゴブリンナイトは自分の右手を見て驚いているが、そんなこと気にしてて良いのか?
「えいっ!」
グシャ!
ナタリーさんの一撃が頭部へと炸裂した。うわぁ……
と、とにかく残り1匹だ。さすがに慣れた相手だったので、1匹だけなら問題無く倒すことが出来た。
「おつかれ~」
「こんな程度なら3匹でも行けそうじゃな。」
「余裕。」
「頑張りました。」
「結局最初の魔法以外使わなかったよ~」
「私も明かりくらいしか使いませんでした。」
思ってた以上に楽に倒せたな。もしかして俺達って結構強くなってる!?
レベルはそれほど上がってる訳じゃないんだけど……
「それにしても、ハルのあの攻撃は卑怯じゃな。」
「ビアンカ、あの攻撃って何?」
「アイリは知らんのか、ハルの攻撃はたまに防御を抜けるんじゃよ。おそらく剣を落としたのはソレじゃろう。」
「あーアレってそう言うことだったんだ。」
「最初の1匹目も動き止まってましたが、それもでしょうか?」
ナタリーさんも気が付いてたみたいだ。
「多分。何でそんな攻撃が出るのか俺も良く分らないんだけどね。」
「ハル君、スキルは?」
「特にそういった物は無いかな。ただ、俺は槍術は持ってなくて、代わりに竹槍術ってのを持ってるから、もしかしたらそれが影響してるのかもしれない。」
「竹槍術? 何それ?」
「何て説明したら良いのかな、竹って植物を切って槍にして戦う術? 実際竹槍なんて使ったこと無いけどさ。」
「何よそれ~」
「俺にも良く分らないんだが……」
その時袖をクイクイって引っ張られた。
「ハル様、シャルもそのスキル覚えたい。」
シャルが真剣な目をしてそう言ってきた。確かに防御無視系の攻撃はシャルにとっても使い勝手が良い攻撃方法かもしれない。だが……
「すまん、どうやって取得するのかサッパリ分からないんだ。」
「残念。」
そう言えば竹槍術ってどうやって覚えたんだっけかな? う~ん、思い出せないや。




