シッポに興味津々
ドスッ!
「ぐぇ!!」
お腹に思いっきり衝撃が入ったため、目が覚めた。
目の前には俺のお腹に座って怒っているシャルが見えた。
「しゃ、シャル? どうしたんだ?」
「何でも無い!」
何でも無いって態度じゃないんだが。
「ハルさん、おはようございます。」
「うにゅ? ハル君どうしたの?」
どうやら2人も目が覚めたみたいだ。
「えっと、俺も何が何だか。」
「「あ~」」
2人がシャルを見て何か納得していた。
「う~!!」
「ふふん、先に寝たシャルちゃんが悪い~」
「えっと、ゴメンね?」
どうやら隣で寝る権利を取られたことに怒っているみたいだ。でもこれって俺が悪いのか? ……悪いんだろうな。
予想だが、俺の背中で気持よく寝てしまって、そのまま一緒に寝ると思っていたが、俺がナタリーさんとアイリの2人とくっ付いていて、シャルが一人寂しく寝ていたから怒ったんだろう。
「ゴメンな。次からは起こしてでも確認するから許してな。」
「ん。」
女性を相手するには、キチンとしないと駄目なんだと学んだのだった。
例えシャルがまだ子供だったとしてもだ。反省である。
「シャル、昨日寝ちゃったから湯あみしてないだろ? 洗ってあげるからこっちおいで。」
「ん。」
「あ、私も洗ってあげる~」
「アイリは要らない。」
「え~!!」
アイリさんは振られてしまったみたいだ。
「では、私は朝食を作りに行きますね。」
「よろしくな。」
「はい。」
ナタリーさんは食事を作りに行ってしまった。アイリさんはベットでいじけていたが、少ししたら復活するだろう。
俺はお湯を張ってシャルを洗ってあげるのだった。シッポ? さすがにアイリさんの前では普通に洗うだけだぞ?
「んんっ…はぁ…うん…」
ってあれ?(汗)
アイリさん、そんな目で見ないで下さい。お願いします。
・・・・
シャルを何とか洗った後は、着替えて食堂へと向かう。
「おはよう。」
「おはようなのじゃ。」
すでにビアンカさんが座っていたので挨拶をする。
「今日は地下8階のボスじゃの。」
「ああ、頑張ろうな。」
「そうじゃな。」
俺がビアンカさんと今日の話をしていると、向こうではアイリさんとシャルが何やら揉めて(?)いた。
「ねーねー、シャルちゃんのシッポって気持ちよさそうだよね~、触って良い?」
「駄目。」
「何でよ~」
「シャルのシッポは、シャルとハル様だけの物。」
「え~良いじゃん! 触らせてよ~」
「無理。」
ふふふん♪ アイリさんよ、羨ましかろう! シャルのシッポはモフモフで肌触りが最高なんだよね!! 恨みを買いそうなので言わんけど。
そんな会話をしていると、朝食が運ばれてきた。
「お待ちどう様です。」
「やった~」
「待ってたのじゃ。」
「ご飯。」
どれどれ今日の朝食はっと、ご飯にハイオークの生姜焼きにキャベスリーの千切り、報連相の御浸しに、白ネギと豆腐の味噌汁だ。
何とも運動部の高校生みたいな朝食だ。良きかな良きかな。
一瞬ダイエ……ゴホンゴホン、ちょっと物足りない食事が出るかと心配していたからな。早速頂くことにする。
パクリ……このショウガナイの効いた甘辛いタレとハイオーク肉に絡み合っていて旨い!! そしてそのタレが染み込んだキャベスリーの千切りがまたたまらない!!
味噌汁で口の中をリセットした後は、また生姜焼きをパクリ! ウマー!!
ぱくぱくもぐもぐずずっ……ごっくん。
「ごっそーさん。」
食事も終わったことだし、ダンジョンに向けて出発することにした。
ダンジョンに向かう最中、アイリさんが懲りずに今度はティアさんにお願いしていた。
「ねーねー、ティアのシッポ触っても良い?」
「駄目です。」
「え~!! シャルちゃんと言い、ティアと良い、何で駄目なの~!」
「このシッポは私とハル様の物だからです。」
「シャルちゃんと同じこと言ってる。横暴だ~!」
「そうですか、シャルもちゃんとしていたのですね。安心しました。
折角の機会なので教えておきますが、キツネの獣人のシッポは番いにしか触らせちゃ駄目なんですよ。だから……そう言うことです。」
「えぇ~! そんなぁ~!!」
「アイリよ、気持は分かるが諦めるのじゃ。」
「だってぇ~! そうだ!!
シャルちゃん、お嫁さんにしてあげるから、だから……」
「嫌!」
アイリさんは、シャルにハッキリと断られてガックリと首を下げたのだった。どんまい。




