ゴードン商会
街の入り口で簡単な手続きをし、犯罪歴などの確認が行われ、ようやく街に入ることができた
ちなみに、身分証明が無いものは銀貨1枚の入場料を取られたが、そこはゴードンさんが払ってくれた
「何から何まですいません」
「いえいえ、気にしないで下さい。
さて、そろそろ夜になりますし、冒険者ギルドには明日行った方が良いでしょう。
今日は是非、私の家にでも泊っていってください」
手持ちも何もない俺はその提案がとても有難かった
「お世話になります」
そして向かった先は色々な物を取扱っている、そこそこ大きな商店だった
「ゴードン商会?」
「小さくてお恥ずかしい限りですが、私の経営しているお店になります」
「いやいや立派なお店じゃないですか、すごいですよ」
「ありがとうございます」
そう言ってゴードンさんはお店の中に入って行ったので俺も続けてお店に入った
お店の中は雑貨屋みたいな感じで色々な物が置いてあった
「今、帰ったよ」
「お帰りなさい、あなた」
出迎えてくれた人は少しふくよかではあるが、とても優しそうな人だった
「こちらハルさん、帰る途中で会ってね、今日は家で泊って行ってもらうことになった。
ハルさん、こちらは私の妻でマリーです」
「まぁ、ハルさん、ようこそいらっしゃいました。
長旅で疲れたでしょう、是非ゆっくりしていって下さい」
「ハルです、今日はお世話になります」
「何もないところですが、ゆっくりしていって下さいね。
さぁ、さぁ、ここで立ち話も何だし、奥へどうぞ」
奥に案内され、食堂のテーブルに着いた
マリーさんが料理とワインを用意してくれ、ゴードンさんと食事を楽しんだ
ワインは、日本で飲んでいたものと違って旨いと思った
ブドウに近い感じがしたが、たぶんブドウじゃないんだろうな、とにかく味が濃いというか深い感じがした
もしかしたら、高いワインだったのかもしれない
でも正直言うと、心残りでもあるキンキンに冷えたビールが飲みたかった…言わないけどね?
食事の方は、基本味付けは塩だけっぽい
素材の味を生かした料理と言えば良いけど、なんか物足りない感じがした
ゴードンさんが普通に食べている所を見ると、これがこの世界の標準な料理なんだろうか?
もしかしたら、異世界定番のマヨネーズで一儲けできるかも?
味噌とか醤油とかも有ったら良いなと、何となく思った
程よく酔いが回ったところで、ふと思ったことを聞いてみた
「そういえば、ゴードンさんは、マリーさんと二人暮らしなんですか?」
「いえ、息子が一人おります。
ただ、今は商売のために、王都の方まで行ってまして、おそらくそろそろ帰って来る頃かと」
「そうですが、父親に似てご立派な息子さんなんですね」
「いえいえ、私からすればまだまだ半人前でして、まあ、機会があればご紹介しますよ」
はははと笑いながらゴードンさんはうれしそうな顔をした
食事も終わりマリーさんがやってきて
「今日は長旅で疲れたでしょ、寝室に湯あみの準備をしたので、ゆっくり休んでください」
「はい、ありがとうございます。
それではゴードンさん、おやすみなさい」
「ああ、おやすみなさい」
マリーさんに寝室を案内され、湯あみをして体を拭いた後にベットに横になった
「明日は冒険者ギルドへ行って、とにかく生活する基盤を作らないとな。
おそらく元の世界には戻れないだろうし、もし、戻れたとしても、多分スクラップになった死体に戻るのか!?」
恐ろしや~と、ブルルと体を震わせた
「まだ自分の能力はわからないが、おそらく異世界主人公ごとくチートを持っているに違いない(確信)。
ま、その辺りも踏まえておいおい調べて何とかやっていくしかないな。
うぅ~あこがれの冒険が出来るとなると、興奮して眠れない!よし、羊でも数えるとしよう
羊が1匹…羊が2匹…羊が3…ぐぅ」
やっぱりの〇太君な晴彦であった