ダブルモフモフ~
「ふっ、俺様に掛ればスライムなんて余裕余裕~♪」
何とかスライムを撃退した俺は、勇者(真)のために、さらにレベルアップを頑張ることにした。
「その前にドロップアイテムを確認しないとな。」
スライムの体を構成していたゼリー状の塊は、倒した瞬間に溶けて無くなってしまった。何が言いたいかと言うと、ドロップアイテムは何もないってことだ。
唯一スライムが居たと思われる証拠は、濡れた地面だけだった。
「せめて魔石でも落として欲しかった…」
落ち込んでいても仕方がない、次だ次! 俺は気を取り直して散策をすることにした。
少し歩くと森へと到着したので、中に入ると一人の人物に遭遇した。
「待って居たぞ、勇者(笑)よ。」
「いや、マジで勇者(笑)は勘弁して下さい。普通に勇者でお願いします。
で、俺を知っているあんたは誰だ?」
「ここで有ったが百年目、死んでもらおう!」
「話を聞けよ! それに百年って、俺はここに来てから1日も経ってないぞ!!」
「行け! フ〇ンファ〇ネル!」
何と相手は九つのシッポを持つキツネの妖怪だった。
そして、そのシッポは切り離され、各々のシッポが意識を持つかの如く俺を襲う!!
「くっ!」
俺は何とかシッポを避けるが、多勢に無勢。俺は2つのシッポに捕まってしまった。
「は、離せ!!」
「くくくくっ、勇者(笑)よ、死ね!」
ガバッ!
「だから勇者(笑)はやめろおおぉぉぉ~~~~!! ってあれ? 何だっけ?」
よく覚えていないのだが、バ〇キリーに乗って、敵の宇宙要塞へ突入する夢を見た様な…タコハイ美味しいです(謎)
えっ? 番組が違う? 何を言っているんだ? 俺の夢の話だぞ?
おはようございます。
何か暑苦しいなと思ったら、ティアさんのシッポが俺のお腹を腹巻の様に、シャルのシッポが俺の首をマフラーの様に包んでいた。どうりで暑い訳だ。
「・・・・」
俺が我慢が出来なくなったので、ダブルシッポをモフモフするのだった。
「ひゃん!」
「あん♪」
2人が驚いて目を覚ましたみたいだ。
「ハル様?」
「ハル様、シャルの前ではちょっと…」
親子でのダブルジト目、ごちそう様です。
「どうせあたいには、シッポも胸も無いのじゃ…シクシクシク…」
あ、ビアンカさんがいじけてしまった。
「ビアンカ大丈夫だ。ちっぱいはステータスだ! 俺は好きだぞ!!」
「相変わらず意味が分からんこと言ってるのじゃ。
まぁ、ハルがあたいのこと好きなら構わないのじゃ。」
とりあえず機嫌は治してくれたみたいだ。
顔を洗い、着替えて装備を整えたら、食堂へ向かうことにした。
「アイリ、おはよう。」
「ハル君おはよ~」
「ナタリーは?」
「ナタリーなら朝食作ってるよ~」
「あ、私も手伝ってきます。」
ティアさんが慌ててキッチンへと向かって行った。
とりあえず席に着いて、朝食を待つことにした。
「ハルよ、今日はどうするのじゃ?」
「とりあえず地下7階に行って魚釣りをしようかと思ってる。
釣りエサがアイテムボックスに入れられない関係上、使い切らないと勿体ないしな。」
「なるほどの。今日こそは大物を釣るのじゃ。」
「私もがんばるよ~」
「それでも、シャルには敵わない。」
確かにシャルは昨日ヨンマを釣り上げてたな。
「シャルちゃん、そう言っていられるのも今日だけだよ~」
「負けないのじゃ!」
「なら勝負!」
何やら火花を飛ばしているみたいだが、藪蛇になりそうなので黙っておく。
「おまたせしました。」
その時ナタリーさん達が朝食を持ってやってきた。
「おっ、来た来た。ナタリーおはよう。」
「ハルさん、おはようございます。」
ナタリーさんが笑顔で配膳していく。今日の朝食も旨そうだ。
今日の朝食はっと、ご飯に卵焼きとウィンナー、報連相の御浸しにDAICONの味噌汁だ。
ぱくり…ほぅ、出汁巻き卵か! これは旨い!! この甘ショッパくて出汁の効いた半熟卵が最高だ!
ずずっ…あー味噌汁が体に染みるわ~
口直しに報連相の御浸しを、こりゃまたサッパリして旨い。
ぱくぱくむしゃむしゃ…ごくん。
「ごっそーさん。」
朝食を食べ終えた俺達は、今日もダンジョンへ向けて出発するのだった。




