今日の稼ぎは
帰りは問題と言う問題も起きず、サクサクと帰ることが出来た。
ダンジョンを出て地上に戻ってきた俺達は、ドロップアイテムを売りに行くのだが…
「さすがにコレは多すぎたか?」
運び屋も居ない俺達が、ホーンラビット肉が28個、グラスウルフ肉と牙が13個、オーク肉が52個、ハイオーク肉が8個、棍棒(大)が52本、グレードソードが8本、ブロードソードが1本、ラージシールドが1枚、ロングソードが1本って量を、6人だけで運べる重さでは無かったからだ。
いっそのことトルネラさんにアイテムボックスのスキルを教えるって手も有るが、どうした物か…
「ハルさん、武器と牙だけ売れば良いんじゃないでしょうか?
肉は食事に使っちゃっても良いですし、棍棒も薪になりますからね。」
そこにナタリーさんからの提案が有った。
なるほど、武器だけなら運べないことも無いか。
「そうするか。」
「はい。」
武器を分配して持ってもらい、冒険者ギルドへと向かうことにした。
相変わらず冒険者ギルドは混んでいたが、大人しく並ぶことにする。
多少時間は掛ったが、ようやく俺達の順番になった。
「トルネラさん、こんばんは。」
「おう、お前らか。」
カウンターに買い取ってもらう武器を並べていく。
「ほぅ、地下8階まで行って来たのか。」
「ええ、ハイオークが強かったですが、何とかなりました。」
「そうか、そう言えば地下7階で釣りはしたのか?」
「思い出した。トルネラさん、魚のエサって何処で売ってるんですか?」
「なんでぇ、エサを忘れたのかよ。お前は馬鹿だな。」
「うっ…」
正論なのでぐうの音も出ない。
「じゃあ、釣りはしないで帰ってきたんだな。」
「いえ、その場に居た人がエサを別けてくれまして、少しだけやりました。」
「良かったじゃないか、何か釣れたか?」
「俺はシャバを1匹、後はティアとシャルがヨンマを1匹づつかな。」
「ほぅ? いきなりシャバを釣るとはやるじゃ無いか! 釣竿を譲ってヤッタ甲斐が有ったってものだ。」
「ええ、良い竿でしたよ。」
「そうだろ、そうだろ~!」
トルネラさんは嬉しそうだ。実際良い竿だったからな。
「おっと忘れた、買取しないとな。グレードソードが8本、ブロードソードが1本、ラージシールドが1枚、ロングソードが1本、グラスウルフの牙が13本か。
全部で金貨10枚、銀貨1枚、銅貨3枚だな。確認してくれ。」
俺は代金を受け取った。
「なぁ、ハイオークの肉なんだが、余って無いか? グレードソードが8本あるってことは肉も持ってるんだろ?」
俺は振り返ってみんなの顔をみる。
「まあ良いじゃろ、こやつにはティアの件でお世話にもなったしの。」
「だね~」
「私も問題ありません。」
ティアさんとシャルは、俺任せらしい。
まぁ、断るつもりは無いけどね。
「わかりました。1個で良いですか?」
「問題無い! ありがとよ!」
俺は皮のリュックから取り出す様に、アイテムボックスからハイオークの肉を取り出して、トルネラさんへ渡してあげた。
「これだこれだ、ほら受け取ってくれ。」
トルネラさんが渡してくれたのは金貨3枚だった。
「えっ! ハイオークの肉ってこんなに高いのか!?」
「ここでの買取は金貨2枚だ。だが俺が買い取る関係で、ギルドポイントが付かないからな、その分の上乗せさせて貰った。
まぁ、冒険者ギルドから肉屋に降ろす金額がこの値段だけどな。」
「なるほど。」
ハイオークの肉って高いんだ。地下8階を周回するだけでかなり稼げそうだ。
さてと、用事も済んだことだし、宿に帰ってハイオーク肉で1杯やるとするか。
「それじゃ、俺達は行きますね。」
「おいおい、エサの話は良いのか?」
「あ、忘れてました。」
「まぁ、買取をしてしまった俺も悪いんだがな。ちなみにエサは此処で買えるぞ。」
「そうなんですか?」
「ダンジョン内で必要な物だからな。で、買って行くのか?」
「もちろん! 幾らですか?」
「1箱で鉄貨5枚だな。」
「1箱でどのくらい入って居るのですか?」
「重さだから誤差は有るが、10匹前後って所だな。」
「とりあえず人数分の6箱下さい。」
「おう、銅貨3枚な。」
俺はお金を支払って、エサ箱を受け取った。
「まいど、頑張れよ!」
「はい。」
今度こそ用事が済んだので、買取カウンターを後にした。
「はい、皆の分ね。」
俺は売り上げを人数分で割った金額を支払った。
「これで旨い酒が飲めるのじゃ。」
「やった~」
「ハル様、ありがとうございます。」
「ありがとう。」
「あれ? この金額だとハルさんの分が少なく無いですか?」
ナタリーさんが頭の中で計算したらしく、聞いてきた。
今回の稼ぎを人数分で割ると、金貨2枚、銀貨2、銅貨2枚、余りが鉄貨4枚になるのだ。
俺が鉄貨1枚を出すことで、丁度分けられたのだ。
「いいって、いいって、鉄貨1枚分だから気にしないでくれ。」
「ありがとうございます。」
ナタリーさんも下手に断るのも失礼と思ったのか、素直に受け取ってくれた。
後は餌をアイテムボックスに収納して帰るとする……あれ?
「どうしたんですか?」
俺が変な顔をしていたからか、ナタリーさんが聞いてきた。
「買ったエサを収納しようと思ったんだけど、入らないんだ。」
「ハル君、もしかしたらだけど、そのエサって生きているからだとか?」
「あっ!」
そう言えば生きている物を入れたことが無かったっけ。摘んだ薬草や、味噌等の菌とか、野菜や果物が生きているかと言われると微妙だが…
どうやら俺のアイテムボックスも他の異世界転生と同様に生き物は入れることが出来ないみたいだ。
仕方が無いので皮のリュックに入れておくことにした。
「よし、帰るぞ~!」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
俺達は冒険者ギルドを後にして、宿屋に帰るのだった。




