鍛錬 2
「そろそろお昼にしないか?」
所々休憩は入れてはいたが、疲れたも溜まってきたのと、お腹も減ったので提案してみた。
「そうじゃな、そうするかの。」
俺はアイテムボックスから、サンドウィッチとから揚げを取り出してビアンカさんに渡してあげた。
「ありがとうなのじゃ。」
「前に買ったエールも有るが、どうす「飲むのじゃ!!」…はい。」
俺はエールをコップに注ぎ、冷やしてからビアンカさんに渡してあげた。
エールを受け取ったビアンカさんは一気に飲み干してしまった。
「…ぷはぁ! 動いた後のエールは最高なのじゃ!!」
ゴクリ…あまりにも旨そうに飲んでいるのを見ると俺も欲しくなるが、このエールはビアンカさんの物だからな、我慢我慢。
「お替りなのじゃ!」
コップを受け取り、再びエールを注ぎ、冷やして渡してあげた。
「ありがとうなのじゃ。ハルは飲まないのかの?」
「正直飲みたい気は有るが、このエールはビアンカのだし、遠慮しとくよ。」
「構わないのじゃ! 一緒に飲んだ方が美味しいのじゃ!」
「そう? じゃあ1杯だけ貰っても良いか?」
「問題無いのじゃ!」
ビアンカさんの許可を貰えたので、1杯だけ貰うことにした。
「「乾杯~(なのじゃ)!!」」
ごきゅ、ごきゅ、ごきゅ…ぷはぁ!!
くうううぅぅぅぅ~~~~~~!! 運動の後で喉が渇いているのと、昼間っからの酒は背徳感も有って最高だ!!
正に今、この時を生きているって感じだ。
「旨い!!」
「じゃな。」
こうして俺達は昼飯を堪能するのだった。
「さて、もう少し頑張るかの。」
「おう!」
今度こそビアンカさんに一撃を入れてやる!
俺達は再び武器を構える。さてどうやって攻略するかな。
何だかんだ言っても、あの盾は脅威だ。
俺に力が有るのなら、力ずくでこじ開けるって方法が取れるのだろうが、俺は貧弱だ。
かと言って左右に揺さぶっても、ビアンカさんは移動はともかく、その場での回転は速いし、盾さばきも見事だ。
「くそっ、解決の糸口が見出だせない。」
俺は大きく距離を取って回りながら牽制しているが、打ち込める隙が見当たらない。
ふと、修練場は下が土だ。穴を掘ってバランスを崩すのも手か?
いや、ダンジョンでは穴が掘れないから、この手は却下だ。
後は風か水かで良い手は無いだろうか…
氷で滑らす? 凍るまで時間が掛かり過ぎる。
高圧洗浄? 盾で防がれて終わりだ。
パイルバンカー? ビアンカさんを殺す気か!?
シャワーや霧吹きでどないせーってんだ。
仕方がない、普通に何とかしよう。
フェイントの間に弱攻撃や強攻撃を加えながら、ビアンカさんの防御を崩すために頑張っている。
ビアンカさんからの攻撃も来るが、距離を取って攻撃しているため、問題は無い。
カンガン! ブン! カンカン、ガイン!! ブン!
気のせいかもしれんが、強攻撃を行った時のビアンカさんの引きつった顔が多くなった気がする。
カンカンカン、ガン! ブン! ガイン! ブン! ガイン!!
「くっ! いつつ! ハルよ、ストップ! ストップするのじゃ!!」
ビアンカさんが苦痛の声を上げたので攻撃を止めることにした。
「どうした?」
「どうしたもこうしたも無いのじゃ! 痛くて堪らないのじゃ!!」
どうやら先ほど言っていた、衝撃が突き抜ける感覚が増えて辛いらしい。
「本当に何なんじゃ、あの攻撃は。」
「何だと言われてもなぁ…」
俺はもう一度ステータスを確認してみることにした。
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名前:ハル
年齢:20
状態:普通
LV:7
HP:37/37
MP:80/80
STR:12
VIT:8
AGI:22
INT:28
DEX:28
LUK:4
スキル:投擲Lv5、言語理解、剣術Lv1、激おこぷんぷんLv7、魔力操作Lv8、生活魔法Lv8、鑑定Lv3、隠密Lv4、解体Lv4、調合Lv8、索敵Lv6、直感Lv2、アイテムボックス、恐怖耐性Lv2、竹槍術Lv4(new)、麻痺耐性LvMAX、呪い耐性Lv1、回避Lv3(new)、マッピングLv3、罠発見Lv2、罠解除Lv2
称号:命99、ケモナーLv2、暗黒変態紳士、薬剤師、ショーボン創造神の加護、中二病、このロリコン野郎!(確定)、女たらし、鬼軍曹、ジョルシュおっぱい神様の信徒(マブダチ限定)、おっぱいマスター
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先ほどと変わったことと言えば、さらに竹槍術と回避が増えたくらいか…ふむ。
「もしかしたらだけど、竹槍術ってスキルが影響してるんじゃないのかな。」
「竹槍術ってどんなスキルなんじゃ?」
「多分、槍術の派生だと思うんだが、何でこのスキルが出たのか俺にも分からん。」
「そうか、まあ良いのじゃ。」
考えても分からない物なので、ビアンカさんは考えを放棄したみたいだ。
「そろそろ終わりにするかの。」
「そうだな。」
何だかんだ言って、時々休憩を入れつつだが、7の時間ほど鍛錬してたからな。
俺達は後片付けをして上がることにした。
「そうだ、ついでに重りの量を増やしておくか。」
最近慣れてきた御蔭か楽になってきたからな、重りを1つ追加しておこう。
「よし、報告して帰ろう。」
「分かったのじゃ。」
俺達は鍛錬場を後に、受付へ向かうことにした。
冒険者ギルドは混み始める時間だったらしく、そこそこ人が居た。
これ、並んでいる間に8の時間になったら追加料金になるのだろうか?
考えても仕方が無いので、とりあえず並ぶことにした。
「次の方どうぞ~」
幸いなことに8の時間になる前に俺達の順番になった。
「カレンさん、鍛錬場の使用が終わりました。」
「お疲れ様です。えっと、7の時間のご利用なので、一人銅貨7枚になります。」
俺は銀貨1枚と、銅貨4枚を取り出して支払った。
「あたいの分は自分で出すのじゃ。」
「いいって、今日は俺のために手伝ってくれたんだろ? これ位はお礼と、夫の甲斐性として出させてくれよ。」
「あぅ…そう言われると断れないのじゃ。ありがとうなのじゃ。」
「…仲が宜しいんですね、羨ましいです。」
カレンさんがポツリと呟いたのが聞えてしまった。
もしかしなくても、これをツッコんだらきっと駄目な奴だな。俺は知らないふりをした。
「じゃ、じゃあ、俺達はこれで上がります。」
「あ、はい。では、カレンが承りました。
またのご利用をお待ちしております。」
用事も済んだのでさっさと冒険者ギルドを退散することにした。




