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バカップル


「お待たせしました。俺は彼女を世界で一番愛しているピラフと、好き好き大好きラブジュースです。ごゆっくりどうぞ。」


ウェイトレスさんが食事を持って来てくれた。

飲み物の方は案の定、カップル用のストローが2本刺さっている飲み物だった。

まぁ、これは予想通りだったからまだ良い、だけど、このピラフは何だ?

ピンクのご飯に色取り取りの花の様なデコレーションがされていた。正直に言うと、食指が沸かない色だ。

しかもスプーンは1つしかない。これって半分俺が食べて、残りをアイリさんに渡す…じゃないよな。

つまり、お互い「あ~ん。」し合いながら食べないと駄目ってことか。

もうここまで来たら開き直るしかないな。


「ほら、アイリ、あ~ん。」


「あ~ん。」


アイリさんが口を開けたので、ピラフをすくって食べさせた。


「ん~美味しい♪ ほら、ハル君も。」


スプーンを奪われ、すくって口元に持ってきた。


「ハル君、あ~ん♪」


「あ~ん。」


パクリ…甘っ! なんじゃこりゃ~!!

ピラフって言うから塩味かと思ったら、めちゃくちゃ甘かった。

やっぱりカップル用なので甘々なのだろうか…

これはアイリさんに多めに食べて貰わないとキツイな。

俺はスプーンを受け取り、アイリさんへと食べさせることにした。


何度か交互に食べたのだが、アイリさんは良くこんなものが食べられるよな。

見た感じ幸せそうに食べているので、不味くは無いみたいだ。

俺は、口の中が甘ったるくて辛いので、口直しをしたい。


「アイリ、飲み物貰っても良いか?」


「だったら、一緒に飲もうよ~」


「そ、そうだな。」


ストローが2本刺さった飲み物は、TVとかで見たことは有ったが、実際自分が体験することなるとは。

ストローを咥えると、すぐ目の前にアイリさんの顔が見えた。

アイリさんは俺の視線に気が付くと、ニッコリと笑ってくれた。

これ、めっちゃ恥ずかしいんですけど!!

いつまでもこのままってのもアレなので頂くことにした。


ごくり…甘っ!! これも甘い!! 全然口直しになりゃしない。

俺は一口でギブアップだ。でも、アイリさんがニコニコしながら飲んでいるので、口だけは付けて飲むフリだけはしておこう。


「美味しいね~」


「そ、そうだな。」


正直言うと、甘い物を食べて甘いものを飲むのは辛い。そして最後に甘いデザートもやってくる。ギブミー塩分!!

何とか食事が終わり、最後のデザートがやって来た。


「お待たせしました、君を一生離さないウェディングケーキです。注文の品は以上になります。ごゆっくりどうぞ。」


ウェイトレスさんがそういって去って行った。

と、とにかくこれを食べ終えればこの甘々の苦しみから解放出来るのだ。

えっと最後のケーキはどんなのかな…そこの深いガラスの器に色取り取りのスポンジケーキがティラミスの様に層になっている。

そして最上階にはホイップクリームにクッキーみたいな焼き菓子、イチゴ、ポッキーみたいなお菓子も刺さっていた。これケーキじゃなくてパフェじゃん!!

もちろん当然の如くスプーンは1本だけだ。もうどうにでも成れだな。


「はい、ハル君♪」


アイリさんがポッキーを1本取ったと思ったら、口に咥えて顔を出してきた。

これは…ポッキーゲーム!? えっ? これをやらないと駄目なの?


「ハル君早くぅ~」


アイリさんから遅いとの催促が来てしまった。

いや、別に今更アイリさんとそう言ったことをするのが嫌とは言わないよ?

ただここは他の人も居るんだし……って他の人達も2人だけの世界に入り込んで周りを気にしてないみたいだ。そうですか…

俺は覚悟を決めることにした。


パクリ…ポリポリポリポリ…パキッ!


「あ~ぁ、折れちゃった、残念~」


俺的には助かったが、アイリさんは残念そうだ。


「今度は成功させるよ~!」


どうやらもう一度挑戦するみたいだ。ポッキーは2本しか無いからコレが最後のチャンスなので、アイリさんのやる気は最高潮だ。


パクリ…ポリポリポリポリ…チュッ♪


「えへへへへっ、ハル君だ~い好き♪」


「お、おう。」


成功したアイリさんが嬉しそうにそう言ってきたので、思わず照れてしまった。

デザートもお互い食べさせて、ようやくすべて食べ終わることが出来たので、会計を済ませて店を出ることにした。

もちろんお金は俺が支払ったのだが、3品なのに銀貨1枚と銅貨5枚もするとは…

でも、嬉しそうなアイリさんを見ることが出来たんだし、何だかんだ言ってこう言ったバカップルみたいな経験は初めてだったし、味はともかく、俺もそれなりに楽しかったしな。

この位の値段で体験出来たのなら、まあ良いっか。


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