クレープ
さて、朝ごはんが昼飯になってしまったが、午後から何をしようかな。
「ティア、何処か行きたい、もしくはやりたいことって有るか?」
「やりたいことなら、先ほどハル様と一緒に食事作りが出来たので、それで十分です。」
「なら、少し街を散策でもしてみるか?」
「はい♪」
俺達は街に繰り出すことにした。
ティアさんは一度着替えてから来るそうなので、宿の前で待ち合わせすることにした。
「ハル様、お待たせしました。」
ティアさんがそう言って俺の左腕に抱き着いて来た。
相変わらずのおっぱいの感触が最高です。
ふと、ティアさんを見ると、着ている服が見た事の無い新しい物だった。
「あれ? その服って新しく買ったのか?」
「はい。奴隷の私にも平等に頂いているので買うことが出来ました。どうですか? 似合いますか?」
ティアさんの恰好は、黄緑色のふわっっとした感じのワンピースで、とっても似合っていた。
「ああ、ティアのイメージにも合ってるし、物凄く可愛いよ。
それに、お金については正当な評価による報酬で有って…と言うか、俺達は夫婦だろ? 嫁さんにお金をケチってどうすんだよ。」
「うふふふっ、そうですね♪
やっぱりハル様を選んで正解でした。」
「そ、そう? 俺もティアみたいな素敵な人を妻に持てて幸せだよ。」
「あぅ…」
「「・・・・」」
何となく恥ずかしくなってお互い俯いてしまった。
「そ、そうだ、い、行ってみたい場所って有ります?」
「特に無いので、ハル様にお任せしますね。」
「了解。」
まぁ、目的も無くフラフラするのも悪くないか。
とりあえず適当に歩いてみることにした。
街の中央に有る広場に到着した。
ここは色んな出店が出ていて賑わっていた。
「あ、ハル様、あれを食べてみませんか?」
「どれどれ? クレープ? 良いね食べてみようか。」
「はい。」
ティアさんが指さしたのはクレープの屋台だ。しかも結構並んでいるので人気店なのかもしれない。これは期待大だ。
俺達は列の最後に並んで順番を待つことにした。
たわいもない会話をすること数分後、俺達の順番になった。
「ティア、どれにする?」
「え~っと、こんなにも色々と種類が有ると、迷っちゃいますよね。」
「そうだな。」
ここのクレープ屋台は、某所の様な派手さは無いが、クレープ生地に生クリームと果物を挟んだタイプで、十分に美味しそうだ。
ティアさんは一生懸命何にするのかを選んでいた。
「何にするか決まったか?」
「あ、はい。これと、これのどちらかまでなら決まったのですが…」
ティアが見ていたのは、バナナと桃みたいな果物だった。
「なら、2つ買って半分こしようか。」
「はい♪」
「すいませーん、このハナーナと、ピッチーを1つずつ下さい。」
「はい。1つ鉄貨5枚なので銅貨1枚です。少々お待ちください。」
俺はお金を払い、出来るのを待つことにした。
焼けた鉄板に生地を乗せ、薄く伸ばして作るのは、こちらの世界でも同じみたいだ。
焼きあがった生地に生クリームと果物を乗せて包んだら完成だ。
俺は商品を受け取り、屋台から離れることにした。
「はい。」
俺は最初に桃のクレープをティアに渡した。
「ありがとうございます。」
どれ、出来立てを頂くとしますか。
ぱくり…うん、美味しいな。ただ贅沢を言えばもう少し甘みと言うか、チョコレートソースみたいなものが欲しいかもしれない。
いや、これでも悪くは無いんだけどね。
「ハル様、あ~ん♪」
俺がそんなことを考えていると、ティアさんからのあ~んを頂きました。
「あ~ん。」
ぱくり…旨い!! 味的には俺の食べたのと大して変わらないかもしれないが、ティアさんから食べさせてもらうって理由だけで、格段に美味しく感じるから不思議だ。
俺は、お返しとばかりに持って居たバナナクレープをティアさんへと向けた。
「ほれ。」
「あ~ん。 …おいひいです。」
ティアさんが嬉しそうにそう言った。
こうして俺達は楽しく食べたり、食べさせたりとして楽しんだのだった。
傍から見ればバカップルかもしれないが、今更だし気にしな~い(笑)
「あ~美味しかったな。」
「そうですね。」
「じゃあ、デートの続きをしようか。」
俺が肘を出すと、ティアさんがしがみついて来てくれた。
「はい♪」
俺達は広場を抜けて散策を続けるのだった。




