今日のナタリーさん 102
その後は、生活用品を買ったり、服を見に行ったりとしました。
久しぶりにゆっくりとしたかもしれません。
それに、アイリとビアンカさんと買い物に行くのも楽しかったです。
「ちょっと寄り道しても良いかの?」
「いいよ~、何処行くの?」
「酒屋じゃ。」
「相変わらず好きだね~」
「ドワーフにとって酒は命の薬じゃからの。」
「はいはい。」
私達は、ビアンカさんの提案で酒屋に行くことにしました。
「たのも~」
「おや、ビアンカ様。いらっしゃいませ。」
「うむ。例の物は見つかっかの?」
「申し訳有りません。今回もダメでした。」
「構わないのじゃ。もし見つかったらで良いので、その時は教えて欲しいのじゃ。」
「かしこまりました。その時はご連絡致します。」
「じゃあ、代わりに何時ものを頼むのじゃ。」
「では、お持ち致しますので、少々お待ちください。」
そう言って店員が奥へと行ってしまった。
「ビアンカ、何を探して貰っているの?」
「ん? 大したものじゃ無いのじゃ。麦の酒じゃな。」
「エール…だったら宿でも飲めるか。どんなお酒?」
「さあの、あたいも飲んだことが無いから分からないのじゃ。」
「何よそれ~」
「まぁ、ハルが飲みたいと言っとった酒じゃからな、気になって探しているだけじゃ。」
「へぇ~、ハル君のためにねぇ?」
アイリがニヤニヤとビアンカさんをからかう。
「なっ! 良いではないか! だいたいアイリだってハルのためだったら同じことするじゃろうに。」
ビアンカさんが真っ赤になりながらも反論している。
「それはそれ、これはこれ。」
「くっ…煩いのじゃ! だったら、見つかってもアイリにはやらん!」
「それってヒドくない?」
「知らんのじゃ。」
どうやらビアンカさんが、彼のためにお酒を探しているとのことでした。
自分が飲みたいからと言ってはいますが、ふふふっ、嘘ですね。
やっぱりこのメンバーと一緒になれて本当に良かったです。
「お待たせしました。」
丁度店員も戻って来たみたいです。
小さな入れ物に入った物を持ってきました。
「ビアンカ、それ何?」
「ドワーフの酒じゃ、火が燃える様な酒で、火酒と言われておる物じゃ。」
「へぇ~、後で少しちょうだい?」
「構わんが、人間にはキツイぞ?」
「物は試しでね? いいでしょ?」
「分かったのじゃ。」
「私もちょっと興味有りますね。」
「…ナタリーは飲み過ぎたら駄目じゃぞ?」
「私はそんなに飲みません!」
「どうじゃか…」
「アイリも違うって言ってよ。」
「・・・・」
「違うよね?」
顔を逸らされました。あれ?
・・・・
宿に戻って来ました。
「じゃあ、私は夕食のお手伝いをしてきます。」
「ナタリーよ、おつまみを何か頼むのじゃ。」
「わかりました。」
キッチンに向かうと、シャルティアさんが夕食を作っていました。
「何かお手伝いしましょうか?」
「あ、大丈夫です。今日は是非私にやらせて下さい。」
お手伝いも駄目みたいです。今日は任せることにします。
ちらりと材料を見ると、見た事の無い食材が有ります。
「見た事の無い食材ですね、何と言うのでしょうか?」
「これはオイッスターと言いまして、貝の仲間なんですよ。」
「そうなんですね、これもダンジョン産でしょうか?」
「はい。」
他にも何個か知らない食材が有りました。私もまだまだ勉強が足りませんね。
「そうなんですね。ではそちらはお任せするとして、私はビアンカさんに頼まれたおつまみを作りますね。」
「お願いします。」
では、おつまみを作るとしましょうか。
今日はこのケッコー鳥を使った物にしましょうか。まずは部位ごとに切り分けて一口サイズにします。
串に刺して塩、胡椒を振ったら、後は焼くだけです。
ジュー
炭火を使って焼いていきます。
鳥の油が落ちて、炭で焼ける匂いが良い感じです。
火が通ったので、他にも野菜を串に刺して焼いていきます。
「出来ました。」
「こちらも出来ました。」
シャルティアさんも完成したみたいなので、運ぶことにしました。
食堂へ持って行くと、彼も帰ってきてたみたいでした。
食事を並べ、席に着きます。
シャルティアさんが、甲斐甲斐しく彼のお世話をしています。
料理も、私達のとは違って特別品です。愛されてますね。
今日は全部お任せしたので、私は私で食事を頂くことにしましょう。
食事も終わり、彼とティアさんと別れた私達は、自分の部屋へと戻ってきました。
湯あみを済ませ、今はシャルちゃんの体を洗ってあげている所です。
「シャルちゃん、今日は楽しかった?」
「うん!」
シャルちゃんは今日会ったことを嬉しそうに話してくれました。
「そう、良かったね。」
体を洗った後は歯を磨き、ベッドへと入りました。
私はナタリー冒険者だ。明日もまた頑張ろう。
おやすみなさい。




