計画通り?
宿屋に戻った俺達は、食堂へ向かう。
アイリさんと、ビアンカさんがお酒を飲んでいたが、昨日みたいに酔っぱらってはいないみたいだ。
「ただいま。」
「戻った。」
「ハル君、お帰り~」
「先に飲んでるのじゃ。」
「ナタリーとティアは?」
「今、夕食を作ってるのじゃ。」
「ついでに、おつまみもね~♪」
「それは楽しみだ。」
とりあえず空いている席に座り、雑談しながら待つことにした。
「シャルよ、今日は何をしてきたんじゃ?」
「草原で薬草集めと、ハル様に新しい武器を買ってもらった。」
「ほぅ? どんな武器じゃ?」
「内緒。」
「えぇ~!」
「内緒。」
アイリさんがこっちを向いたが、シャルが内緒と言ってるのに、俺が教える訳にも行かない。
「まぁ、楽しみにしてなよ。カッコイイ武器だから。
正直、俺も欲しかった。」
「へぇ~、ハル君も欲しいってどんなのだろう?」
「見ての楽しみだな。」
「ぶ~!! ケチ!!」
「はいはい、アイリは、ハルさんを困らせないの。」
「だってぇ~!」
そこに夕食を持ってナタリーさんと、ティアさんがやってきた。
料理を配膳し終えると、ティアさんが俺の脇に座った。
「今日は私の番となりました。宜しくお願いしますね。」
どうやらすでに順番が決まっていたみたいだ。良いんだけどね。
さて、今日の夕食はっと、ご飯に何かのフライ、白いふわふわとした何かとサラダ、ニラと卵の味噌汁だ。そして珍しく赤ワインが付いていた。
「あれ? 俺だけメニューが違う?」
他の人のはご飯に何かのフライ、サラダに味噌汁だけだ。サラダは俺のと違って何時もと同じ物だ。
ビアンカさんには焼き鳥っぽいおつまみも付いていた。
「すいません、ハルさんの分しか用意出来なかったんですよ。」
ナタリーさんが残念そうにそう言ってきた。俺だけって良いのだろうか?
「ハル様のために用意した物なので、気にしないで下さい。」
そう言ってくれるのなら、ありがたく頂くことにした。
まずは何から食べようかと思っていたら、ティアさんが提案してきた。
「ハル様、こちらを醤油で混ぜてからご飯に掛けると美味しいですよ。」
「これって山芋か?」
「はい、そうですね。」
俺は醤油を掛けて混ぜてみた。その際、縦回転で空気を含ませるのがポイントだ。
この粘りは、山芋と言うよりは自然薯か? これは食べるのが楽しみだ。
混ぜた自然薯をご飯に掛ける。良い感じだ。
ぱくり…ん~!! 味は勿論のこと、このネバネバとドロッとした食感がたまんね~!! 何杯でも食べられそうだ。
出来れば麦飯でも食べてみたかったが、贅沢は言うまい。実際ご飯でも問題無いしな。
次はフライを食べてみる。
ソースは無いので醤油をちょっと垂らしてから、ぱくり…こ、これは!
「旨い!!」
カキフライだ。実はこれ好きなんだよね~!
牡蠣にあたった人は、二度と食べられなくなると聞いたことが有るんだが、これが食べられなくなるのは正直可哀相だと思う。
それにしても、このカキフライ、ミルクの部分が多くて、まるでクリームコロッケを食べているみたいだ。堪らん!!
口直しに味噌汁を一すすり、ウマー!!
ニラも大好きな野菜の一つだ。雑草の如く生えて来るので、コストパフォーマンス的にもお得だしな。
ただ、育ちすぎると繊維が堅くなって噛み切れなくなるから、注意は必要だけどな。
味噌汁に良し、炒め物に良し、餃子に良しと万能野菜だ。最高である。
続いてサラダを食べてみる。
今日は、何時ものサラダと違って、今日はちょっと変わり種だ。
アスパラにセロリ、かぼちゃの種と松の実、アボカドにチーズとトリュフが掛かっている。
そして、ニンニクと醤油をベースにしたドレッシングを掛けて食べる。こりゃ堪らん!
それにしても、此処まで食べてみて、ふと気になったことが有ったので聞いてみることにした。
「今日のメニューって誰が考えたの?」
「あ、私です。」
ティアさんがおずおずと手を上げてきた。
「シャルティアさんは私が知らない食材を色々と知ってて、凄かったんですよ。」
「そ、そうなんですね。」
ティアさんを見ると、ニコニコと俺を見ていた。
えっと、今日はティアさんの番ってことは、もしかして知っててこの料理を作ったのでしょうか?
フラシーボかもしれんが、何となく効果が発揮されてきた気がしてきたが、食事を済ませることにした。
パクパク、もぐもぐ、ずずー、ごくん!
最期のワインがまた格別です。程よいアルコールが良い感じです。
「ごっそーさん。」
食事が終わったので明日の話をすることにした。
「明日は…」
「はい、ハル様、宜しくお願いしますね。」
「あ、はい。」
どうやら本当に交代で全員と過ごすみたいだ。嬉しいから良いんだけどね。
「そうすると、シャルの武器はどうしよう。」
「だったら、あたい達が一緒に取りに行っても構わないのじゃ。」
「じゃあ頼むわ。」
「うむ。」
「そろそろ部屋に戻るわ、また明日な。ティア行くぞ。」
「はい♪」
みんなに見送られ(?)俺達は部屋へと戻るのだった。




