今日のお話し
実験が終わって落ち着いた所で、思い出したことが有った。
モツ煮込み事件(?)のせいですっかりと忘れたいたが、皆の恰好がボロボロだったのだ。
すっかり聞くタイミングを忘れていたので、聞いてみることにした。
「そう言えば、今日のダンジョンはどうだった?」
「「「「「・・・・」」」」」
みんな無言になってしまった。
もしかして何か有ったのだろうか?
「は、ハル君。」
「どうした?」
「笑わない?」
「何で笑うのさ。」
「あのね…」
アイリさんの話を聞くと、地図を読み間違えて迷子になったり、近道の壁だと思った所を進んで壁に激突したり、落とし穴に引っ掛かったりしたそうだ。
幸いにも、ケガもかすり傷程度で、すぐにナタリーさんに治して貰ったみたいだが、普段との違いで苦労したとのことだ。
「そっか、大変だったみたいだね。」
「うむ、ハルの有難みが良く分ったのじゃ。」
「そうですね。後、入り口で気が付いたので運び屋を雇ったのですが…」
「そーそー、アレは無かったよね~」
シャルもウンウンと頷いていた。
ティアさんも困った顔をしていた。
「何が有ったの?」
「攻略中もそうなんだけど、終わった後もしつこくナンパしてきて困ったんだよ~
私達にはハル君が居ることを説明したんだけど、聞かなくてさ~」
何だと!
「本当は女性の運び屋さんをお願いしたかったのですが、居なくて。」
「ロン君みたいな子が居たら良かったんだけどね~」
「とまぁ、散々だった訳じゃ。」
「お、お疲れ様です。」
「それよりハル君の方はどうだったの?」
「俺か? 俺はまず予定通りにトラップの講習を受けたよ。そこで何とモブさんのお兄さんに会ったんだ。」
「えっ? モブさんのお兄さんですか?」
「うん。さすがは兄弟だったよ。話し方がそっくりだったよ。」
「そうなんですね。」
ナタリーさんは受付嬢だったし、モブさんのことは良く知っていたんだろう。
後はトラップの種類や解除の方法とかを話してあげた。
「ふむ…それで、解除できないトラップはどうするんじゃ?」
「今の所どうしようもないし、基本無視するしか無いかな。
最悪、俺が開けるのも有りかなと思ってる。」
「それならば私が!」
案の定、ティアさんが自分がと言ってきた。
「だ~か~ら、それだけは却下だって言ってるじゃん。
最悪、俺なら死んでも何とかなるしね。」
「でも…」
「デモもストも無いの。これは決定だからね。」
「スト?」
「あ、いや何でもない。忘れてくれ。」
その後に薬屋に行って、今日の実験のことを思いついたことと、帰ってきてからモツ煮込みを作ったことは話した。
「アレは旨かったのじゃ!」
「だね~、ハル君また作ってよ。」
「私は作り方が知りたいです。一緒に作りませんか?」
「あ、私も知りたいです。」
「次はご飯が欲しい。」
「分かった。次はみんなで作ろうか。シャルもご飯を用意してやるからな。」
「うん!」
「「ありがとうございます。」」
さてと、後は部屋割りを決めて寝るだけだけど、みんなダンジョンで苦労したのも有って汚れているな。よし!
「今日は、お風呂に入ろう!」
「やった~!」
「おぉ! お風呂じゃ!」
「嬉しいです。」
「楽しみ。」
「お風呂…ですか?」
そう言えばティアさんは入ったこと無かったかな?
「お風呂は沢山のお湯に首まで浸かるんだよ。気持ち良いぞ。」
「そうなんですね、楽しみです。」
そうと決まれば外で済ませることにした。
お風呂の樽を出すと、前に入った時のお湯が入りっぱなしだった。
なので、一度お湯を捨ててから、新しくお湯を入れ直す。
後は小屋を上から被せてっと、完成だ。
「誰から入る?」
「ハル君、一緒に入ろ~♪」
「わ、私が!」
「入る!」
「あたいは、前回入ったしの、遠慮しておくかの。」
「え? ビアンカ、何時の間に入ったのよ!」
「ふふん、内緒じゃ。」
先ほど捨てたお湯がその時のです。言わないけど。
「ハル様、入り方を教えて貰いたいです。」
「えっと…みなさん疲れているでしょうし、一人ずつ、のんびりと入った方が良いのでは?」
「じゃあ、ジャンケンするよ~!」
「負けない。」
「今日こそハルさんと。」
「頑張ります。」
どうやら誰も聞いてないし、俺の選択肢は無いみたいだ。
何となくそんな気がしてたよ…
「じゃ~んけん、ぽい!」
「勝ちました!」
「う~!」
「負けた~!」
「残念です。」
どうやらナタリーさんが勝者になったみたいだ。
そして、そのまま今日の相部屋も決まったみたいだ。
「仕方ないね~、ほらティア、一番風呂どうぞ~
折角だから、シャルちゃんと一緒に入っちゃいなよ。」
「えっと、良いんでしょうか?」
「ナタリーは最後にしないとアレだろうし、初めてなんだし、お先にどうぞ~」
「分かりました。ありがとうございます。
シャル、使い方教えてね?」
「うん。」
そう言って2人がお風呂へと入って行った。
中からは仲良さげな声が聞こえてきた。
「ねーねー、ハル君。」
「どうした?」
「もっと大きなお風呂を用意しないの?」
「大きいお風呂かぁ…家を作るのなら良いけど、どうなんだろう?」
「場所も取りますし、外だと難しいですよね。」
「そうじゃの。こういう安全な場所ならまだしも、町の外なら一度に2人までが限度じゃろうな。」
「無理かぁ~、だったら仕方ないよね。
ハル君、ハル君、みんなが住める一軒家を買おうよ~!」
「一軒家? ここに永住するなら良い考えかもしれないけど、永住するの?」
「たまにはアルデの街に帰りたいと思うかもしれないけど、ハル君が住むっていうなら私は構わないよ?」
「私も構わないです。」
「あたいも問題無いのじゃ。」
「住む。」
「私はハル様が一緒ならば何処でも構いません。」
「と、とりあえず考えておくよ。」
確かに家が有ると色々と便利では有るんだよね、ただ迷宮都市に永住ってのもどうなんだろう?
色々と世界を見て周りたいって気持ちも有るし、迷う所だ。
あ、でも、ビールが有るならそこに永住しますが、何か?
そんなことを考えている内に、ティアさんとシャルが出てきた。
「とても良いお湯でした。お風呂ってこんなにも良い物なんですね。」
ホカホカに温まったみたいで、ほんのりと赤くなっているティアさんが色っぽい。
「次はあたいの番じゃな。アイリよ、一緒に入るかの?」
「私がビアンカと? 構わないけど、良いの?」
「うっ…ふ、ふん、構わないのじゃ。」
「じゃあ、入ろうっと♪ あ、ハル君、お湯追加でお願いね~」
「おう。」
俺は減ったお湯を追加で入れてあげた。
そしてアイリさんとビアンカさんがお風呂へと入って行った。
「ぬおっ! この肉の塊が!」
「ビアンカ止めて!」
「少しあたいにも寄越すのじゃ!」
「あふっ…や、やめ!」
何をやっているのやら…見てきても良いですか? 聞いたら許可してくれそうな気もしなくもないが、駄目だよね?




