別行動
少し息苦しさを感じて目が覚めた。
「すぅ~、すぅ~」
俺の胸の上でビアンカさんが眠っていた。もちろん事後である。
それにしてもビアンカさんは、相変わらず可愛い寝顔だ。
俺がじっとビアンカさんの顔を観察していると、ビアンカさんも目が覚めたみたいだ。
「おはようなのじゃ。」
嬉しそうな顔で挨拶してきた。
「おはよう。今日もビアンカは可愛いな。」
俺がそう言うと、ビアンカさんの顔が真っ赤になって。
「馬鹿…」
そう言って口づけしてきた。あっ、これはヤバイわ…
しおらしい態度はもちろんのこと、口づけする際に体を起こした瞬間に、ビアンカさんの小ぶりの生おっぱいが見えてしまった。
こうして俺のマイサンによる、親不孝物語が始まったのだ。
だけど、これからダンジョンに行くのだろうし、疲れさせるわけには行かない、我慢することにしたのだが…
「ハル?」
まぁ、上に乗っているビアンカさんにはバレバレなんだけどね。…ごめんなさい。
ビアンカさんからのお誘いが有ったが、何とか耐えて湯あみを済ませて着替えることにした。
「それじゃ、朝飯行こうか。」
「分かったのじゃ。だけど、ちょっとだけ良いかの。」
ビアンカさんがそう言って手を繋いできた。もちろん恋人繋ぎである。
俺達は仲良く手を繋ぎながら食堂へと向かうのだった。
食堂にはすでに朝食が出来ており、全員が揃っていた。
「みんな、おはよう。」
「待たせたのじゃ。」
「ハル君、ビアンカ、おはよ~」
「おはようございます。」
「あらあら、うふふっ。」
「ずるい!」
「まぁまぁ、シャルちゃんも大きくなったら、ハル君がしてくれるよ。」
とは言っても、そればっかりは何とも言えないのでノーコメントとしておこう。
俺達は席に着き、朝食をとることにした。
照り焼きチキンのハンバーガーと、サラダとリンゴーンジュースだ。
パクリ…パリパリの皮にジューシーな肉と甘辛いタレがレタスとトマトと一緒に食べることでさらに上品な味へとなっている。旨い!
リンゴーンジュースで口直しをし、サラダをパクリ…これは前にマスターに作って貰った醤油ベースのドレッシングか。最高である。
パクパク、もぐもぐ、ずず~ごっくん。
「ごっそーさん。」
今日もまた美味しく頂けました。
「今日、みんなダンジョンへ行って来るんだよね?」
「そうだよ~」
「じゃあ、これ渡しておくね。」
俺はアイテムボックスよりHPポーション改を10本、中級HPポーション改を5本、聖魔力水を6本と、地下6階までの地図を取り出した。
「HPポーション改は2本づつ、中級HPポーション改は1本づつ、ナタリーとアイリとティアは、聖魔力水を2本づつ持ってね。
地図は…そうだな、アイリが持って行くと良いよ。」
「…ハル君、過保護すぎじゃない?」
「そうじゃの。」
ウンウンとシャルも頷いている。
「回復なら私が。」
「それはそうなんだけどさ、状況によっては急いで治す必要も有るだろ? それに必ず直ぐにナタリーさんが対応できるとも限らないかもしれない。
それに何だかんだ言って最近中級HPポーション改を何度か使う機会も有ったし、使わなかったらそれで良いし、万が一の保険かな。」
「う~ん、そこまで言うなら持って行こうかな。」
「そうじゃの、ナタリーが怪我又は気絶してて動けんことも考えられるしの。」
「ハルさん、ありがとうございます。」
「頑張ってくる。」
「ハル様、私達のことを気を使って頂きありがとうございます。」
渡すものも渡したし、そろそろ俺も冒険者ギルドへ行ってみるとするか。
「じゃあ、俺は行って来るよ、皆も頑張ってな。」
「「「「「はい(なのじゃ)!!」」」」」
俺は宿を出て冒険者ギルドへと出発することにした。




