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今日のナタリーさん 94


私はナタリー、冒険者である。

朝になり目が覚めると、丁度シャルティアさんも目を覚ましたみたいです。


「おはようございます。」


「ナタリーさん、おはようございます。」


「それでは朝食を作りましょうか。」


「はい。」


着替えて身だしなみを整えた後は2人でキッチンへ向かいます。

さて、今朝は何を作りましょうか。

何となくご飯が良いかなと思ったので、ご飯を炊くことにしました。


「私はご飯を炊きますので、シャルティアさんはオカズの方をお願いします。」


「分かりました。今日は何を作りましょうか?」


「そうですねぇ…」


材料は卵にソーセージ、シャアケの切り身、キュロットにキャベスリー、せロリ、しぃたけ、トゥメイトウ、カライナですか。

シャアケを焼いて焼き魚と、キュロットとキャベスリー、カライナの野菜炒めでしょうかね…

そんなことを考えている内に、ふと思いつきました。


「そうだ、おにぎりにしましょう!」


「おにぎり…ですか?」


「そう言えばシャルティアさんは食べたこと無かったんでしたっけ。

 おにぎりは、ハルさんの好きな食べ物で、ご飯の中に具を入れて固めた物ですよ。」


「そうなんですね、ハル様の好きな物なら是非覚えたいです。」


「それじゃ一緒に作りましょうね。まずはご飯が炊けてからなので、シャルティアさんは卵焼きをお願いします。」


「はい。」


私はその間にスープを作ることにします。鍋に水を入れてしぃたけで出汁を取って…


・・・・


「オカズは全部作り終わったので、いよいよおにぎりを作ろうと思います。」


「お願いします。」


「まず、お椀に1杯分のご飯をよそいます。

 そしたら中心に指で穴を空けて、具を詰めます。」


今回の具はシャアケの塩焼きと、カライナのごま油で炒めてピリ辛ソースで和えた物です。

まずはシャアケの方から作りましょうか。


「具を詰めましたら、手を綺麗に洗ってから、水で濡らした手の指先に塩を付けて、手のひら全体に伸ばします。

 伸ばしたら、こうやってお椀のご飯を手に乗せて、握ります。」


お手本として一つ作ってみます。


「この時、強く握るのではなく、口に入れたらホロリと崩れる程度に握るのがコツですね。」


三角になる様に力を入れずにしっかりと握ります。


「後は、この海苔を撒いたら完成です。」


お皿に出来たおにぎりを乗せて見せてあげた。


「変わった形ですね。作業も複雑じゃ無いので、これなら出来そうです。」


「そうですか? でもこれって意外と難しいんですよ?」


「頑張ります。」


そう言ってシャルティアさんがおにぎりに挑戦しています。


「出来ました。」


見た目は完璧なのは、さすがはシャルティアさんですね。

でも、肝心の堅さはどうでしょうか?


「では、確認のためにも食べてみましょう。」


まずはシャルティアさんの作ったおにぎりを1個手に取り、半分に割ってシャルティアさんに渡します。

ぱくり…うん、初めて作ったにしては上出来です。でも、やはり少し力を入れ過ぎたみたいで、お米同士がくっ付いてしまってます。


「美味しいですね。」


「そうですね、初めて作ったのに上手に出来てますよ。では、今度は私が作った方を食べてみましょうか。」


先ほどと同様に私が作った方のおにぎりを半分にして、シャルティアさんに渡した。

ぱくり…うん、美味しいです。ただ、やっぱりマスターさんの味にはまだ届いてません。もっと精進しないと駄目ですね。

私がそんな反省をしていると、シャルティアさんが驚いていた。


「握り方一つでこんなにも味が変わるんですね。」


「そうなんですよ。私もまだまだ実力不足を感じていますし、お互い頑張りましょうね。」


「はい。」


全員分のおにぎりを握り終わったので、食堂へ持って行くことにしました。

すでにみなさんが、既にテーブルについて待って居ました。


「お待たせしました。」


私がそう言って配膳していくと、彼が感謝の言葉と共に咳をしています。

もしかして風邪を引いたのでしょうか? 彼の体が心配です。


えっと、昔の英雄様が良くやってたことなんですか? それは知らなかったです…

彼の喜ぶことをしてあげたい私は、次こそは失敗しない様に頑張ることを誓うのでした。


食事が終わった後は、昨日の依頼の結果を聞きに冒険者ギルドへ向かいます。

残念ながら依頼者はまだ決まってなかったとのことでした。こればっかりは仕方が無いですね。

なので、気を取り直してダンジョンに向かうことにしました。


流石に慣れた物で、ショートカットを使いつつ、あっという間に地下5階のボス部屋まで到着しました。

ここのボスはゴブリンナイトで、前回は魔法でアッサリ倒してしまいましたが、本来は結構強い相手です。

倒し方を相談していると、ビアンカさんが鍛えたいとのことでしたので、普通に戦うことにしました。


初めてここのボスと戦った時は結構苦労した記憶が有ります。今回はどうなるでしょうか?

私達の順番になり、ボス部屋へと突入します。

先制攻撃でアイリとシャルティアさんが仕掛け、他の3人がゴブリンナイトへと走ります。

あれ? 彼の武器がいつも使っている物と違います。

あの武器は見たことが無いですね、槍の先にシミターの様な武器が付いてました。どんな武器なんでしょうか?


ビアンカさんがゴブリンナイトへ攻撃を仕掛け、シャルちゃんがフェイントでバランスを崩した瞬間、彼の攻撃が炸裂しました。

すごい…あっさりと倒してしまいました。

だけど勢いがついた攻撃は、そのままビアンカさんへと襲ってしまいました。

でも、ビアンカさんはしっかりと見ていたので問題有りませんでした。良かったです。


彼はビアンカさんに謝り、今日の当番はビアンカさんに決まりました。

まぁ、仕方がないですよね。でも、羨ましいと思うことくらいは良いですよね?


地下6階へ降り、この前の探索の続きをします。

事前の調査で扉にはトラップが無いと把握していましたが、彼はしっかりと確認しています。

そうですよね、万が一と言うこともあり得るかもしれませんし、確認は必要ですよね。

ここはダンジョンなんだし、用心すぎることは命を守ることにもなりますからね。

さすがは彼です。


扉を出て少しするとオークが隠れているのを彼が発見しました。

みんなで相談した結果、魔法は温存の方向で行くことになりました。

事前に隠れていることさえ分かれば、今の私達にはオークなら危なげなく倒せるようになっていました。

まぁ、彼の戦略が見事にハマったのも大きかったですけどね。


今回の戦闘でシャルちゃんがみんなから褒められ、少し得意になっています。気持ちは良く分ります。

でも、こういった時の冒険者は危険ということも知ってます。過去に何人か帰らぬ人が居ましたからね。

褒めた一人でもある私が言うのもアレですが、少し注意をしておくことにしましょう。


でも、私が言う前にシャルティアさんがシャルのことを叱っていました。

正に今私が言おうとしたことだったので、ここは母親でもあるシャルティアさんに任せた方が良いでしょう。見守ることしました。

シャルティアさんに叱られシュンとした所に彼のフォローが入ります。

やっぱり彼は優しいです。そしていいお父さんにもなってくれると確信しました。

私達の間にこ、こ、子供が出来たら……あぅ…


シャルティアさんが彼の腕に抱き着いて、シャルちゃんをからかっています。

そして彼のことを『あなた』と…えぇぇ~~!! 羨ましいです!!

私も以前脳内で彼の呼び方を考えたことはありましたが、まだ実践できていなかったというのにぃ~! これは負けてはいられません!!


その時、シャルちゃんがシャルティアさんの抵抗で彼のお嫁さん宣言をしました。

うんうん、そうだね、シャルちゃんならきっとなれると思うよ。その時は一緒に頑張ろうね。

私はほっこりとしながらその様子を伺っています。

おっとイケマセン、ここはダンジョンでした。こんなにも気を抜いたら駄目ですね。


…でも、少しくらい良いですよね? シャルティアさんが彼から離れたので私も挑戦してみることにしました。

みんなの前で言うのはさすがに恥ずかしかったので、彼へと近づきこっそりと言ってみます。


「あ、あ、あな、あな…いえ、何でも有りません!!!」


最期の『た』が恥ずかしくてどうしても言えません。脳内では言えてたのにぃ~!!

ごめんなさい~!! 次こそは言える様になりますから~!!

私は恥ずかしさの余り逃げるのでした。


少しダンジョンを進み扉を開けると、彼がこの階の地図が分かったと言い出しました。

予想でスラスラと掻いた地図は中央の部屋をぐるっと何重にも囲む形で通路が描かれています。

あれだけの探索でこの地図を描けるなんてさすがは彼です。


それからは普通にダンジョンを攻略して地下7階の階段を見つけることが出来ました。

本当に彼が言った通りの地図だったので、さすがですね。

確認も踏まえ、地下7階へ降りることにしました。


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