釣り竿
地上に戻った俺達は、ドロップ品を冒険者ギルドへ売りに行くことにした。
冒険者ギルドは時間的にも混雑していたが、仕方が無いので並ぶことにした。
しばらくして俺達の順番になった。
「こんばんは、トルネラさん。」
「おう、来たか。」
「はい、今日の分をお願いします。」
俺は今日のドロップ品をトルネラさんへと渡した。
「相変わらず沢山狩ってきたな、少し待ってろ。」
そう言って品物を確認していく。
「えっと、ホーンラビットの肉が28個、グラスウルフの肉が15、牙も15、オーク肉が63個、棍棒(大)が63本、ロングソードが1本、ブロードソードが1本、ラージシールドが1枚だな。
全部で金貨15枚、銀貨8枚、銅貨4枚、鉄貨5枚って所だな、確認してくれ。」
「確かに。」
俺は代金を受け取った。
「じゃあな、また持ってこい。」
「あ、ちょっと聞きたいことが有るんですが。」
「何だ?」
「地下7階ですが、釣りをしたいんです。釣竿を売ってる場所を教えて貰っても良いですか?」
「もう地下7階まで行ったのか、そうだな、俺が昔使ってたヤツで良いなら譲ってやろう。」
「良いんですか?」
「同じ釣り仲間なんだろ? 匂いで分かるんだよ。
それにな、譲るのは俺がもっと良い竿を持って居るからだ。わっはっはっはっ!」
単なる竿自慢かよ。まあ貰えるのなら良いけどさ。
「ありがとうございます。」
「おう、今度持って来てやるから寄ってくれな。」
「はい。」
思いがけない所で竿の入手が出来た。これで用事も済んだことだし、買取カウンターを後にした。
「今回は一人金貨2枚、銀貨6枚、銅貨4枚、鉄貨1枚かな。」
俺は皆へお金を分配して渡した。
「あれ? これだとハルさんの分が少ないのですが…」
「鉄貨1枚分だし、みんなで分けてよ。」
「ハル様、それでは私の分を。」
そう言ってティアさんが自分の分を俺に渡そうとしてきた。
「良いって良いって、それはティアが使ってくれ。
それにほら、俺は釣竿貰うしね。」
「…ありがとうございます。」
ティアさんがそう言って大事そうに鉄貨を胸に抱えた。
「さて、後はカウンターで講習の確認してから帰るか。」
俺は混雑している受付の列を見て、少しうへぇ~と思ったが、並ぶことにした。
小一時間ほどしてようやく順番になった。
「次の方どうぞ~」
「カレンさん、こんばんは。」
「あ、ハル様、丁度良かったです。」
「何かありましたか?」
「先ほど講習を受けて頂ける人が決まりました。」
「おぉ!」
「それで、ハル様は向こうの都合で良いとのことでしたので、明日に決まりましたが大丈夫でしょうか?」
「はい、大丈夫です。」
「では、明日の9の時間にこちらまで来てください。」
「分かりました。」
「他に何か御用はありますでしょうか?」
「いえ、依頼の結果を聞きに来ただけなので大丈夫です。」
「では、カレンが承りました。
またのご利用をお待ちしております。」
受付を離れた所でアイリさんが
「ハル君良かったね、じゃあ明日は自由行動かな? かな?」
「うん、みんなに悪いけれど、そうしてくれ。」
「分かったのじゃ。」
「ハルさん、頑張ってくださいね。」
「分かった。」
「はい。」
これで冒険者ギルドでの用事も済んだことだし、俺達は宿に帰ることにした。




