地下6階 4
通路を進んで扉の所までやってきた。
前回の探索では無視した扉だが、今回はここを抜ける予定だ。
罠が無いと言われていても、つい確認してしまう小心者の俺である。
うん、先ほど調べた扉と同じっぽいな。俺は扉を開けることにした。
扉の先には左右に伸びている通路が有った。それを見て俺は、この階の仕組みが何となく予想出来た。
恐らくだけど、この道のどちらを進んでも、ぐるっと1週して戻ってくるのでは無いだろうか? 後は、突き当りの角を曲がった先を進んだ所に扉が有ると見た。
「何をニヤニヤしておるんじゃ?」
どうやら顔に出ていたみたいで、ビアンカさんが不思議そうな顔をしながら聞いてきた。
「いや、この階のマップが何となく分かっちゃってさ。」
「へぇ~、どんな感じになるの?」
アイリさんが興味津々で聞かれたので、地図を広げて皆に説明することにした。
「階段の場所がどこになるかは分からないけど、マップはこんな感じになるんじゃ無いのかな?」
最悪間違ったら間違ったで描き直せばいいやと、スラスラとマップを描いてみた。
「さすがはハルさんです!」
「ほぅ? これなら迷子にならなそうじゃな。」
「だね~、魔物も曲がり角さえ気を付ければ良いし、楽じゃない?」
「そうかもしれないけど、さっきのシャルの件も有るし、油断は禁物だよ。」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
とりあえず左に進んでみることにした。
少し進むと、前方にオークの反応を見つけた。
「前方に反応3。今度は曲がった先じゃ無いから、アイリとティアで1匹づつ先制攻撃をしてみようか。」
「まっかせなさい!」
「頑張ります。」
オークが見える所まで近づいた所で、魔法による先制攻撃を仕掛けた。
「アイスウォーターアロー!」
「炎の矢!」
オークは反対方向を見ていたため、不意打ちだ。
2人の魔法は見事2匹のオークの顔面に命中した。
アイリさんの攻撃した方はそのまま息絶え、ティアさんの攻撃した方は頭が炎に包まれており、転げまわっている。
残りの1匹がこちらに気が付き、怒りを見せながら向かってきた。
「ぶもおぉ!!」
「来るが良いのじゃ!」
1匹だけの相手なので、少し余裕が有ったので、ビアンカさんに攻撃を仕掛ける瞬間に、相変わらずの横槍を入れてやる。
グサッ!
俺の横槍は横っ腹に突き刺さった。と言うかクリティカルヒット? そのままオークを倒してしまった。
「あれ?」
余りの手ごたえの無さに、俺はビックリした。
残りの1匹はナタリーさんとシャルにお任せすることにした。
「えぃ!」
ナタリーさんの一撃がトドメになったみたいで、無事に倒すことが出来た。
戦闘が終わって確認してみると、どうやら角で待ち伏せをしていたオークだったみたいだ。
通路の向こうを気にしていて、先制攻撃を受けるオークか…アホだな。
オークのドロップを回収した後に、先を進むことにした。
角を曲がって…
「うおっ!!」
「どうしたんじゃ!」
「いや、此処にほら。」
俺が指を指した先に、不自然に盛り上がった何かが有った。
「トラップかの?」
「多分だけど、さっきのオークはこのトラップに引っ掛かったのを襲うつもりだったんじゃないかな?」
「何か頭が良いのか悪いのか、判断に迷う魔物みたいじゃの。」
「だな。」
トラップを避けつつ通路を進むと、予想通りに扉を発見した。
「ハル君凄い! 本当に扉が有ったよ!!」
「さすがは、ハルさんです!」
そこまで褒められる物でも無いと思うのだが、とりあえず褒めてもらうのは嬉しいから喜んでおく。
とりあえず扉を調べてみて、やっぱり何も無いことを確認してから開けてみると、案の定、左右に分かれた道が続いていた。
「これで確定だな。一応全部歩いては見るけどな。」
途中何度か戦闘を挟み、反対側の扉も発見。同様に確認してから開くとやっぱり通路が有った。
1週してから再び扉の所まで行き、また1週してを繰り返し、オークを倒しながら攻略して行った。
「あ、階段だ~!」
アイリさんの言う通り、俺達は地下7階へ降りるための階段を発見した。
結局この階は俺の予想通りだった。そしてどの通路にも1つのトラップが有ることが分かった。
まだ見ていない場所も有るが、この通路のトラップも見つけたし、有ったとしてもオークが居るくらいだろう。
「どうする? この階もほぼ調べ終わったし、地下7階を確認してから戻る?」
「行きたい~!!」
「行く!」
「行ってみたいのじゃ!」
「えっと、ハルさんにお任せします。」
ティアさんはこういう時は俺の意見に従うだけみたいで、何も言わないで微笑んでいた。
「よし、確認だけでもしてみようか。」
俺達は地下7階へ降りることにした。




