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地下6階 3


階段を降りると、例の部屋に到着した。

今回は右の扉から出てみることにする。

一応トルネラさんの言葉は信用しているが、万が一も有るからな。開ける前に確認だけはしてみることにした。


「ふむ、やっぱり普通の扉っぽいな。」


俺は取っ手を掴んで回してみると、扉は何事も無く開いた。

さて、上の扉から行くか、それとも下の扉から行くかだが、下手に聞くと喧嘩の原因になるかもしれないし、俺が決めることにした。


「じゃあ上の扉から行くぞ。」


俺は左の道を進むことに決めた。

少し歩くと曲がり角へと到着したが、その先に3つの反応が有った。どうやら待ち伏せしているみたいだ。


「その角の先に3つの反応があるけれど、どうする?」


「範囲魔法しようか?」


アイリさんが提案してきた。


「いや、あたいが出るのじゃ。」


ビアンカさんもやる気みたいだ。


「ハル君、どうする?」


「そうだなぁ~、今回の探索で地下6階の地図を完成させたいから、万が一を考えて今は温存かな。

 悪いけれど、アイリとティアで1匹を単発で対応して貰って良いかな?」


「おっけ~♪」


「頑張ります。」


「ナタリーさんは仕留めきれなかった場合の補助を、ビアンカさんが2匹を抑えている間にシャルと俺で攻撃な。」


「はい。」


「任せるのじゃ。」


「頑張る。」


「じゃあ行くぞ!」


ビアンカさんを先頭にして通路を曲がる。


「ぶもおおおおぉぉぉ~~~!!」


待ち構えていたオークが不意打ちを仕掛けてきた。


「バレバレじゃぞ。」


オークが居ることを知っていた俺達は落ち着いて対応する。


ガイン!


オークの振り下ろしをビアンカさんが盾で受ける。


「アイスウォーターアロー!」


「炎の矢!」


一番離れていたオークに目掛けて魔法を飛ばす。

アイリさんの攻撃は頭に、ティサさんの魔法は体に当たり、オークはそのまま倒れた。

2匹目のオークもビアンカさんへと迫り、攻撃を仕掛ける所を俺の突きが腕へと当たる。


「ブモッ!」


さすがは薙刀だ。結構深く刺すことが出来た。痛みで武器を落とし、硬直しているところにビアンカさんの斧が迫る。


ザシュ!


横一閃! 見事にオークのお腹を切り裂いた。

再び1匹目のオークが追加攻撃でビアンカさんへと仕掛けるが、そこにシャルが割り込み、身体強化込みのアッパーカット!

オークの体が少し浮きあがった。マジか!


「っと、今はそれどころじゃないな!」


俺はフルスイングでオークへと切りつけた。今度は誰にも当たらない様に剣筋をしっかりと計算する。

オークの横っ腹から肩に向けての切り上げだ!


ザシュ!!


遠心力も働き、オークを見事に切り裂き、オークを倒すことが出来た。


「よし!」


「余裕じゃったの。」


「ああ、それにしてもさっきのシャルの攻撃は驚いたな。

 まさかオークを打ち上げるとは思わなかった。凄かったぞ。」


「ふふん。」


シャルは得意顔だ。

それにしてもオークは見た目からしても200~300kgは有ると思うんだが、よくもまぁ、こんな小さな体で打ち上げることが出来た物だ。


「もうシャルちゃんも、立派な冒険者だね~」


「えぇ、私なんかよりよっぽど強いです。」


「えっへん。」


ますますシャルが得意顔になっていたら…


「シャル! あまり調子に乗っては行けません!」


ティアさんがシャルを叱った。


「何で!」


叱られたシャルは不満顔だ。


「シャル、調子に乗るなとは言いませんが、度を過ぎればそれが油断に繋がることも有ります。

 それによって貴方が怪我をすることで、悲しむ人が居ることを自覚しなさい。」


「…はい。」


流石はお母さんだ。言っていることは当然だし、大事な事だな。

俺はシャルの前に行き、目を合わせて話をすることにした。


「そうだな、俺もシャルが怪我をしたら悲しいぞ。だからティアが言っているのは本当だよ。

 大丈夫、シャルは強い! 気を付けて落ち着いてやればシャルなら問題ないさ、頑張れ!」


俺がそう言って頭を撫でてあげた。


「うん!」


シャルは、そう言って元気よく頷いてくれた。

嬉しさのあまりにシッポがブンブンと振られる、あぁ、シャルのもふもふシッポが…くそっ!


「ハル様、ありがとうございます。」


「いえ、ティアが言ってくれて助かりました。こちらこそありがとうございます。」


俺がお礼を言うと、ティアさんが嬉しそうに俺の腕にしがみ付いて来た。


「本当に良いご主人様に拾われました。シャルにとっても良いパパになってくれています。

 これからも宜しくね、あ・な・た♪」


ティアさんが悪戯っぽく言って胸を押し付けてきた。

ダンジョン内にも係わらず俺は索敵を忘れておっぱいに集中してしまった。


「違うもん! パパじゃないもん! シャルは将来、ハル様のお嫁さんになるんだもん!!」


俺はシャルのその言葉を聞いてテンションが上がってしまった。

これが噂に聞く娘に言われたいセリフNO.1のお嫁さんか…確かにグッって来る物が有るな。

それにティアさんに言われた『あなた』って呼び方もたまらん! ダンジョン内じゃなければ襲う所だった。


「ハルさん…」


「何やってるんだか。」


「いい加減にせんか!」


「「「ごめんなさい!」」」


確かにダンジョン内でやることじゃなかったので、素直に反省することにした。

でも、正直我慢が出来なくなったので、こっそりティアさんのシッポを触っておいた。


「きゃぅ! もう、ハル様ったらぁ~」


「はははっ、ごめん、つい。」


「ハル様だったら断らないんですから、言って下さればいつでも…」


ティアさんが上目使いでそう言ってきた。


「あはははっ(汗)」


これ以上やったら本当にマズイことになりそうだ。気を取り直し…あ、シャルに見られてた、すげージト目である。

さ、さて、気を取り直して探索を進めるとしますか!

その時ナタリーさんが、こっそりと近寄ってきた。何か有ったのかな?


「ナタリーさん、どうしました?」


するとナタリーさんが顔を赤くして


「あ、あ、あな、あな…いえ、何でも有りません!!!」


そう言うと、俺から急いで離れて行ってしまった。

何だったんだろう? 穴? トラップでも有ったのかな? なら気を付けないとな。

俺は気を引き締めるのだった。


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