この世界のこと
説明回です。
辻褄を合わせるために少し文章を修正しました。
「右も左もわからないところでしたので、おかげで助かりました」
「いえいえ、旅は道ずれと言いますし、お役に立てたならば幸いです。
ところで、ハルさんは町に着いたらどうするんですか?」
「そうですね、生活するにもお金が必要だと思いますし、何か稼げる方法が有れば良いのですが・・・」
「ならどこかに住み込みで働くか、冒険者などがよいかもしれませんね」
おお!異世界テンプレキター!!
「冒険者!やっぱりあるんですね、それなら冒険者ギルドとかもあるんですか?」
「よくご存じで、もちろんありますよ。
次に行く街にも、ギルドの出張所がありますので、行ってみますか?」
「ぜひ!お願いします!!」
「ははは、いやハルさんはさすがにお若いだけあって、好奇心旺盛ですね」
テンションMAXだった俺は恥ずかしさのあまり縮こまるのだった
しばらく馬車は進み、ゴードンさんからこの世界の事とか色々と聞いてみた
何でこんなことも知らないのか?と首を傾げていたが、嫌な顔せず教えてくれた
お金は鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、聖金貨とあって
鉄貨10枚で銅貨1枚と貨幣が変わるのに10枚必要との事
ちなみに鉄貨1枚が100円くらいっぽいなので、一つの家庭で金貨2枚ほど有れば、1ヵ月生活できるっぽい
それにしても、この世界が10進法で助かった
もし、8進法やら16進法だったら計算が大変になるところだった
時間は、地球と同じ、1日が24時間なのだが、機械式の時計なんてものはなく、時計は大きな町にしかないため、今が何時なのかはわからないそうだ、旅をしている人とかは、だいたい太陽の位置で判断するらしい
あ、ちなみに1日が有るってわかったのは、森に入ってからは、キチンと太陽が移動して夜になったからである
やっぱりあの昼間が続く世界は、ここと違う特別な場所なんだろうなと思う
話がそれたが、30日で1ヵ月、12ヵ月で1年とのこと
週間の概念は無いため、休日とかも特に決まってないみたいだ
じゃあ休みはどうするのか?と言うと、その人の気分次第で休むんだってさ(適当)
今いるこの地は、イリグドリア大陸と言われるところであって、カイトウ王国、アラ王国、トミリア聖国、サンリツ帝国の4つの国がある
この4ヵ国は、100年前まではお互いが争っていたそうだが、今は停戦状態で平和そのものらしい
それで、今いる所は、カイトウ王国のアルデの街付近なのである
一通りの会話が終了し、一息ついて落ち着くと、お腹がすいてたために、グーっと鳴ってしまった
「はははっ、ハルさんはお腹が減ったみたいですね。
少し早いですが、ご飯にでもしましょうか?」
今はだいたい夕刻で、あと小一時間ほどで街につく予定らしい
夕飯を食べると街に着くのが遅くなってしまう
だったら、移動しながらも簡単に食べられる、果物で小腹を満たす程度が丁度良いし、十分だ
果物もどうせ残り2つしか残ってないし、送ってくれたお礼として、ゴードンさんと分けて食べることにしよう
「いえ、もうすぐ到着するので大丈夫ですよ。
でも、自分が持っている果物があるので一緒に食べませんか?」
懐から果物を1つ取り出してゴードンさんに渡した
「すいませんね、それじゃありがたく頂き…ま…」
受け取ったゴードンさんは何故かそのまま固まってしまった
「あれ?ゴードンさんどうしました?たまたま見つけたものですが、とっても美味しい果物ですよ?
あ、毒とか気になるんですね、大丈夫ですよ、ほら」
シャクシャクとゴードンさんに見せるように食べて見せたら
ハッっと気が付いたゴードンさんは、震える声で聞いてきた
「ハ、ハ、ハ、ハルさ、さ、さん、この果物はどこで手に入れたんですか?」
「え?さきほども言いましたが、たまたま見つけた木に生っていたんですよ。
その果物がどうしたんですか?」
「私もオークションで1度しか見かけたことが無いので、確実ではないのですが、この果物は、命の木の実と言われるものに似ています」
「命の木の実?」
なんかド〇クエに出てくるのと同じ名前だな、HPが増えるとか?
「はい、そうです。
この実は、世界樹にしか実らないと言われていて、食べると寿命が2倍と言うか、2年で1歳しか歳を取らなくなり、さらに、寿命以外で死んだ時は、1度だけ生き返ることが出来るそうです。
確か…その時のオークションでは、白金貨100枚で落札されましたね」
え?俺一杯食べちゃったよ?ほんとにそんな貴重な実だったの?
しかも白金貨100枚って1億円!!これ1個で?
「え? マジホント?」
「おそらく…としか、王都に行けば、高レベルの鑑定スキルで、ハッキリすると思いますが…
ハルさん、本当に私が頂いてもよろしいのですか?」
まー知らなかったとは言え、あげた物でもあるし、
ちょっとは、いや少しは…ものすごーくもったいない気もしなくもないが、お世話にもなっていることだしな
「どちらにしても、ゴードンさんが言わなかったら知らなかったことですし、それに、一度あげた物なので、戻さなくても良いですよ」
「ありがとうございます。
せめて、お礼になるか分かりませんが、街に着いたら生活に必要なものを、私に用意させてください」
手持ちも何も無いのでその提案はとてもありがたかった
「こちらこそお願いします」
「ちなみにこの実は他には…」
「すいません、それが最後の1個なんです」
「せめて生っている場所でも分かればいいのですが」
「移動するために木から離れた直後に、森へ飛ばされたらしくわからないです。
実際、自分もどうやってあそこに居たのかも分からないから、正直お手上げですね」
と言うとゴードンさんが「そうですか」とガッカリとうなだれていた
日も暮れる時間になりようやく大きな塀に囲まれた街が見えてきた
「ハルさん、あれがアルデの街ですよ」
「大きな塀ですね~、あれってゴードンさん、やっぱり魔物の襲撃避けとかなんですか?」
「そうですね、その意味合いももちろんありますけれど、どちらかと言いますと、戦争の名残りです。
森の奥まで行くのなら別ですが、この辺の魔物でしたら、あそこまで大きな塀は必要有りませんから」
そっか、確か100年前に戦争がどうとかって言ってたっけ
そんなことを考え込んでいると、ゴードンさんがこちらに向かってニッコリと微笑みを浮かべた
「アルデの街にようこそ」
やっと着いた