賭け事?
食事をしている最中に、思い出したことが有ったので聞いてみることにした。
「みんな、さっき講習の話をしたけど、講師が決まったら相手の都合で日にちを決めたいと思うんだけど、良いかな?」
「良いも悪いも、あたいらのリーダーはハルじゃ、好きにしたら良いのじゃ。」
「そだね~、それにダンジョンに必要な技術でしょ? 反対する人は居ないと思うよ~」
「そうですよハルさん、だからこちらのことは気にしないで下さい。」
ティアさんととシャルは俺の決定に従うみたいで、特に意見を言うつもりはなさそうだ。
「そっか、じゃあ日時が決まったら連絡するよ。ありがとう。」
「どーいたしまして。」
「期待してるのじゃ。」
「頑張って下さいね。」
「待ってる。」
ティアさんはニッコリ微笑んだ。
「さて、みんな~、今日の部屋割り勝負行ってみようか!
今日の私は絶好調だからね~! ハル君との2人部屋は貰うよ~」
突然アイリさんが高らかに宣言してきた。
「何を言ってる、あたいに決まってるのじゃ。」
「えっと、あの、その、はい。」
ナタリーさんが私ですとも言う感じに手を上げた。
「勝つ!」
「遠慮しちゃ駄目なんですよね? 頑張ります。」
どうやら女性達の戦いが始まるみたいだ。
俺は怖いのので何も言わずにじっと我慢の子である。
「いつもじゃんけんだと芸が無いので、これを用意してみたよ~」
アイリさんがそう言って、ポケットから何かを取り出した。
四角錐を張り合わせたクリスタルの物体だった。これって…
「サイコロ?」
「ノンノン、ハル君これはダイスって言うんだよ~」
「なるほど。」
どうやら英語読みらしい。
「これってギャンブルに使う奴なのかの?」
「そだよ~、それで数字の大きい人が勝ちって言うのはどうかな?」
「良いじゃろう。勝負じゃ!」
「じゃあ、私から行くね~、えい!」
コロコロとダイスが転がり、7の数字で止まった。
「ふふん、勝負は見えたわよ。」
アイリさんは得意顔だ。
「じゃあ、次は私。」
シャルがダイスを転がす…
「8」
「嘘!」
「では、私ですね。えぃ!」
ナタリーさんがダイスを転がす…
「8ですね。」
「何で!?」
「次はあたいじゃな。」
ビアンカさんがダイスを転がす…
「8じゃな。」
「嘘!!」
「では、最後に私が。」
ティアさんがダイスを転がす…
「8でした。」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って! みんなズルしてない?」
アイリさんが慌ててそんなことを言ってきた。
「ズルも何も、これはアイリが持ってきた物じゃろ?」
「してない。」
「普通に転がしました。」
「私もです。」
「そ、そんなぁ~!」
アイリさんは膝から崩れ落ちた。どんまい?
「じゃあ、残った者で2回戦じゃな。」
そう言って皆でダイスを振り、結果は…
「また負けたのじゃ~!」
「残念です。」
「負けちゃいました。」
「勝ち!」
どうやらシャルが勝者になったみたいだ。
俺が4人部屋になる選択肢は無いみたいだ。いや良いんだけどね。
夕食も終わり、部屋に戻ってきた俺達は、湯あみをして寝ることにした。
シャルはいつも通りにスポポンと服を脱いた。
「なぁ、シャル。」
「何?」
「シャルも女の子でそろそろ年頃なんだし、もう少し恥じらいと言う物をだな、持った方が良いと思うぞ?」
「ハル様以外ではやらないよ?」
「いや、そう言うことじゃ無くてな。」
「…もしかして恥ずかしがった方が嬉しい?」
確かに恥ずかしがる女の子を見るのは楽し…じゃなくて!
「嬉しい、嬉しくない問題じゃ無いの!」
「でも、今ハル様、うれしそうな顔をした。」
バレテーラ。
だが、大人としてビシッっと言っておく。
「と、とにかく、そう言うことだから。」
ビシッっと言えなかった。
「分かった。」
とりあえず納得してくれたみたいだ。
シャルのシッポ以外を洗ってあげた後は、自分の体も洗い、明日のためにも寝ることにした。
シャルは俺の胸元に入り込んで横になる。
それじゃ、おやすみなさい…ぐぅ…
 




