上級HPポーション改
折角上級HPポーションの材料を手に入れたんだ、どうせならこれを使って上級HPポーションを作ってみたい。
そうと決まれば早速宿屋へ戻って試してみることにした。
「ケリー、前に使わせて貰った部屋だけど、また使わせて貰っても良いかな?」
「多分大丈夫だと思います。何日ほど使いますか?」
「とりあえず今日1日だけで良いんだけど。」
「では、父さんに聞いてきますね。」
ケリーが店主に聞きに行ったので待つことにする。
「ハルさん、使っても良いそうです。
ただ、1日の使用料金を払って欲しいと…」
確かに今はすでに夕刻前の時間だ。1日の使用料としては高いのかもしれない。
「まぁ、無理言って頼んだのはこっちだし、それで構わないよ。」
銅貨1枚を支払う。
「ごめんなさい。」
「良いって、それより対応してくれてありがとう。
それじゃあ、使わせてもらうな。」
「はい。ではごゆっくりどうぞ。」
よし、使用許可も貰ったし、早速上級HPポーションを作ってみよう。
アイテムボックスより師匠のレシピ本を取り出し、読んでみることにした。
「えっと、まずは鶏蕪徒の毒性を取り出さないと駄目なのか。
使うのは根の部分だけで、すり下ろして使うと。」
「確か調合のための道具にすり下ろし器も有ったな。」
大根すりみたいな物では無く、ワサビをすり下ろすためのデコボコしたヤツだ。
何となくワサビと同じにすった方が良い気がするので、軽くすり下ろして行く。
「えっと、すり下ろした根を灰と一緒に水から沸騰するまで煮込む。…ってマジかよ!? 薬用成分が抽出されちゃうんじゃね?
まぁ、やるしか無いか。灰の分量はすり下ろした根の分量と同じと。灰って何でも良いのか? あ、鶏蕪徒の茎と葉って書いて有ったわ。」
フライパンを取り出し、茎と葉を乗せて火を点けた。乾燥しているので良く燃えている。
数分でしっかりと灰になったので、天秤で重さを測り、鍋に水と根のすり下ろした物と一緒に入れて、火に掛けた。
しばらくすると沸騰したので火を止めた。
「えっと、そのまま放置することで灰に毒性が付着して沈殿すると。そしたら浮いている根の部分を取り出すか。」
そのまま見ていると、確かに灰が沈殿し、白い細かい物だけが浮いている状態だった。
「これを布で濾して…よし、次だ。」
「えっと、途中までは中級と作り方は同じか…聖水と毒堕観草を煮込んで塩を入れた後に先ほどの濾した根っこを入れるのか。
今回は材料も少ないし、最初から聖魔力水で作ってみるか。…正確には聖魔力水しか持って無いからが正解だけどな。」
聖魔力水を使って煮込んでから塩を入れて青色になった聖水に、鶏蕪徒の根を投入した。
すると根っこは溶けてしまい、青色だった聖水が黄色へと変化した。
「普通のHPポーションが赤、中級が青、上級だと黄色になるんだな。色で判断出来るのは便利かもしれない。」
後は普通のポーション作りと一緒だったので手慣れた物である。
出来上がったポーションはこんな感じになった。
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【上級HPポーション改】
品質:B
効果:HP回復+500
飲むと体力が回復する
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しっかりと上級HPポーション改になっていることから成功したっぽい。
多分だが、普通に作ったら回復量が250だったんじゃないかな?
上級HPポーション+だと375か?
とりあえず問題無く作れることが分かったので、もう1本を作っておく。
毒堕観草が5本残ったので、中級HPポーション改を5本、余った薬草でHPポーション改を2本作っておいた。
「それにしてもHPが500も有る人なんて居るのか?」
まぁ、作っちまった物は仕方がない。いつかは役に立つだろう。
ウチのPTで一番HPが多いのはビアンカさんだ。万が一のことを考えて予防として持っておいても良いだろう。
ポーション作りも終わったので、道具を片付けて自分の部屋に戻ることにした。




