新しい武器
さて、思ってた以上に早く済んでしまったな。
まだお昼前の時間だし、どうしようかな。
「まぁ、適当にブラついてみるか。」
適当に歩いていると、武器屋が目に入った。
「そう言えば、武器のメンテナンスってやって無かったな。」
一応毎日使った後は拭いてはいるが、そのくらいしかやってなかったし、一度見てもらうのも良いかもしれない。
カラン…
「いらっしゃい。」
店の中に入ると、色んな武器が沢山有った。
さすがはアルデの街とは違って武器の数が多いな。
「どういった武器をお探しでしょうか?」
店員が声を掛けてきたので、お願いしてみることにした。
「すいません。武器のメンテナンスをお願いしたいのですが。」
「はい。では、武器を出して頂いても宜しいでしょうか?」
あ、やべっ、アイテムボックスに仕舞いっぱなしだった。
「表に置きっぱなしなので取ってきますね。」
「は、はぁ。」
普通外に武器を置きっぱなしに何てしないからな、店員が不思議そうな顔をしたが、目の前で出す訳にも行かんからな。
一度店の外に出て武器を取り出して、再び店の中に入った。
「こちらになります。」
俺は短槍2本、短剣を店員に渡した。パルチザンはほとんど使ってないからまだ良いだろう。
十分に運べるサイズの武器だったのに外に置いてあったってことで、店員は変な顔をした。そりゃそうだよな。
「そうですね、この程度でしたら3本で銀貨2枚で承りますが。」
「どのくらいで出来ますか?」
「2の時間ほど頂ければ出来ます。」
「それでお願いします。」
俺は銀貨2枚を支払った。
「では、武器をお預かりします。」
店員は奥の部屋へと持って行き、戻ってきた。
「あれ? 店員さんがメンテナンスするんじゃないんですか?」
「私は単なる店員ですよ。メンテナンスは別の人が行います。」
「そうなんですね。」
「はい。」
まあいいや、折角なので少し武器屋の中を見てみることにした。
短剣、ロングソード、ブロードソード、レイピア、メイス、アックスと色んな種類が有るな。
おっ! これってシミターか? 少し反りが入った刀みたいな武器だ。
ふと思い出したことが有ったので聞いてみることにした。
「すいません、薙刀って有りますか?」
「薙刀でしたら、有りますよ。」
「有るんかい!!」
「え?」
「あ、いえ、何でもないです。前にここでは無い武器屋で聞いた時には薙刀を知らなかったので。」
「確かに一般には知られてないかもしれませんね。ここは迷宮都市ですから、色んな武器を取扱っているんですよ。
薙刀でしたよね。この武器は賢者様が発明された武器でして、巫女装束とセットで販売いたしています。」
またお前か…グッジョブ!
確かに巫女装束に薙刀は似合いすぎるからな。
「お幾らですか?」
「金貨5枚になります。」
ふむ、巫女装束はすでにティアが1着持っているんだが、予備として在っても良いか。
「買うぞ!」
俺はテーブルに金貨5枚を置いた。
「毎度ありがとうございます。直ぐにお持ちしますね。」
店員が奥の倉庫より薙刀と巫女装束を持ってきた。
薙刀は刃が50cm位で、柄の部分が150cmと合わせて2m程度の長さだ。
思ったより短いか? 片手で振りまわすのは無理だが、でも両手で持った感じでは重さはそれほど感じないし、取り回し的にも良い感じだ。
これからはこれがメイン武器で良いかもしれない。
「試し切りすることって出来ますか?」
「はい。店の裏に試し切り用の人形が有りますので、そちらを利用して下さい。」
店の裏に行くと、木の人形が置いてあった。
ふと、前にオークの皮を使った人形を買ったのを思い出した。
「どうせならこっちで試し切りをした方が良いか。」
俺はアイテムボックスより人形を取り出して設置した。
「ていっ!」
まずは突いてみた。
ザクッ!
オークの皮を貫通して見事に刺さった。
次に振り下ろして切ってみることにした。
「でやぁ!」
シュパッ!
武器の重さも手伝って綺麗に切り裂くことが出来た。
これなら短く持てば懐に入っても対処は可能かもしれない。
正直言って、これって短槍や短剣を使うより強くね?
良い買い物をしたかもしれない。オーク相手になると短槍や短剣だと牽制にしからないからな。
人形をアイテムボックスへ仕舞い、店に戻ることにした。
「いかがでしたか?」
「良い感じでした。」
「お気に召したみたいで良かったです。」
「ああ、これからはこれをメインで使って行こうかと思う。」
「え? この武器はお客様自身でご使用されるのですか?」
「そうだけど?」
「そ、そうですか。」
「何か変か?」
「いえ、薙刀は女性専用の武器だと賢者様はおっしゃっていた物でして。」
何その武器差別は。確かに薙刀少女は萌えるけどさ…
戦国時代の戦場では、男性も普通に使っていたハズだし、問題は無いだろう。
「おい、出来たぞ。」
そう声を掛けて奥から誰かやってきた。
武器を持ってきたのはドワーフだった。
何だかんだで2の時間近く経っていたみたいだ。
「ほれ。」
武器を店員に渡したドワーフは、そのまま奥へと戻って行った。
何も話すことは無いみたいだ。
「お客様、丁度良かったです。」
店員が出来上がった武器を渡してきたので受け取った。
仕上がった武器は新品同様に綺麗に磨かれていた。
「じゃあ、俺はこの辺で。」
「またのご利用をお待ちしております。」
店を出た俺は、武器をアイテムボックスへと仕舞い、再び街をぶらつくのだった。




