露店
久しぶりに一人で行動しているのだが、何か新鮮な感じだ。
べ、別にみんなと行動するのが嫌って訳じゃないぞ? たまには一人になりたくなる時だって誰にでも有るだろ?
そういう訳で、俺は今、町中を散策しながら冒険者ギルドに向かって歩いている最中だ。
「やっぱり迷宮都市と言われてるだけ有って、迷宮探索に関するお店が多いみたいだよな。」
アルデの街や王都、そして迷宮都市と、こうやって見て見ると街の特徴って出る物なんだな。
ちなみにアルデの街は色んな人が住んでいる街って感じだったのに比べ、王都は最先端の発信場所って感じが強かったな。日本で言う所の東京みたいな感じだ。
「へぇ、こんな所に露店街何て物が有ったんだ。」
大通りが1本入った路地に、フリーマーケットみたいな感じにゴザを敷いた露店がたくさん並んでいた。
こう言った所って掘り出し物が有る場合があるし、折角だから見ていくことにした。
「いらっしゃい! ウチは良い物が揃ってるよ! 見て行ってくれ!」
店主の許可も貰ったし、ゆっくり見せて貰うことにした。
この露店は何を取扱ってるんだ?
う~ん、宝石…の原石なのだろうか? 形は歪だが、色合いが綺麗な石が沢山並んでいた。
試しに1つ手に取って調べてみた。
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【カーネットの原石】
品質D
効果:なし
赤褐色の宝石で、別名ざっくろ石とも呼ばれる。
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なるほど宝石の原石だったのか。それにしても何処かの販売店みたいな名前だよな。
こっちのはどんな感じかな?
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【水晶の原石】
品質E
効果:なし
水晶の原石。不純物が多く含まれているため価値は低い。
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こっちは水晶か、確かに濁った色をしているな。
ならこれはどうだ?
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【ドパズーの原石】
品質C
効果:なし
ピンク色の宝石。衝撃に弱いため注意が必要。
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おっ、結構品質が高いってことは良い物なのかな?
ただ、宝石を加工する技術は持ってないしなぁ。
「何か気になる物は有りましたか?」
店主が声を掛けてきたので聞いてみることにした。
「この石を加工することって出来ますか?」
「すいません、私はあくまで仕入れた物を売ってるだけなので、そう言ったことはやってないですよ。」
「そうですか、残念です。」
綺麗に加工できるのならプレゼントにとか思ったのだが、仕方ないよな。
「ちなみに、ここに売ってる石って全部同じ値段なんですか?」
「はい、全て銀貨1枚でご提供してるよ。」
高品質のを買っておくってのも手だが、どうしようかな。
転売は高く売れるのかは分からないし、いつか加工できる技術を身に着けた時のために買うのも悪く無いのだが…あれ?
隅っこに転がっている黒い石から何やら変な感じがするな、これって何だろう?
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【魔石のカケラ】
品質D
効果:魔力提供(100MP)
壊れてしまった魔石の破片、壊れているため何の魔石はは不明。
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魔石!? 壊れたカケラの一部みたいだけど、魔石なのには違いない。
つーか、魔石って壊れるんだな…
「すいません、この黒い石も売り物ですか?」
「どれどれ? あぁこいつね。こんなにも黒い石って珍しいだろ?」
「はい。これって何処で手に入れたんですか?」
「何処だっけかなぁ…多分他の石と一緒に買ったから、多分アラ王国にある鉱山から出た物だと思うよ? 名前は何て言ったかなぁ、すまん覚えてないや。」
「そうですか、残念です。とりあえずこの黒い石だけ売って貰って良いですか?」
「じゃあ銀貨1枚だ、まいど!」
俺は銀貨1枚を支払って、魔石のカケラを手に入れた。
さすがにこの魔石のカケラでは、奴隷解放には使えないだろうけどね。
まぁ、何かの役には立つかもしれないし、まあいいか。
「他にどんな露店があるかな。」
俺は他の露店へと移動することにした。




