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今日のナタリーさん 90


私はナタリー、冒険者である。


今日は遅刻をせずに目を覚ますことが出来ました。

横を見るとアイリはまだ夢の中みたい。


「えへへ~、ハ~ル君~♪」


…はっ! 思わずひっぱたくところでした。

好きでやっているとは言え、こちらは朝食を作るために早起きしたのに、幸せそうに彼の夢を見ているアイリを見たら、ちょっとね…

さて、着替えて朝食作りに行くとしましょう。


「おはようございます。」


朝食の準備をしていたら、ティアさんがやってきました。


「シャルティアさん、おはようございます。」


「今日は何を作るのですか?」


「そうですねぇ…」


材料を見て何を作るかを考えます。

材料はパンにハム、レトゥース、トゥメイトウ、ドコーン、リンゴーン、卵ですか…

パンにサラダとスープ…いえ、この材料でしたら。


「シャルティアさん、サンドウィッチとコーンスープどちらが良いですか?」


「では、コーンスープに挑戦してみたいと思います。」


「じゃあ、お願いしますね。」


シャルティアさんは基礎が出来ているので、手順と注意しなければいけない所だけを教えるだけで済むので楽ですね。

では、私はサンドウィッチを作ることにしましょう。

パンを食べやすい厚さに切って、迷ネーズとマスタードMを塗り、ハムとレトゥース、薄く切ったトゥメイトウを挟んでいきます。

卵をスクランブルエッグにして迷ネーズと合わせた物を挟むパージョンも作って…っと、上出来です。

後はデザートとしてリンゴーンを添えてと、こっちは終わりました。


「シャルティアさん、そっちはどうですか?」


「はい、後少しで完成します。」


向こうも順調みたいです。

先に配膳しちゃいましょう。


彼が食堂にやって来たタイミングで、シャルティアさんのコーンスープも完成しましたので持って行くことにします。

うん、今日も美味しく食べてくれてありがとうございます。


今日は地下6階を目指します。

途中は特に問題も無く…いえ、シャルちゃんが少し不満が有ったくらい? ですが、無事ボス部屋へと到着しました。

いよいよ前回苦労した5階のボスとの戦闘なのですが…


えっと、こんなに簡単に終わってしまって良かったのでしょうか?

少しゴブリンナイトさんが可哀相と思ってしまいました。

シャルちゃんも出番が無くて不満げでしたが、でも安全の方が重要ですよね?


いよいよ地下6階の攻略です。

この階からトラップが有るとのことでしたので、いつもより彼が慎重に行動しています。

一生懸命扉を調べていますが、何も分からないらしく苦労しています。

結局分からなかったみたいなので、意を決して開けることにしたみたいです。


普通の扉だったみたいです。良かった。

一応ちょっとした怪我、軽い毒程度なら治すことが出来ますが、出来れば怪我だけはして欲しくないですから…


扉を抜けた先は左右に伸びた通路が有り、彼がどちらに行くかを聞いてきました。

みなさん思い思いの方向を言うと、ちょうど半分に分かれてしまいました。

ふふふっ、悩んでます。あ、別に彼を困らせたい訳じゃないのですが、この困った顔を見れるのも悪く無いなと思ってしまう私は、悪い女なのでしょうか?

彼が選んだのは左でした。私のとは逆でした。残念…


ちょうど曲がり角の先で待ち伏せする感じで敵が居るみたいなので、アイリの範囲魔法で倒すことにしました。

普通、冒険者だったら見渡しの良い場所で休憩するハズです。それなのに隠れて待ち伏せしているってことは敵としか考えられません。

やっぱり敵でした。しかも相手はオーク。

私ひとりでは無理ですが、みんなが協力すればそれほど怖い敵では無いとのことでしたので、少し安心です。


通路を進むと、彼がトラップらしき物を見つけたみたいです。

言われてみれば確かに不自然な感じがします。避けて通ることにしました。

少し進むとオークと遭遇し、アイリがオークを使ってトラップを発動させてみたらと提案してきました。

確かにトラップがどんな物か知っておくことは、今後の探索にも役に立ちそうですし、私もその意見には賛成です。


私達はトラップの反対側で待機し、彼がオークを釣ってくることになりました。

…落とし穴って予想以上に効果的なトラップなんですね。

今までホーンラビットを草原で狩るときに利用していただけは有ります。

穴自体は大した深さでは無いのですが、走る等の勢いが付いた時の効果はオークが身を持って証明してくれました。私も気を付けよう…


トラップを考慮して途中の扉を無視して歩くと、結局1週して戻ってきたみたいです。

色々調べたいことも有るみたいですし、地下5階へ戻ることにしました。


どうやら丁度ボス戦をしているみたいです。邪魔をしない様に気を付け…えっ?

戦闘中のPTは戦闘不能になっていました。助けなければ!

最期に刺された冒険者は…くっ!

ナタリーしっかりしなさい! 自分自身に喝を入れ、倒れている冒険者へと向かいます。


こちらも状態が酷いですが、まだ生きています!

私は必死に回復魔法を掛けます! 多少傷口が塞がったけど、私じゃ駄目だ!

何で私には力が足りないのだろう…悔しい! 少し涙が溢れてしまった。

でもその感情は後だ! 今は人命優先です! 彼に助けを…


彼を見ると青い顔をして震えている様に見えます。

恐らく初めて人の死を見てショックを感じているのだろう。

でも、今はそれを感じている余裕は有りません。私は彼に叫びました。


彼のHPポーション改の御蔭で、何とか2人を救うことが出来たのは幸いです。

もう1人の方は…ごめんなさい…


・・・・


無事ダンジョンを脱出することが出来ました。

一緒に戻ってきた冒険者と別れ、私達も宿に帰ることにしました。

彼が空元気で奢りを叫んでいます。かなり無理をしている様に見えましたが、私もそれに乗っかることにしました。


宿屋に到着し、全員で好きに飲み食いすることに。

…彼は何時もと違って随分お酒を飲んでいますが、大丈夫でしょうか?

他の人も何気に彼を気にしています。

そして彼は用を済ますために席を立ちました。


・・・・


「ねぇ、ハル君帰ってくるの遅くない?」


「大きい方かの?」


「ビアンカ、あんたね。それは食事する所で言うセリフじゃないわよ?」


「すまんのじゃ。」


「でもハル様、ちょっと遅すぎる気がしますね。」


「私見てきます。」


私はそう行ってお手洗いへと向かうことにしました。


トントン。


お手洗いの扉をノックしましたが、返事が有りません。


「ハルさん?」


「・・・・」


もしかして気を失っているのではないでしょうか?


「ハルさん! 大丈夫ですか!?」


ドンドン!


強めに扉を叩いても反応は有りませんでした。


「どうしましたか?」


声を掛けられたので振り向くと、宿屋の主人のサンタナさんが居た。


「あ、サンタナさん。ハルさんが入ったまま出てこないんです。」


「!! 失礼します!」


ドン!


サンタナさんが扉へ体当たりをして無理やり開けました。

そこには床に倒れている彼が居ました。


「ハルさん!!」


私が叫ぶが反応は有りません。

そこにみんなもやってきました。


「どうしたんじゃ!」


「何が有ったの?」


「ハル様!」


「大丈夫ですか?」


そして床に倒れているハルさんを見てビアンカさんがポツリと。


「泥酔して寝てるだけじゃな。まぁ心労も有ったんじゃろうな。この程度なら問題無いじゃろう。」


落ち着いて彼を見ると、胸が上下に動いて正しく呼吸しているのが見えたし、顔色もお酒で赤くなっている以外は問題なさそうです。


「だから飲みすぎだって言ったじゃ無いの~」


アイリが呆れ顔でそう言っている。

私は彼を救出するために扉を壊してくれたサンタナさんにお礼を言うことにしました。


「サンタナさん有難うございます。その…扉の方は弁償しますので、後で請求して下さい。」


「は、はい。」


「どれ、部屋に運んで寝かせるとするかの。」


ビアンカさんが彼を背負ってくれたので、打ち上げを終わりにして部屋に戻ることにした。


ドサッ。


とりあえず彼を4人部屋のベットに寝かせた。


「それで部屋割りはどうしようか?」


「何時もの方法で良いじゃろ。」


「でも、ハル君寝てるよね、どうしようか?」


「仕方ないの、あたいが一緒に寝て面倒を見てやるのじゃ。」


「え~! ビアンカズルイ!! そんなこと言うなら私も面倒見るんだけど?」


「あの、私もお世話したいです。」


ここで遠慮なんかしたら間違い無く2人部屋行きになりそうなので、私も立候補しておく。


「あ、でしたら私達は2人部屋に行きます。」


当然と言うか、やっぱりと言うか、シャルティアさんが私達に気を使って遠慮してきた。


「駄目です! こういったのは公平じゃないと駄目なんです。」


「そうね、いい加減ティアもシャルも遠慮するのは止めなさいよね~」


「でも。」


「でもも、へったくれも無いのじゃ! まぁ、最初に言い出したあたいが言えた話じゃ無いがの。」


「ねぇ、今日は皆で此処に泊まったら良いんじゃ無いのかな? かな?」


「そうですね、そうしましょう。」


私も同意します。


「じゃな、ならベットをこっちに運ぶのか?」


「ベットを4つくっ付ければ6人くらい寝れるでしょ。」


「あ、ハル様の意見を聞かなくても良いんでしょうか?」


「聞くも何も、ハル君寝てるしね~、良いんじゃない?」


「そうと決まればベットを移動するのじゃ。」


ベットを移動させて一か所に固めた。


「ほら、いつも遠慮するティアがハル君の脇ね。反対側が私~♪」


「あぁ! アイリズルイ~!!」


「早い者勝ち~」


「なら、あたいは力こそが勝ちじゃな。」


「ちょっとビアンカ! 引っ張らないで~!!」


私だって負けてはいられません。今の内に…やった♪


「あぁ~!! ナタリーが私の場所取った~!!」


「なぬ! しまったのじゃ! しかもシャルに上も取られた!?」


「ビアンカが余計なことしたら場所を取られちゃったじゃない、どうするのよ~」


「スマンのじゃ。」


色々有ったけど、こうして寝る場所が決定しました。

私はナタリー冒険者だ。明日もまた頑張ろう。

それではお休みなさい…






















結構お酒を飲んだせいか、固まって寝ているからかは分からないけど、暑いです。

ふと横を見ると、いつの間にかアイリが下着姿で寝ていた。

ん~彼しか居ないし、彼だったら別に見られても良いかな? 脱いじゃおうっと♪

ふぅ…涼しくなりました。

今度こそおやすみなさい…


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