脱出
部屋を出ると、次の順番待ちをしていたPTが居たので声を掛けた。
「全員出ましたので、どうぞ。」
「そうか。あいつらはあんた達が助けたんだよな?」
「ええ、たまたま地下6階から戻った時に、全滅直前だったので。」
「あいつらは運が良かったみたいだな。」
「…そうですね。」
「本来3人だったのが1人で済んだんだ、運が良かったんだよ、気にすんな。
よし! 俺達もああならないよう頑張るとするか。」
「お気をつけて。」
「おう!」
そう言って次のPTは扉の向こうへ消えて行った。
さて、先ほどのPTはどうなったかな。
俺が近づくと向こうも気が付いたので、俺は最初に助けたロイさんと話をすることにした。
「改めてお礼を言わせてくれ、ありがとう。」
「…はい。」
「仲間のことは気にしないでくれ、それでお礼の話をしたいんだが…
あんた達はこれから地上に戻るのか?」
「そうですね、その予定です。」
「すまんが、俺達も一緒に戻っても良いだろうか? 2人、しかもスミスを担いだままだとちょっとな…」
「良いですよ。」
「恩に着る。」
「みんなもそれで良い?」
「もちろんじゃ。」
「しかたないね~」
「大丈夫です。」
「うん。」
ティアさんは相変わらず俺の決定に異は無いらしく優しく微笑んでいた。
「じゃあ、行きますんで後ろを付いて来て下さい。」
「ああ。」
俺はボス部屋を出た通路を右に曲がる。
「おいおい、そっちは行き止まりだぞ。」
あれ? 抜け道ってまだ発表されて無いのか?
でも、緊急を要する物だし、地下5階まではすでに報告しているし良いよね?
「えっと、抜け道を使いますんで大丈夫です。
所で抜け道って知ってます?」
「知らないな、そんなものが発見されたんだな。」
「ええ、すでにギルドには報告しているので、近い内に公開されるんじゃないでしょうか?」
「もしかしたらすでに公開されているかもしれん。俺達の情報不足だけかも。」
「とりあえずその抜け道を使いますんで、特に危険な物じゃ無いので大丈夫ですよ。」
「わかった。」
行き止まりの壁まで来た。向こう側には反応は無いのでそのまま進むことにする。
俺が壁に入ると、後ろで驚く声が聞えた。
「なっ…」
「ここに見える壁は触れないですから大丈夫ですよ。」
俺がそう言うと、男たちはビクビクとしながら壁を抜けてきた。
「本当に通れた…しかもここは階段の近く!?」
「ええ、近道にもなりますし、便利ですよね。」
「ボス目当てか、奥に行くには余計な戦闘を省けるし、便利だな。
もしかして他の階にも有るのか?」
「ええ、まだ地下4階と5階しか見つけてませんが、他にも有ると思いますよ?」
「すごいな…」
さっさと先に進むことにした。
地下4階へ行き、次のショートカットへと進む。
「こんな所にも有るのか…」
さすがに2回目はそれほど驚かなかったが、感心しているみたいだ。
さくっと地下3階へと向かう。
「ここには無いのか?」
「はい。」
「まぁ、確かに有っても意味無さそうだしな。」
と言う訳でさっさと地下2階へと上る。
「この階も無いんだったな、ホーンラビットが面倒だが仕方ないな。」
「まぁ、戦闘はこっちでやりますんで。」
「頼む。」
何度かの戦闘をさくっと済ませ、地下1階へと進む。
地下1階はスライムが明かりにされている関係で戦闘は無くダンジョンを出ることが出来た。




