トラップ
通路を少し進むと扉が右側に見えたので、先ほどと同様に扉を調べてみることにした。
「…やっぱり分からん。」
つーか、さっきの扉と同じにしか見えねーよ!
これ素人にはムリゲーじゃね?
もう体当たりで攻略していくしか無いのか? それだと命が99個も有っても足りなくなりそうだ。
今日は諦めるとして、後でもう一度資料室を漁ってみることにするか。
俺は扉を無視して素通りすることにした。
「開けんのか?」
「罠かどうか分からないからな、一度冒険者ギルドで罠について聞いてみようかと思ってる。」
「そうじゃな、安全第一じゃな。」
扉を無視して進むことにした。
少し進むと左に曲がる道になっていたので、そのまま済むことに…
「あれ?」
「どうしたの~?」
「いや、見間違いじゃ無ければだけど、あそこの床何か変じゃね?」
「どれどれ? 確かに言われてみれば少し盛り上がってるみたいじゃの。」
そうなのだ、簡単に言えば薄い板の上に土をかぶせた様な感じに盛り上がって見えたのだ。
おそらくだけど、落とし穴じゃないのかな?
「踏むとどうなるか分からないから、みんな避けて歩いてね。」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
罠らしき物を抜けた先に反応が有った。
「この先に3つの反応有り、おそらくオークだと思うけど、どうする?」
「ねぇ、さっきの罠にオークを踏ませたらどうなるのか気にならない?」
アイリさんが悪そうな顔でそう言ってきた。
「そうじゃの、罠がどんなものかを知るのも悪く無いのじゃ。」
「私達ならたとえ罠に掛からなかったとしても何とかなりますよね?」
「そうだな、試してみるか。」
そうと決まればまずは罠の所まで戻ることにした。
罠を超えてから皆には待機してもらい、俺はオークを誘うために一人で進んだ。
一応隠密を発動して、アイテムボックスから石を取り出しておく。
ここは空気の流れが無いから風上とか関係無いので、あまり気にする必要は無さそうだ。
「居たな。」
前方に薄っすらとオークらしき影が見えたので、石を投げた!
ガッ!
手で投げたからダメージは期待できないが、こちらへの注意を引き付けることには成功したみたいだ。
怒ったオークがこちらに向けて移動してきた。
「よし、このままおびき寄せれれば…」
俺は急いでみんなの所まで戻ることにした。
「ハル君急いで!!」
これでも一生懸命走ってるんだけどね。
鍛えた御蔭で前より早くなったので、追いつかれない速度にはなったみたいだ。
俺は罠を飛び越えてから振り向き、武器を構えた。
「「「ブモモモモモ~~~!!」」」
獲物を見つけたオークが喜びの咆哮をあげて走ってくる。
トラップの場所まであと少し…
ズボッ! ビターン!!
3匹の内の1匹がトラップに嵌まったみたいだ。
トラップは落とし穴だったらしく、バランスを崩して倒れたみたいだ。
「任せるのじゃ!」
残り2匹のオークをビアンカさんが盾で防ぐ。
ガガン!
「ふん、所詮はオークじゃの。」
どうやら問題無く防げるみたいだ。
そこに俺とシャルが両脇から攻撃を仕掛ける。
「アイスウォーターアロー!」
「炎の矢!」
そこにアイリさんとティアさんの魔法が先に当たり、怯んだ所に俺達の追撃が入る。
「「ブモモモモォォォ~~!!」」
俺の攻撃は喉元に、シャルの攻撃は脇腹へパイルバンカーを打ち込み、オークは崩れ落ちた。
「残りの1匹!」
中々起き上がらないなとは思っていたが、よくよく見ると足が変な方向に曲がっていたため、起き上がれなかったみたいだ。
そこにビアンカさんと、ナタリーさんの渾身の一撃を頭へと打ち下ろし、戦闘は終了した。
肉と棍棒を拾った後に、トラップを確認してみることにした。
「単なる穴じゃの。」
「だね~、これなら落ちたとしても大丈夫かな?」
「いや、歩いている時ならまだしも、戦闘中だったら致命的かもしれないぞ? さっきのオークだって足の骨折ってたじゃんか。」
「あ、そうだった。」
「もし、私達の誰かが落ちたら、先ほどのようになっていたかもしれなかったんですね。」
ナタリーさんがそう言ってブルリと震えた。
「でも、これで敵にも同じ様に使えるのが分かったし、近くに有る場合は利用するのも良いかもしれないね。」
「そうですね。」
こうして無事トラップを含めた戦闘も終了したのだった。




