地下6階 1
階段を下りると、そこは地下5階のボス部屋と同じ広さの部屋が有った。
「あ、スライム見っけ。」
部屋の中央にスライムが居たのでとりあえず燃やしておくことにする。
落ち着いた所で部屋の中を見渡すと、左右に扉が有る以外は特に何も無かった。
「さて、いよいよ地下6階だ。ここからは罠が有るみたいだから慎重に進むことにするよ。」
「ハル君頑張って♪」
「応援してます。」
「プレッシャー掛けないでくれよ、罠って見たこと無いから自信無いんだから一応皆も気を付けてくれよな。」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
さて、どちらの扉から開けようかな…まぁ、気分的に左にしよう。
まずは罠が無いか扉を調べてみることにする。
「うん、全く分からん!!」
見た目普通の扉だし、針が飛び出しそうな穴とかも見当たらない。
そもそも鍵穴自体が無いし、もしかしたら罠とかは無いのだろうか?
「どうするんじゃ?」
「う~ん、開けるしかないんだろうけど、トラップが有るとすると怖いよな。
あれ? ギルドで読んだトラップの本には扉のトラップについては書いてなかったよな、もしかして扉にはトラップは無い?」
最悪死んだとしても生き返ることが出来る俺がやるのが一番だろう。
みんなを扉から離れさせて意を決してドアを開けることにした。
気分は箱の中身を当てるゲームで手を突っ込んでいる感じだ。
恐る恐る手を伸ばし、取っ手を掴む…何も起きないな…取っ手をゆっくりと回してみる…
ガチャ。
何事も無く扉は開いたのだった。
「…えっと?」
「ほれ、何も無いならさっさと行くのじゃ!」
「はい。」
ビアンカさんに言われたので扉の外へと進んだ。
扉の先には左右に伸びた通路が有った。
「どっちに行こうか。」
「じゃあ右~」
「あたいは左じゃな。」
「えっと、私も右でしょうか。」
「左。」
「あ、えと、わ、私はハル様が決めた方で。」
女性たちの期待している視線が辛い…これ、俺が決めなきゃならないの?
余計なこと聞かなければ良かった…
「じゃ、じゃあ、さっき左の扉から出たから、そのまま左を行こうか。」
「やったのじゃ。」
「ふふん。」
「えぇ~!!」
「残念です。」
ティアさんはニコニコしながら見ていただけだった。
気を取り直して通路を進む、少し歩くと曲がり角が見えたが、その先にも敵らしき反応が3つ有った。
「その角の先に敵の反応有り、数は3。」
「任せるのじゃ!」
ビアンカさんが前に出る。そこにアイリさんが提案をしてきた。
「ハル君、角を曲がった直ぐに居るんだったら、範囲魔法でもやろうか?」
「そうだね、ダメ元でやってみようか。」
「は~い。」
「今の所待ち構えてるみたいで動かないみたいだから、慌てなくて大丈夫だよ。」
「うん。じゃあ行くよ~!」
『我求めるは静かなる水、荒れ狂う吹雪で相手を凍らせ、ブリザード』
あ、呪文唱えるんだ、もしかすると唱えると威力が上がるのかな?
そんなことを考えている内に、アイリさんの魔法は発動した。
ちょうど曲がり角の見えるギリギリを支点とした吹雪が繰り出された。
「ブモモモモモォォォォ~~!!」
何処かで聞いたことが有る声だな。
吹雪が収まり、その後は静かになった。
「あれ? 反応が消えたってことは、倒した?」
「確認するのじゃ。」
ビアンカさんが用心のために盾を構えたまま角を曲がった。
「大丈夫じゃ、倒せたみたいじゃぞ。」
それを聞いた俺達も角を曲がってみた。
そこには大きな肉ブロックが3つと、大きな棍棒が3本落ちてた。
「これ、何の肉だろう?」
「う~ん、さっきオークっぽい声が聞えたから、オークの肉なんじゃないかな?」
「私もそんな感じがしましたね。」
「同感じゃの。」
「あ、鑑定すれば良いのか。どれどれ?」
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【オーク肉】
品質:B
効果:なし
ダンジョンのオーク肉のブロック
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「オークだったみたいだ。」
「と言うことは、この階はオークの階なんじゃの。なら余裕じゃの。」
「確かに森でのオークは余裕だったよな。なら範囲魔法は無しで行ってみようか。」
「「は~い。」」
俺達は引き続き探索を続けることにした。




