今日のナタリーさん 89
私はナタリー、冒険者である。
扉をノックする音に気が付き目が覚めました。
しまった! どうやら寝過ごしてしまったみたいです。
「シャルティアさん、スイマセン! 直ぐに着替えますので!」
「大丈夫ですよ、慌てないで下さい。」
シャルティアさんの有りがたい言葉に感謝し、急いで着替えます。
少しドタバタとしてしまったせいか、シャルちゃんも目が覚めてしまったみたいです。
「おしっこ…」
丁度良かったみたいです。
戻ってきたシャルちゃんですが、1人で部屋に居させるのも可哀相なので、一緒に食堂へ行くことにしました。
ちゃっちゃと朝ごはん作っちゃいましょう!
朝食が出来たタイミングで彼がやってきました。
では、温かい内に頂いてしまいましょう。
今日も皆さん美味しく食べてくれて、作った甲斐が有りました。
さて、今日は地下5階の攻略です。
昨日の反省も踏まえ、慎重に攻略していきます。
油断さえしなければ、この階の敵はそれほど苦労せずに倒せるみたいです。
しばらく進むと、地下4階でも見かけた扉の前に列になっている場所がありました。
どうやらここもボス部屋みたいです。
この階のボスはゴブリンナイトが居るみたいです。なかなかの強敵です。
私もそれほど詳しい訳では有りませんが、ゴブリンナイトはナイトと言う名称が名前に付くくらいでして、剣と盾を持ったゴブリンです。
強さはオークより上と聞いたことがあります。私達で大丈夫でしょうか?
2組目のPTがボス部屋から飛び出してきました。どうやら怪我をしたみたいです。
見た感じ結構深い傷です。私に治せるでしょうか…迷っている間に彼とHPポーションの取引をしたみたいです。
彼のHPポーションの効果は絶大で、あっという間に怪我が治ってしまいました。
ふと、私って居なくても問題無いのでは!? との不安が押し寄せてきました。
彼はそんなことは言わないとは思いますが、ガッカリされないためにも、もっとしっかりと聖魔法を頑張ろうと心に誓うことにしました。
いよいよ私達の順番になりました。みんな気合を入れます。
最初にビアンカさんが当たり、各個追撃を行います。私は怪我をしたら直ぐに対応出来る様に注意を払っておきます。
流石はゴブリンナイトですね、防御が上手です。
でも、ビアンカさんの体当たりで武器を落としてからは、こちらの一方的な攻撃となりました。
最期はシャルちゃんの一撃でゴブリンナイトを倒すことが出来ました。
みなさんお疲れ様でした。
ボスを倒した後は余裕のあるうちに帰ることにしました。
彼がまた抜け道を発見したので、みんなも疲れていることでしたので、近道を使って帰ることにしました。
ダンジョンを出て冒険者ギルドへ行き、ドロップアイテムを売買した後、副ギルド長の部屋に行くことになりました。
おそらく、この前の報告の結果が出たのだろうと思います。
やっぱり彼の報告した内容が凄かったため、かなりの高評価を貰いました。
白金貨10枚なんて凄い…さすがは彼です。
彼はそのお金をみんなで分けようとしたみたいですが、私も含め、みなさんも断りました。当然ですよね。
その後は宿に戻り、打ち上げをしました。
夕食はもちろん、私とシャルティアさんが腕によりをかけて作ります。
今回は新鮮なケッコウ鶏肉が手に入ったので、これをメインに何か作ろうと思います。
これだけだとアレなので、他にスープを作ろうと思います。
「シャルティアさん、スープの方をお願いしても良いですか?」
「はい。でも、どうせならシチューにしようと思うのですが、宜しいでしょうか?」
「もちろん良いですよ。では、お願いしますね。」
「任せて下さい。」
では、私はケッコウ鶏肉の方に取り掛かるとしましょう。
材料を見ると、ニンニンクとショウガナイ、塩魚汁、お酒、小麦粉とカッタ栗子ですか…ふむ…
この材料ならば、から揚げですね。
器に塩魚汁、お酒を入れ、すりおろしたニンニンクとショウガを入れ、ケッコウ鶏肉を適度な大きさに切って漬け込みます。
十分に味が染み込んだ所で、小麦粉とカッタ栗子をまぶして混ぜた後は、油で揚げていきます。
まずは中火でじっくりと火を通し、一度上げた後に、今度は強火で短時間揚げます。
これで外はカリッと、中がジューシーに美味しく出来るコツです。喜んでくれるかな?
「出来ました。」
「私も出来ました。」
シャルティアさんも丁度出来たみたいです。
時間が足りないため煮込みが足りないかもしれませんが、十分に美味しそうに出来ていました。
後はパンを焼いてみんなの所へ持って行きます。
うふふふっ、みんなが食べているのを見ると、美味しく出来たみたいで良かったです。
夕食も終わり、部屋に戻ることになったのですが、私はまたもや彼とは別の部屋となってしまいました。なんでぇ~!!
仕方ないですよね…今日はアイリと一緒に2人部屋です。
「あ~あ、ハル君と一緒が良かったのになぁ~!!」
「それは私も同じだよ。」
「ま、仕方ないか~、ナタリー先に湯あみさせてもらうね~」
「うん、いいよ。」
アイリが服を抜いで…
「アイリ! 何よそれは!!」
アイリの胸はもともと大きかったが、前より大きくなってない!?
しかも、理想的な形しているし…うらやましいです。
「へへ~ん。いいでしょ~♪」
アイリが自分の胸を両手で持ちあげて見せびらかせている。
「ど、どうしたのよ、それ!」
「うんとね、ハル君がい~っぱい揉んでくれたから、こうなちゃった♪」
「え? それ本当!?」
なら、私も彼に一杯揉んで貰えればもしかすると…
「う・そ♪」
「アイリ?」
「ゴメン! ナタリー顔怖いって!!
これは、多分、例の神様のお蔭だと思う!」
「そっか…」
例の神様って、確かおっぱい神様でしたっけ? 悔しいですが納得しました。
私にも加護が付かないでしょうか…
アイリの湯あみが済んだので、今度は私が済ませることにします。
タライに新しいお湯を張り、服を脱ぎ体を洗います。
むぎゅ!
「!!」
突然胸を後ろから掴まれました。
驚き、思わず声を出しそうになりましたが、犯人はアイリでした。
「アイリ、何をしてるのよ!」
「…ナタリー、胸大きくなった?」
「え? う、うん。少しだけど。」
「やっぱりね~、ナタリーあんた、自分が思っている以上に綺麗な胸しているのに気が付いてる?」
「そう…なのかな?」
「そうだよ~、加護無しでコレだもんね、自信無くすわ~」
「そうかな? えへへっ♪」
「ま、私の方が綺麗だけどね~♪」
「ぶぅ~! アイリのイジワル…」
今に見てなさいよ! 絶対アイリより綺麗になってやるんだから!!
私はナタリー冒険者だ。明日もまた頑張ろう。




