地下5階 3
ダンジョンに入ると、もうすっかりスライム明かりが定番になったみたいだ。
特にすることも無いのでサクサクと進むことにする。
地下2階のホーンラビット、地下3階はグラスウルフを蹴散らし、地下4階へ降りる。
地下4階については、今回は仲間以外は居ないので、ショートカットを利用してさっさとボス部屋へと到着した。
「相変わらず並んでるね~」
アイリさんの言う通り、ボス部屋には3組ほどのPTが並んでいた。
やっぱり必ず武器を落とすし、敵もホブゴブリン1匹だけだからだろう。
俺達も列の最後に並ぶことにした。
今回はサクサク進んできたため、お昼には早いため単なる休憩だけにしておいた。
ようやく俺達の順番になったので中に入り、タコ殴りでホブゴブリンを倒し、ショートソードをゲットした。
一応扉の外に声を掛けてから階段を降りることにした。
「さて、地下5階に到着したな。」
「どちらに行くんじゃ?」
「そうだなぁ、とりあえずこの前の所まで行って、マップを埋めていこうと思う。」
俺は左の道を進み、例の失敗した部屋の扉に到着した。
「中に3つの反応有り、敵かどうかは分からないので、油断しない様に。」
「「「「「はい(なのじゃ)!」」」」」
扉を開けて中に入ると、ホブゴブリンが3匹居た。
ビアンカさんが盾を構えて前に出る。
「炎の矢!」
「アイスウォーターアロー!」
続けてティアさんとアイリさんの先制魔法で攻撃を仕掛ける。
アイリさんの氷の矢はホブゴブリンの胸に刺さり倒したが、ティアさんの炎の矢はホブゴブリンの右肩に当たり、倒しきれなかったが、武器を落としたので結果オーライだ。
武器を落としたホブゴブリンはシャルに任せ、残りの1匹は俺とビアンカさん、ナタリーさんで対応することにした。
ガイン!
ビアンカさんがホブゴブリンの攻撃を受け止めるでは無く、今回は受け流したみたいだ。
そのせいで体制が崩れた所に俺とナタリーさんの左右による攻撃を仕掛ける。
俺は当てやすいホブゴブリンの腹へ短槍を刺し、ナタリーさんは頭部への強打を実行した。
「ギャー!」
避けることも叶わなかったホブゴブリンは、そのままお亡くなりになった。
「シャルの方はどうだ。」
武器を持ってないホブゴブリンはシャルの敵では無く、的確にダメージを蓄積させていた。
最期に顔面へのストレートで見事ホブゴブリンを撃破した。
「シャル、良くやったぞ!」
危なげなく戦ったシャルを褒めておいた。
シャルのシッポがパタパタと振られていた。
くっ…このシッポを触れないとは…(血涙)
「油断さえしなければ問題無いみたいだね~」
「そうですね。」
「あたい達ならこんなもんじゃろ。」
「でも、油断はしないで次も行くぞ。」
「「「「「はい(なのじゃ)。」」」」」
地下5階は地下4階と同様に通路と小部屋が複数ある感じみたいだ。
ただ、小部屋の数は地下4階に比べると多かったみたいだが。
通路ではホブゴブリンが1のゴブリンが3のグループで、部屋の中はホブゴブリンが3匹のパターンみたいだ。
油断さえしなければ、俺達はこの階は問題無く攻略出来るのが分かった。
今、有る扉の前に来たのだが、位置的には階段を下りた所から真っすぐ下の場所だ。
扉の前には2組のPTが並んでいた。と言うことは、ここはボス部屋か?
「多分だけど、ボス部屋っぽいんだけど、どうする?」
「挑戦するのじゃ!」
「私も挑戦したいな~」
「シャルも!」
ナタリーさんとティアさんは、みんなに合わせるみたいだ。
部屋の中には4つの反応が有る。何となく1対3で戦っているみたいなので、地下4階のボスと同じく1匹なのかもしれない。
だったら、挑戦してみるのも良いかもしれない。
「じゃあ、挑戦してみるか。」
「やった~!」
「腕が鳴るのじゃ。」
「頑張る。」
「皆さん、怪我をしない様にね。」
「シャル、気を付けるんですよ?」
「は~い。」
とりあえずみんなやる気満々なので、俺達も挑戦するために列に並ぶことにした。
折角なので、情報収集を行うことにした。
「すいません、良いですか?」
「何だ?」
「ここの部屋の敵ってどんなのですか?」
「何だ、知らないでここに来たのか?」
「勉強不足ですいません。」
「まあいい、ここまで来れるんだから、それなりの実力は有るんだろうしな。
この部屋の敵は盾と剣を持ったゴブリンナイトが1匹だけだ。」
「ゴブリンナイトですか、強いんですか?」
「ナイトと呼ばれるくらいだからな、それなりだ。
あの防御を抜けるのに苦労するんだよな。
それにな、ちょっと油断すると反撃を貰うから気を付けろよ。」
「貴重な情報をありがとうございました。」
「なに、冒険者ギルドへ行けば知れる情報だ、気にすんな。」
俺は会話を終わらせ、皆で話し合うことにした。
「どう攻略すれば良いかな?」
「そうじゃの、基本あたいと同じタイプみたいじゃの。」
「ビアンカの防御を抜くのも大変よね。どうするの?」
「殴る!」
「基本それしか無いだろうけどな。」
ふと、思い付いたことを聞いてみることにした。
「なぁ、魔法って盾で防げるのか?」
「真っすぐ飛んでいく魔法とかなら防げると思うよ~」
「ふむ…例えばだけど、ビアンカが足止めしている時に、足元にティアのファイヤーウォールや、アイリの範囲魔法とかってどうなんだ?」
「私の範囲魔法は人の近くで使う物じゃないよ?」
「私の炎の壁も自信は有りません。」
「そっか、いい考えと思ったんだけどな。」
「まぁ、敵は1匹だけだし、皆で周りから攻めるしかないんじゃない?」
「とりあえず今日はそれで行ってみようか。」
「「「「「はい(なのじゃ)。」」」」」




