ダンジョン入り口で
「…はっ!」
目が覚めた。どうやら朝になっていたみたいだ。
「ん~~~!!」
背伸びをして起き上がることにする。
「ん?」
何か違和感を感じた俺は周りを確認すると、自分が寝ていたベットが1つ、便器が1つと、鉄格子って
「前にも入っていた牢屋か!?」
すると、鉄格子の向こうから声を掛けられた。
「目覚めたようだな。」
「誰だ!」
俺が叫んで声をした方を見ると、マッドサイエンティストの恰好をした男が立っていた。
「何だ、忘れてしまったのかね? 私が君を改造したんだがな。」
「何!」
そう言えば俺は改造されてしまったんだった!
慌てて自分の体を確認する…特に変わった所は…無いか?
「喜びたまえ、手術は成功した。
変身することで、君は新たな力を手に入れることが出来る。」
「変身?」
「そうだ、左手を上に上げて『〇ーン プ〇ズム〇ワー メイ〇アッ〇!』と叫べば変身出来るぞ。」
「うぉい!! それ以上言ってはダメだ! 危険すぎる!!」
「どうした、力を見せてみろ!」
「くっ!」
やるしか無いのか!?
ガバッ!
「〇ーン プ〇ズム〇ワー メイ〇アッ〇! ってあれ? 何だっけ?」
「どうしたんじゃ! 何が有ったんじゃ!」
「え?」
どうやら俺は寝ぼけて叫んだ所、ビアンカさんが驚いたみたいだ。
「俺、何か言ったか?」
「確か〇ーン プリ何とかとか言っておったの。」
「ふむ。」
何となくそのセリフから一つ思いついた物が有ったんだが、危険な気がするので知らなかったことにしよう。うん。
「で、それは何なのじゃ?」
「さ、さあ? ゆ、夢だったし、忘れちゃったよ。」
「夢なら仕方ないの。」
「うにゅ~」
俺とビアンカさんの会話でアイリさんも目が覚めたみたいだ。
「あれ? ティアは?」
「ティアならナタリーと食事を作りに行ったのじゃ。」
「そっか。」
「ほれ、アイリも起きて朝飯食べに行くのじゃ。」
「ん~」
ビアンカさんがアイリを起こしている。
そっちは任せて自分も着替えるとするか。
・・・・
食堂へ向かい、席に着いた所で、朝食が運ばれてきた。
「ハル様、おはようございます。朝食をお持ちしました。」
「ティア、おはよう。いつも悪いね。」
「いえ、好きでやっているので平気ですよ。」
続けてナタリーさんもやってきた。
「ハルさん、おはようございます。」
「ナタリーもおはよう。ありがとう。」
「はい♪」
さて、今日の朝食はっと、ご飯に味噌汁、目玉焼きとソーセージ、そしてサラダだ。
ぱくり…うん、旨い! やっぱり日本人にはご飯に味噌汁だよな! この豆腐とワカメが最高だ!
目玉焼きはどうすっかな、今日はソーセージも有るし、ケツチャップで食べるとするか。
ぱくぱくむしゃむしゃ…ごくん。
「ごっそーさん。」
「ハルよ、今日はどうするんじゃ?」
「そうだなぁ、地下5階は攻略したいかな。」
「任せるのじゃ。」
「うん、宜しく頼むよ。」
「私も頑張るよ~」
「頑張る!」
「もちろん私も頑張ります。」
「お役に立てる様に頑張ります。」
「みんなありがとう。とりあえず今日は地下5階だけにして、明日は休みにしようと思う。」
「そうじゃな、休むのも必要じゃしな。」
「うんうん。そうだね~」
こうして今日の予定も決まったことだし、食事を終えた俺達は宿を後にするのだった。
・・・・・
さっそくダンジョンへとやってきた。
今日は運び屋を雇うつもりもないので、さっさと中に入ることにする。
入口に向けて歩いていると、声を掛けられた。
「あの!」
声を掛けられた方を見ると、そこには昨日運び屋をしてくれたロンが居た。
「悪いけど、今日は雇うつもりはないよ?」
「いえ! 今日はお礼を言いたくて待ってました。
お母さんを助けてくれてありがとうございます!」
そう言ってロンはペコリと頭を下げた。
「それは違うぞ? 助けたのはロン、君だ。
俺は、ただ荷物運びを雇っただけだ。」
「…それでも、助けてくれたのには違いありません! お蔭でお母さんは助かりました。
だから、やっぱりありがとうです。」
「そうか…なら、お礼は受け取ったよ。」
「はい!」
ロンはそれだけ言うと、走って街の方へ戻って行った。
「ハルさん、良かったですね。」
「…そうだな。」
「あ~! ハル君照れてる?」
「そ、そんなこと無いぞ?」
「良いから良いから~♪」
「ま、そう言うこともあったかもしれないな。」
照れくさいのでこの話は終わりにしよう。
「ほら、ダンジョン行くぞ!」
「「「「「は~い(なのじゃ)!」」」」」」
俺達はダンジョンへと向かったのだった。




