油断大敵
先ほどの小部屋の所まで戻ってきた。
相変わらず部屋の中に3つの反応が有ったので、まだ残っていたみたいだ。
扉を開け、今度は普通に入ることにした。
「ギャ?」
「あれ?」
そこにはホブゴブリンが3匹居た。
俺は慌てて戦闘指示を出す。
「みんな! 戦闘だ!」
「え? は、はい!」
「ちょ、ちょっと待つのじゃ!」
突然のことで、みんなアタフタしている。
これは完璧に俺のミスだ! 何とか体制を整えるまでの時間を稼がなくては…
「高温高圧洗浄!」
俺はみんなの前に出て、左手の全ての指で同時発動させる。
慌てていたため、2匹の足止めは成功したが、1匹が避けて襲い掛かってきた。
ザシュ!
ホブゴブリンの攻撃が俺の右腕を切りつける!
何とか避けれたので直撃では無かったが、結構深く切られてしまった。
「ハルさん!!」
ナタリーさん声が響く!
「こんの!」
ビアンカさんが何とか体制を整えたので、俺とホブゴブリンの間に割り込んできた。
ガン!
ホブゴブリンの追撃を防ぐことが出来た。
「炎の矢!」
「アイスウォーターアロー!」
ティアさんとアイリさんの魔法が、高温高圧洗浄で怯んだホブゴブリンへと直撃させた。
俺の所にナタリーさんが寄ってきた。
「ヒール!」
ナタリーさんが魔法を唱えると、俺の傷口は塞がったみたいだ。
今詠唱無かったよな? いつの間に覚えたんだろう…そんなことより今は戦闘だ!
「ありがとう!」
とりあえず今は倒すことが先だ! ビアンカさんが攻撃を防いでいる所へ加勢しに向かった。
ホブゴブリンが再びビアンカさんへ攻撃を仕掛けようとした所へ、俺の攻撃を繰り出す!
「ギャ!」
俺の攻撃は、防がれてしまったが、そのタイミングでビアンカさんのシールドバッシュが発動する。
「今じゃ!」
ホブゴブリンの体制が崩れた所にシャルが入り込み、攻撃と同時に魔法が発動した。
ホブゴブリンの背中から炎の杭が飛び出していた。
ホブゴブリンはそのまま崩れ去り、消えて行った…
「出来た…」
「シャル! 凄いぞ! 成功じゃ無いか。」
「うん。」
シャルもパイルバンカーが完成した喜びに打ち震えている。
「ナタリーも短縮詠唱なんていつ覚えたんだ? ビックリしたよ。」
「実はこっそり練習してました。」
嬉しそうな笑顔で返事した。可愛いじゃないか。
とりあえず戦闘が終わり落ち着いた所で反省することにした。
「みんなゴメン! 俺のせいで皆を危険な目に遭わせてしまった。」
俺は頭を下げて謝った。
「それは違うのじゃ、あたいらも注意が足りなかったのじゃ。」
「そうだよ~、ダンジョンなんだから油断した私達も悪いよ。」
「だからハルさんは悪く無いですよ。」
「平気。」
「本来で有れば、私が前に出るべきでした。ごめんなさい。」
「いや、ティアが前に出る必要は無いですよ。
それに今回のは、さっき会った冒険者が居ると思って油断した俺が全面的に悪かった。
次からはハッキリと分かるまでは油断しないことと、皆にも必ず周知することにするから。」
「ハル君、頼りにしてるね~」
「頼んだのじゃ。」
「宜しくお願いします。」
「お願い。」
「頼りにしてます。」
許しを得ることが出来たのに甘えないで、しっかり自分の仕事をすることを誓った。
「あの、武器は全部集めました。」
すっかりこの子のことも忘れていたよ(汗)
考えてみれば、この子にも危険な目に遭わせちゃったんだよな…
「君にも危ない目に会わせちゃったよな、すまん。」
「い、いえ、僕は全然戦闘には参加してませんから大丈夫です。」
「報酬に少し色付けるので勘弁してくれな。」
「はい。」
とりあえず戻ることにした。




