地下5階 2
バン!
扉を開け、ビアンカさんを先頭に突入した。
中に居た3つの反応も素早く反応し、こちらに武器を向けて…向けて、あれ?
「アイリ、ティア、ストーップ!!」
魔法を唱えようとした2人を無理やり止めさせた。
どうやら中に居た3つの反応は、俺達と同じ冒険者だった。
俺の合図で戦闘が終了したことで安心したみたいだ。
とりあえず謝っておく。
「すいません、勘違いをして迷惑をお掛けしたみたいです。」
「いや、大丈夫だ。気にしなくていい。」
「そう言って頂けると助かります。休憩中でしたか?」
「ああ、今さっき戦闘が終わってな、ちょっと休んでいた所だったんだよ。」
どうやらこういったことは有り得ることらしく、それほど気にした様子は無かったのは助かった。
しかし、考えてみれば分かることだが、このダンジョンは俺たち以外も潜っている。
反応が有ったからと言ってむやみやたらと攻撃したら間違いが起こることだって有るかもしれない。
もう少し気を付けて行動する様、気を付けることにする。
冒険者達と別れ、再び探索することにした。
小部屋の反対側の扉を抜けると左右に通路が伸びていた。
地図から判断して右側から攻略していくことにした。
少し進むと前方に反応が有った。
「前方に反応が4つ、注意してくれ。」
「分かったのじゃ。」
ビアンカさんが盾を構えて前に出て、アイリさんとティアさんが魔法の準備をする。
現れたのはゴブリンだったので、魔法の先制攻撃を仕掛ける。
「炎の矢!」
「アイスウォーターアロー!」
炎と氷の矢が飛んでいき、左右のゴブリンへと命中! 倒れて動かくなった後に消えたので倒せたみたいだ。残り2匹!
ビアンカさんが前に出たので2匹の攻撃を盾で受ける。
ガンガン!
そこにシャルと俺が攻撃を仕掛ける、俺はゴブリンで、シャルがホブゴブリンだ。
え? 逆だって? 妥当だと思うぞ?
今回の俺の攻撃は見事にゴブリンの首を切り裂き倒すことが出来た。
シャルの拳は、ホブゴブリンの脇腹へと突き刺さり、その後燃え上がった。
またパイルバンガーを試したのだろう。
火が消えた時にはホブゴブリンは倒されたみたいで、そのまま消えて行った。
「ハル様、出来なかった。」
シャルは悔しそうだ。
「シャル、炎は飛ばせるようになったか?」
俺は宿題の結果を聞いてみたが、シャルは首を振って否定した。
どうやら飛ばすのはダメだったみたいだ。
「シャルには何度か教えて見たのですが、ダメでした。」
ティアさんがそう言ってきた。
専門の人に教えて貰ってもダメだったってことは、もしかすると相性みたいな物も有るのかもしれないな。
ティアさんが遠距離特化に対し、シャルは近距離特化とかそんな感じだ。
だとしたら炎を飛ばすのは難しいのかもしれない。
パイルバンガーは意外とシャル向けで、アッサリ覚えるのかもしれないな。
「シャルよ、炎を出すときにどうイメージしている?」
「えっと、炎の塊を押し出す感じ?」
「塊ってどんな塊だ?」
「こうギュッとした感じ。」
シャルがおにぎりを作る様な感じにギュっと握った。
「なるほど、ちなみに俺はこの魔法を使う時は、杭を打ち込むイメージをしている。」
「杭?」
「ちょっと待って。」
俺はゴブリンの棍棒を1本取り出し、ナイフで鉛筆を削る様に削っていく。
先が尖った状態になったら、50cm位の所で切った。
出来上がった杭をシャルへと渡す。
「これが杭だ。」
シャルが杭をマジマジと確認している。
「敵に攻撃を当てた後に、この杭を相手へと打ち込むのがパイルバンカーの仕組みだ。」
俺が空中で殴るポーズを取り、その後にパイルバンカーを発動させた。
炎の杭が一瞬打ち出されるのが見えた。
「どうだ?」
「やってみる。」
「杭を打ち出すときは全力だぞ?」
「うん。」
シャルが先ほど俺がやった通りにパンチを繰り出し、その後炎の杭を打ち出す!
「杭と言うよりは棒だな…」
炎の太さは良い感じだったが、先端が尖ってなかった。
これでは打ち込むことは出来ない。
「シャル、イメージが足りて無いぞ。」
もう一度杭を渡し、しっかりと観察をさせてみた。
シャルはしっかりと杭を観察し、イメージをしているみたいだ。
「まぁ、ダンジョンを出てからゆっくり覚えれば良いさ。
戦闘で武器も入手出来たし、戻ろうか。」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
俺達は来た道を辿り戻ることにした。




