ボス戦?
最期の空間が有ると思われる場所に行くと、何人かの人が居た。
良く見ると、順番を守っている様にも見えるな。
とりあえず声を掛けてみることにした。
「すいません、この先って行けないんですか?」
「なんだ、ここは初めてか?」
「ええ、初めてですね。」
俺がそう言うと、納得した顔をした。
「ここはな、ボス部屋だ。」
「ボス部屋!?」
来た来た来た、テンションが上がるじゃないか、ボス部屋と言うと巨大な敵をみんなで力を合わせて死闘を行う。
だけど、この世界だと負けると言うことは、そのまま死んじゃうんだよな、そう考えると彼女達に無理はさせられらないよな。
「おい、どうした、ビビったのか?」
「そうですね、彼女達を危険な目に会わせたくないので、どうしようか悩んでました。」
「そんな弱気でよく冒険者なんてやってられるな、ゴブリンが倒せるなら大丈夫だと思うぞ?
なんせ、ここのボスはホブゴブリンが1匹だからな。」
「え? ホブゴブリンなのにボスですか? まぁ、戦ったことが無いのでどのくらい強いのか知りませんが。」
「その気持ちは分かる。ただな、ここのホブゴブリンは扉を開くたびに復活するのに加え、必ず武器を持って居るんだ。稼ぐのには持ってこいなんだよ。」
「なるほどね。でも、ホブゴブリンなら地下5階にも居ますよね? そっちの方が稼げませんか?」
「馬鹿か? 下に行ったらホブゴブリンが同時に3匹だぞ? 無理だ無理!」
ホブゴブリンってそんなにも強いんだ、これは気を引き締めないとな。
「参考に聞きますが、ホブゴブリンってどのくらい強いんですか?」
「そうだなぁ~、ゴブリン以上、オーク以下って所かな。」
「何じゃ、その程度か。」
ビアンカさんがそう言ってきた。
「いやいや、お嬢ちゃん、あんたみたいな子だと1撃で倒されちゃうぞ?」
「オーク以下何じゃろ? なら問題無いのじゃ。」
「まぁ、俺は忠告したからな、精々気を付けるこった。」
「分かったのじゃ。」
「とりあえずここを通るには並ばないと駄目なんですよね?」
「そうだ。」
「わかりました。では並ぶことにします。」
俺達は列の一番最後に並ぶことにした。
「とりあえずここのボスはホブゴブリンが1匹と言う話なので、これからボス戦に挑戦してみることにします。
おそらく階段も見つかると思いますので、倒したら今日の探索は終わりにしようと思うんだけど、どうかな?」
「いいよ~」
「私も大丈夫です。」
「倒す!」
「ホブゴブリンがどのくらいか確かめるのじゃ。」
「頑張ります。」
待つこと数分、扉が開き、3人の冒険者が出てきた。
3人とも前衛らしく、片手剣を持って居た。おそらく囲んでのタコ殴りをしたのでは無いだろうか?
3人は俺達の後ろに並んだので、もう1度戦うのだろう。
次のグループも同じ感じの3人組が扉の向こうに消えていった。
暫くして出た来たが、1人腕を少し切られたみたいだ。
「ちっ、しくじった。」
「どうする? HPポーション使うか?」
「そうだな、もう1回戦うし、元も取れるし使わせてもらおう。」
そんな感じの会話がされていた。
そうだよな、怪我をすると色々とお金も掛かるし面倒だよな。
その点、俺達は自前で用意出来るし、ナタリーさんも居るし、多少の怪我なら気にする必要も無いのは有難いな。
「次は俺達の番だな。」
先ほど声を掛けてたオッサンの番だ。
折角なので声を掛けてあげることにした。
「頑張ってきてくださいね。」
「おうよ!」
そう言ってオッサンは一人で部屋に入って行った。
え? 1人? PT組んでないの!? 大丈夫か?
そんな俺の心配も他所に、オッサンは直ぐに部屋から出てきた。
どうやら問題無かったみたいだ。
「これで今日は旨い酒が飲める!」
嬉しそうな声をしながら帰って行った。
…まあいいか。いよいよ俺達の番だ。
「行くよ。」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
扉の中に入ると、1匹のホブゴブリンが居た。
俺達を見つけると、襲い掛かってきた。
ホブゴブリンの得物はロングソードみたいだ。
「任せるのじゃ!」
ビアンカさんが前に出てホブゴブリンの攻撃を防ぐ。
どうやら問題無さそうだ。
そこにシャルが武器を持って居ない左から攻撃を仕掛ける。
それを見たホブゴブリンがシャルを攻撃しようとした瞬間。
「甘いのじゃ!」
ビアンカさんが盾をホブゴブリンへと叩きつけた。シールドバッシュか!
一撃を受けたホブゴブリンがよろけた隙にシャルの一撃が脇腹へと突き刺さる。
「グギャ!」
悲鳴らしき言葉を発し、後ろへと下がった。
武器を落とさなかったのは流石だな。
だが、俺も居ることを忘れて貰っちゃ駄目だぜ?
ホブゴブリンの右側に居た俺は、相変わらずの卑怯な攻撃でホブゴブリンの手へ攻撃を仕掛ける。
「ギャー!」
攻撃を受けた痛みでロングソードを取り落としてしまった。
まぁ、その後はシャルによる一方的な撲殺だったのはご愁傷様としか言いようが無かったが…なむ。
見事ボブゴブリンを撃破することが出来た。
「あっけなかったの。」
「1匹だけだしな。」
「じゃが、あの程度なら3匹来ても問題無いのじゃ。」
「まぁ、今回はここまでにして帰ろうか。」
壁際に地下5階への階段も見つけたしな。
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
俺達は部屋を出た後は、ショートカット使ってダンジョンを後にした。
 




