解体講習 1
長くなったので分けます
冒険者ギルドへ到着した、まだ時間にはちょっと早いが、遅れるよりは全然良い
「やっぱりこの時間だと、少し空いているな」
折角なので掲示板を確認してみることにした
いつもと言っても2回だけだが、常時依頼しかやったこと無いので、他のもやってみたい
だけど時間が遅いため、たいした依頼はやっぱり残ってないか…
お、初心者定番の依頼があるじゃないか
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【配達依頼】
目的 :荷物を王都の冒険者ギルドまで運搬
期限 :10日
成功報酬:(金貨1枚)
依頼失敗:荷物の紛失、期限の超過
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確か王都ってここから馬車で5日位で行けるんだっけ?
そういえばゴードンさんが王都に行くような話していたよな、いつ行くかは聞いてなかったけど、もう出発しちゃったかな?
一緒に行けるんだったらこの依頼受けても良いかもしれないな、後でゴードン商会に行ってみるか
そろそろ丁度良い時間になったので窓口へ行くことにした
「ナタリーさん、こんにちは」
「ハル様、お待ちしておりました。
本日は解体講習となっておりますので、ギルドを出て建物の裏に回って下さい。
解体小屋がありますので、そちらにいるヘンリーさんが対応して下さいます。
何か質問は有りますでしょうか?」
「大丈夫です、それでは行ってきますね」
「ガンバッテクダサイ」ボソッ
何か聞こえた気がしたが、ナタリーさんは別の仕事の対応している、たぶん仕事の確認で独り言を言ったのだろう
まぁ、気にすることでもないか
俺はギルドをでて解体小屋へ向かうことにした
「ここかな?」
少し大きめの小屋が有ったので入ってみる
「こんにちは、ヘンリーさんって方はいらっしゃいますか?」
小屋の中は石の床になっており、すこし斜めになっている、一番下の所には溝があって排水溝みたいな穴が有った
部屋の隅にはテーブルがあり、血を洗い流すためか井戸も有った
壁にはいろいろなサイズや形のナイフが掛かっていた
どうやらここで間違いなさそうだな
そんなことを考えていると後ろから声を掛けられた
「お前が今日の受講者のハルか?」
「はい、そうです。
えっと、ヘンリーさんでしょうか?」
「そうだ、俺が今回の講師のヘンリーだ、よろしくな」
「ハルです、こちらこそ宜しくお願いします」
ヘンリーさんはよくある肉屋のオヤジって感じの恰幅のいい人だった
正直、この仕事以外はあり得ないってくらい似合いすぎると思った
「じゃあさっそく講習を始めるぞ!
まず確認だが、ハルは獲物を狩った後はどうしてる?」
「ホーンラビットしか狩ったことが無いのですが、首を切って逆さまにして血を抜くくらいしかやっていません。
必要、不必要な部位もわからないってのもありますが、解体の技術もないため、そのまま納品してました」
「そうか、まあ及第点って所だな。
中には倒してそのまま持ってくるヤツも居てな、肉が臭くなって安く買い取るしかできなくなるのもあるからな。
その点、ハルはしっかり血を抜いているから、その点では問題ないな。
後、良いことを教えてやろう!
1匹そのまま納品した場合の依頼料ってのは、実は解体費を引いた金額なんだ。
だから自分で解体して持っていくと、依頼料が1.2倍になるぞ」
「マジですか?
それじゃ、ホーンラビットの場合は銅貨1枚と鉄貨2枚になるって事ですか?」
「そうだ、まあホーンラビット自体安いから大した金額にはならないが、これが大物だったら?」
「うはうはですね」
「そうだ、うはうはだ、がっはっはっはっ。
まあ、大きければ大きいほど解体は大変になるがな。
だから、場合によっては手数料を取られたとしても、持ってきた方が楽の場合もあることを覚えておけ」
「わかりました」
「じゃあ、次の質問だ。
ハル、お前は何で解体を覚えたいと思った?」
「ホーンラビットを狩って運ぶにあたり、1匹の重さがあって数を運べないから、解体して軽くすれば、多く運べて儲かるかなと」
「その考え方は合ってるぞ。
ただし、魔物の種類によって必要な部位、いらない部位が違ってくるから難しいがな。
だが、大きく分けると結構簡単になる。
小型の魔物は皮と肉のみ、中型だと皮と肉と場合によっては角や骨の一部、大型になると全部だな」
「大型の全部って血液もですか?」
「そうだ、大型の魔物の血は薬や増強剤等になる。
ただ、これは動物系魔物の場合だ、人型になるとちょっと違ってくる。
大きさに変わらず皮と場合によっては角や骨、臓器の一部だ、肉は売れない。
全く食えないって訳では無いんだが、どうも人型ってだけで嫌悪感からか、ほぼ売れないし値段も付かないのが売れない理由だ。
ただし、オークやミノタウロスとかの豚や牛の魔物は別だ、あれは家畜とみなされるため肉も売れる、実際旨いしな。
そんな感じだ、分かったか?」
「はい、あと質問なのですが、動物や人型以外の魔物の場合はどうなるんです?」
「難しい質問だな、その魔物次第ってことになる。
依頼とかで受ける場合は、事前に調べておくことをお勧めする。
まぁ、例外と言えばドラゴン系、トレント系、ゴーレム系は大型小型関係なしに全部売れるぞ?
そうそう、例外と言うかなんと言うかゴブリンが居るだろ?あれは駄目だ全部売れない。
だから、そう言った売れない系魔物は、討伐証明が必要になるって訳だ。
以上だ、何か質問は?」
「魔物には魔石とかって有るんですか?」
「魔石か、新人冒険者なのによく知ってたな、魔石は有る。
ただし、どの魔物にもある訳ではない、有るのは進化した最上位個体だけだ。
先ほどゴブリンの話をしたが、例外がこの魔石だ、最上位固体のゴブリンキングだけが魔石を持っていて売れる。
魔石は貴重で高値で取引されている、運よく見つけることが出来たらラッキーだな。
まあ、最上位個体と戦う以上、生きていれば良いけどな、あっはっはっはっ」
「まー今の自分には無理っすね、今は知識だけ持ってるだけにしておきます」
「そうだな、身の丈にあった生活するのが一番だな。
他に質問が無ければ解体の実技の方に移るがどうだ?」
「問題ありません」
「よし、じゃあ解体の実技を行う」
いよいよ次は実技だ、頑張るぞ
ナタリーさんが頑張ってます