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今日の結果


ダンジョンを出た俺達は宿屋へと戻ってきた。

ホーンラビットの肉は1匹銅貨1枚にしかならないし、お金に余裕もあることから自分たちで消費することにした。

それにしても、今日は初日で色々と調べるのに時間を取ってしまったにも関わらず、ホーンラビットの肉が20匹分も取れた。

探す手間もあまり無いし、ダンジョンが稼ぎやすいってのも本当なのだろう。

地下2階でこれなんだし、もっと下りればもっと稼げるようになるのだろう。


さて、ダンジョンをマッピングして気が付いたことが幾つか有った。

まず、10m×10mが1ブロックなのは間違い無いだろう。壁の厚さも1ブロックだった。

そして、地下1階は9×9ブロックで、地下2階は11×11ブロックだった。

おそらく地下3階も東西南北に1ブロックづつ増えて13×13ブロックになるんじゃないかと想像している。要はピラミッド状態だ。

よって、下に降りるたびにマップが広大になり探索が大変になって行くのだろう。

ちなみに購入した地下1階の地図はサイズから言うと10×13くらいの大きさになっていたので、1階の時点でこれなら、下の階の地図の正確性はお察しの通りなのだろう。


他に分かったことは、魔物は結構な頻度でリポップするということだ。だってダンジョンで何人かの人とすれ違っているのにも関わらず、それなりに戦闘になったからだ。

どういう理屈でリポップするのかは分からないが、これは追々調べて行けば良いだろう。

今回たまたま遭遇しなかったたけなのかは分からないが、足元のリポップが無かったのは幸いだった。

もし、足元にも魔物が沸くとなると、ダンジョン内でのキャンプは無理なのでは無いだろうか?

なので、人のいる場所には魔物は沸かない説を是非とも推奨したい(笑)

それか、リポップする際に何か分かりやすい何かが有ることを期待しよう。


「それじゃ、今日はお疲れ様~」


「「「「「お疲れ様~」」」」」


今、俺達は初ダンジョンから無事に戻ってこれた打ち上げ中である。

まぁ、地下2階にしか行ってないが、それでも無事に戻ってこれたのは喜ばしい物だと思う。

少しは羽目を外しても良いと思おう。


「ハル君ハル君~♪ 今日は私だよね? ね?」


お酒を飲んで陽気になったアイリさんがやってきた。


「違う、シャルの番。」


そこにシャルも参戦。


「良い度胸じゃない? こういう物は年上に譲るものよ?」


「平等。」


「くっ…な、なら勝負よ!」


アイリさんとシャルでじゃんけん勝負を行っていた。

力による解決で無くて良かった。


「勝ち。」


シャルがドヤ顔していた。


「ハルく~ん、負けちゃったよ~!!」


アイリさんが抱き着いてきたので、頭を撫でてあげた。


「よしよし、勝負なんだし、仕方ないよ。

 俺の国には、『残り物には福が有る』って言葉も有るし、最後も悪く無いと思うぞ?」


「ホント? 本当に何か良いこと有るのかな?」


「た、多分?」


「何だろう? 楽しみだな~♪

 この前指輪は貰ったから…今度は…うふふふっ♪」


これは何か用意しておかないと駄目なパターンか?

余計なことを言ったかもしれない…


「ハル様、飲んでいらっしゃいますか?」


今度はティアさんがやってきた。


「もちろん。ティアは?」


「はい、頂いております。」


確かにティアさんの顔がほんのりと赤くなっているので、その通りなのだろう。


「今日は初めてダンジョンに入ったのですよね…無事に帰ってこれて良かったです。」


ティアさんが何かを思い出したような愁いを持った表情で言ってきた。

そう言えば、ティアさんの旦那さんはダンジョンで無くなったんだっけ。


「大丈夫です。ティアのことは俺…じゃ無くてビアンカが守りますから!」


「…そこは嘘でも俺がと言って欲しかったです。」


「言いたいのはやまやまなんですけどね。俺守りはあまり得意じゃ無くて…

 いえ、そうですね、俺が守りますので安心して下さいね。」


「はい♪」


「はいは~い! 私は?」


「守るぞ。」


「やった~」


「あ、あの、私は?」


「もちろん守ります。」


「シャルは?」


「今まで守らなかったか?」


シャルは首を振ってくれて否定してくれた。


「それは、あたいもか?」


「うっ…も、もちろんだ!」


逆に俺が守られる立場になりそうだが、そう言っておくことにした。

言われたビアンカさんも満更でない顔をしていた。

宴も終わり、俺はシャルを連れて2人部屋へと戻ってきた。


「シャルが話せるようになってから、こうして2人っきりになったのは初めてか?」


シャルが頷いた。


「そっか、でも、本当にシャルが話せるようになって良かった。

 まさかこんなにも可愛い声が聴けるとはな、可愛いとは思ってはいたが想像以上だったよ。」


「うん。これもハル様のおかげ。」


俺が褒めたからか、シャルは赤くなって俯いてお礼を言った。


「そかそか、頑張った甲斐が有ったよな。」


ふと、思ったことを聞いてみることにした。


「なぁ、何で俺のことは、ハル様なんだ?

 もっと気軽に呼んでも構わないぞ?」


すると、シャルが首を振って説明してきた。


「お母さんに、奴隷なんだから区別しなさいと言われた。」


「俺はシャルとティアを奴隷とは…」


「知ってる。」


「なら。」


「ハル様には本当に感謝してる。

 でも、他の人から見た場合、ハル様に迷惑が掛かる…だから…」


多分だが、奴隷なのに同じ立場で付き合うと、色々と面倒なことが起こるのだろう。

それが分かっているから、こういう呼び方をするってことか。


「俺の為か…気を遣わせちゃったな。」


「いい、シャルの方が一杯気を使われている。

 それに、ハル様の奴隷なら、ハル様の物と感じられるから、嬉しいです。」


「そっか、ありがとな。」


俺は照れ隠しも踏まえて、シャルの頭をワシワシと撫でた。

グチャグチャになる頭にシャルは少し嫌な顔をした。


「さてと、湯あみをしたらさっさと寝るか。」


俺がそう言うと、シャルはスポポポンと服を脱ぎ捨てた。


「洗う。」


シャルがそんなこと言ってきた。俺はティアさんの言葉を思い出した。


「あのな、知らなかったからってのも有ったけど、狐の獣人はシッポは他の人に触らせちゃ駄目なんだってさ。

 そう言う訳だから、自分で洗えるか?」


「嫌。」


「嫌って、そうは言ってもなぁ…」


「今まで沢山触った。大丈夫。」


「いや、しかし…」


「駄目?」


シャルが泣きそうな顔で懇願してきた。

え~っと、どうしましょう?


(まだ知らなかったと言うことであれば仕方ないでありんすが、知った後も触ったのならば…)


俺はすでに知ってしまっている、触ると言うことはそう言うことになる訳だ。


「だ、だからね? シッポは夫になる人じゃ無いと触っちゃ駄目なんだって。

 シャルも大きくなった時に好きな人と結婚するだろ? 俺が触っちゃ駄目なんだよ。」


「だったら大丈夫。」


「いや、だからね?」


「その話しはお母さんから教えてもらった。

 シャルは、ハル様が大好き。将来はお嫁さん。だから大丈夫。」


「えっと…」


「それに指輪も貰った。」


一人だけ無いのも可哀相と思ったのが仇になったか?

いや、別にシャルが嫌いって訳じゃないよ? 狐の獣人って理由を抜いても十分に可愛いし、将来みんなが羨むような美人さんになる可能性も高いとは思っている。

だけど正直今の所、今は妻と言うよりは娘なんだよなぁ…成長すれば違うんだろうか?


「シャル、気持ちは凄く嬉しいんだけど、シャルの今の気持ちは助けてもらったから、もしくは父親みたいな感じの好きなのかもしれないと思ってる。

 だからシャルが大きくなるにつれて本当に好きな人が出来るかもしれないし、もしかしたら本当に好きなのかもしれない。

 もし、本当に好きだったとして、シャルが結婚できる年齢になってもその気持ちが変わらなかったら、その時はシャルの気持ちに真剣に考えたいと思うんだが、ダメか?」


「うん…」


シャルが悲しそうな顔をして、シッポも垂れ下がってしまった。

可哀相だし罪悪感も半端ないが、こればっかりは仕方がないし、諦めて貰うことにする。

シッポ以外は大丈夫みたいなので、そっちは洗ってあげた。

自分の湯あみも済ませ、寝ることにした。


「ほら、シャルおいで。」


シャルが布団に潜り込んできたので、抱っこする感じで横になった。


「じゃあ、お休み。」


「おやすみなさい。」


明日のために寝るのだった…ぐぅ…


真面目にシャルの将来はどうしよう…

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