初ダンジョン 3
ブックマークが777だった。
何か良いことでも有ります様に…
「お、スライム見っけ!」
やっぱり地下1階と同じ程度の割合でスライムは居るみたいだ。
松明で火を点けて明かりを確保する。
「やっぱり便利よね、コレ。」
アイリさんが燃えるスライムを指差して言っている。
俺もそう思う。
少し歩くと、再び広い場所に付いた。ん? 居るな…
「右斜め前に2、左斜め前に1、気を付けて!」
「「「「「はい!」」」」」
先に左の1体を倒すことにした。
左の反応へ向かうと、そこにはスライムが居た。
「なんだ、スライムか。」
そう思ったとたん、もう2匹がこちらに気が付き、走ってきた。
「向こうから2匹が来た、おそらくホーンラビット!」
「任せるのじゃ!」
ビアンカさんが盾を構えて前にでる。
「ティアは火魔法でスライム焼けるか?」
「やってみます!」
『炎の矢!』
ティアさんが短くそう唱えると、炎の矢がスライムへと飛んでいき命中した。
スライムは燃え上がり、辺りは明るくなった。
「へぇ? 短縮詠唱ね。」
アイリさんがビックリしている。
ガイン! ガイン!
ビアンカさんが2匹のホーンラビットの攻撃を防いだ音が聞えた。おっと、こっちに集中しないとな。
「シャルは右、俺は左をやる!」
「うん。」
盾に突っ込んだ御蔭で動きが止まったホーンラビットに向けて短槍を突き刺した。
シャルも同時に殴り掛かったみたいだ。
「…ふぅ。」
無事にホーンラビットは倒すことが出来、肉が2つ落ちていた。
地べたに落ちているんだが、衛生的に良いんだろうか…
多分洗ってから食べるんだろう。そう言うことにしておこう。
とりあえずアイテムボックスに収納しておく。
「ティア、やるじゃない!」
アイリがティアさんを褒めている。
「そ、そうですか?」
「まさか短縮詠唱出来るとは思わなかったよ。」
「アイリ、そんなこと言ったら、ハルさんだって詠唱して無いですよ。」
「それは…ハル君だから? 後は、生活魔法だからそんなもんなのかなって思ってた。」
言われて思い出したらしい。随分アイリさんの前で魔法使っていたと思ったんだけどな…
「でも、アイリも短縮詠唱出来たよね?」
「私は簡単な物しか出来ないんだよね~」
「私は全く短縮詠唱って出来ないんですが、どうやるんでしょうか?」
ナタリーさんが聞いてきた。
「そうだなぁ~、そもそも魔法を使うのに呪文って決まってないじゃんか、だったら唱えなくても良いんじゃない?」
「そうなんですか? 聖魔法は教本に書いてあったのでそのまま使っていたのですが、難しいんですよね。」
「参考にだけど、ナタリーは魔法ってどうやって発動しているんだっけ?」
「私ですか? 魔力を集めて、結果をイメージしながら呪文を唱えて…」
「そう、それ!」
「え?」
「結局魔法ってイメージじゃんか、過程から結果までのイメージさえ出来ているんだったら呪文なんて要らないじゃん?」
「…そういう物でしょうか?」
「はい。ハル様が言っている通りですよ。」
「ほれ見ろ。」
「案外私の頭って固いのでしょうか?」
「ナタリーは何回か回復魔法を使ってるよね? 結果が分かっている魔法なら上手く行くんじゃないのか? 試してみれば?」
「えっと、怪我して無いと回復魔法は…」
その時何も無い空間に吹雪が発生した。
「あ、出来た~!」
アイリさんが魔法を使ったみたいだ。
「ハル君ハル君! 今まで簡単な魔法だけしか使えなかったけど、複雑なのも出来る様になったよ~
なる程ね、過程と結果さえ分かれば出来るんだ。勉強になったよ~」
「アイリ、凄い!
私も出来るのでしょうか?」
「ナタリーなら出来るよ。今度怪我した時にお願いするね。」
「頑張ります!」
「それにしても、ティアは火魔法を飛ばせるんですね。」
「ええ、取り柄がそのくらいでお恥ずかしいのですが。」
「いえいえ、十分だと思いますよ。
それに、シャルは魔法を飛ばすのに苦労しているみたいですし、教えてあげられればと思いまして。」
「そうなの? それじゃあ、今度教えてあげましょうね。」
「うん。」
「じゃあ、先に進もうか。」
俺達はさらに奥へ進むことにした。何度か戦闘が有ったが特に危なげも無く、3階に降りる階段を見つけることが出来た。
「降りるの?」
「いや、今日はここまでにしよう。」
「そうじゃの、先人も言って居るしな、ギリギリまで頑張るのは愚か者のすることだって。」
「そうですね。」
「じゃあ帰るぞ~」
「「「「「は~い(なのじゃ)。」」」」」
帰りはマップが有るのですんなりと外に出ることが出来た。
「出られた~」
「眩しいのじゃ。」
「お疲れ様でした。」
「無事に戻ってこれて良かったです。」
「戻った。」
こうして初ダンジョンは何事も無く戻ってくることができた。




