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ティアさんと


「それじゃ、また明日ね~」


「頑張るんじゃぞ。」


「ハルさんを宜しくお願いします。」


「お母さん、ズルイ…」


「えっと、私で良いんでしょうか?」


「はいはい、そういうの禁止ね、私達は平等でしょ?」


「でも、奴隷で…」


「ハルは奴隷とかそんなこと言ったかの?」


「そうですよ、それにきっとその内ハルさんが奴隷も関係なくしてくれると思いますよ。」


「はい。ありがとうございます。」


「じゃあハル、後は任せたのじゃ。」


「あ、ああ。」


俺に関係なく話が進んでいき、ティアさんと一緒の部屋で寝ることになってしまった。

これってそう言うことだよな? でも良いんだろうか? ってみんながそう言う風に仕向けているみたいだし、良いんだろうな。


パタン…


2人部屋にやってきた。

今までティアさんとシャルが使っていた部屋だ。

何か緊張してきた。


「と、とりあえず座ろうか。」


「はい。」


俺がベットに座ると、ティアさんがすぐ横に座ってきた。

ぴったりとくっ付き、俺の太ももに手を乗せている。

俺の心臓はドキドキだ。


「あ、あの、ティアさん、近いです。」


「お嫌ですか?」


「い、嫌じゃないです。」


なんだこれ、ティアさんが物凄く大人と言うか色っぽい。これが人妻と言う魅力なんだろうか?

とにかくフェロモン(?)が凄い、頭がクラクラする…


「私はシャル共々、ハル様に助けて頂きました。でもそれとは関係無く、ハル様をお慕い申し上げております。」


「う、うん。」


ティアさんが俺の太ももにのの字を書くように指を這わせている。

くすぐったいような気持ちいいような不思議な感覚だ。

もう辛抱堪らん!


「て、ティアさん!」


「はい。」


「今だけで良いので、一つお願いしても良いですか?」


「ハル様のお願いでしたら、一つと言わず何でも聞いてあげますよ。」


「で、では…」


ゴクリ…

良いのか? 言って良いのか? 言っちゃうよ?


「あ、あの…」


言え! 言うんだ!


「ティアさんのことは『わっち』、俺のことは『ぬし』、言葉の最後に『ありんす』って付けて話して貰っても良いですか!」


「はい?」


ティアさんは素っ頓狂な声を上げた。

分かってる、変なことを言ったのは分かっているんだ、でも、これだけは言ってみて貰いたいんだあああぁぁぁぁ~~~!!


「えっと、ぬし様は、わっちがこういう言葉使いをして欲しいでありんすか?」


「最高です!」


狐様が廓言葉で話してくれると言う、長年の夢が今叶った!!


「我が人生に一片の悔いなし!!」


あ、死ぬまでに言ってみたいNo.2セリフを今言うことが出来た。

まさか、こんな所で言うことになろうとは…

残りのNo.1も、いつかは言ってみたいものだ。


「そうですか、主様がそうおっしゃるのでしたら、わっちは頑張りとうござりんす。」


「いえ、嬉しいですが、言葉遣いを強要…してますね。はい。

 じゃなくて、普段は普通で構いませんから、今だけ…この瞬間だけで良いです。」


「ちなみに、これは何処の言葉なのでありんすか?」


「俺の故郷で廓言葉って言うんだけど、詳しくは知らないんだよね。

 本来ならもっと複雑な言葉使いなんだけど知らないからなぁ~

 だからさっきの3つくらいで充分かな。」


「それでは、わっちとぬし様の2人だけの秘密でありんすか?」


「そうだね、秘密だね。」


「ぬし様と秘密の共有、わっちは嬉しいでありんす。」


ティアさんが俺の方にコテンと頭をくっ付けてきた。

ふわっっとティアさん特有の良い匂いが俺の鼻をくすぐった。

そして、ウルウルとした瞳での上目遣いでお願いしてきた。


「わっちは、ぬし様のお情けが欲しゅうでありんす。」


お情けってそういうことだよな? 確か時代劇でそんなこと聞いた記憶が有るぞ。

つーかそろそろ理性の限界が近い、つーか廓言葉で話されてるので俺の心にダイレクトアタックされ続けている。


『もうやめて! ハルのライフはもうゼロよ!』


何処かで幻聴が聞こえた気がした。あ…もうアカン…


ガバッ!


俺はティアさんに抱き着いた。


「あぁ…ぬし様…わっちは嬉しいでありんす…」


パタパタと動いているシッポを触りたい衝動に負けてギュっと握った。

ティアさんの体が跳ねあがる。


「ぬ、ぬし様…良いことを教えてあげるでありんす。」


「・・・・」


俺はティアさんのシッポに夢中だ。

ティアさんが息も絶え絶えに話す。


「他の…獣人族の人は分からないでありんすが、狐の獣人のシッポは…番いにしか…触らせてはいけない決まりが…ありんすよ。」


「え?」


「わっちが、ぬし様に触らせているのは…ん…そう言うことでありんす…」


確かにさっきからにぎにぎしていたが、全く嫌がってないってことは…そういうことか。

あれ? でもそう言う理由ってことは!


「俺、シャルの体を洗う時にシャルのシッポを握って洗っちゃったぞ!」


「シャルには…まだ…あん♪ その話をしたことが無いので…知らないでありんす…

 シッポはとても敏感な部分なので…ひぅ! 普通はとっても嫌がるでありんす。

 でも、ぬし様に触らせるってことは…心を許している…証明になるでありんす~~!! はぁはぁ…」


ティアさんがビクビクと反応した後に、ぐて~っと力が抜けてしまった。

しまった、あまりのシッポの気持ちよさに手が止まらず、モフりまくってしまった…

ティアさんが目で何かを欲している様な顔をしていた。


「そうすると、俺はシャルのつがいにならないと駄目なのか?」


「まだ知らなかったと言うことであれば仕方ないでありんすが、知った後も触ったのならば…」


「責任取るしかないってことか。」


ティアさんは頷いた。

う~ん…ティアさんのシッポも最高だが、シャルのシッポもまた違った意味で最高なんだよな。

あれを諦めるなんてとんでもない! だけどなぁ…


「ぬし様、獣人族は早く大人になるため成長が早いでありんす。その辺を考えてくれると助かるでありんすよ。」


言われてみると、シャルは年齢にしてはずいぶん大人っぽいと言うか、成長している感じがしなくもないよな。これは下手なことは出来ないってことだ。心に留めておこう。


「ぬし様…今はわっちのことだけを見てくれると嬉しいでありんす。」


「ティア…」


もう無理でした…

こうして夜は更けていくのであった。


やっぱり廓言葉は良いな。

難しいから今回しかやらないけど…(汗)

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