ティアさんとデート 3
武器屋へ向かっている途中だが、腹が減ったな。
「ティアさん、お昼にしませんか?」
「そうですね。」
「何か食べたい物って有りますか?」
一生懸命考えている…が思いつかなかったみたいだ。
辺りをキョロキョロをして、とりあえず屋台が目に入ったみたいだ。
なんかシャルと行動がソックリだな、さすがは親子だ。
「ん~、あそこの串焼きなんてどうでしょうか?」
「では行きましょう。」
「はい。」
串焼きの屋台までやってきた。
「いらっしゃい。」
「串焼きを…ティアさん何本食べます?」
「それでは3本ほど頂ければと思います。」
「じゃあ、6本貰えるか?」
「まいど、1本鉄貨2枚だから銅貨1枚と鉄貨2枚だ。」
お金を支払い、串焼きを受け取る。
「向こうで食べようか。」
「はい。」
ベンチが有ったので座り、ティアさんに串焼きを渡す。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ、食うか。」
ぱくり…んーまずまずか、可もなく不可もなくだな。
屋台の串焼きだし、こんなもんか。
「美味しいですか?」
「はい。こうして誰かと一緒に食べるととっても美味しいです。
でも、ナタリーさんが作った物の方が美味しいですね。」
「ははっ、そうですね。」
俺とティアさんはあっという間に3本づつ串焼きを食べ終えた。
「じゃあ、武器屋に行きましょうか。」
「はい。」
食事が終わった俺達は、再び武器屋に向かって歩き出した。
武器屋は直ぐ近くに有ったので、さっそく入ることにする。
カランカラン…
「いらっしゃい。」
お、ここの店員はドワーフだ。
「この人の装備が欲しいんだけど。」
「狐の獣人か、良いだろう。
何が欲しいんだ?」
「ティアさん、どんな武器が良いですか?」
「ハル様を守る物が良いですね。」
「えっと、その気持ちは有難いのですが、そう言ったのじゃ無くて…
じゃあ、ティアさんの得意な武器って何ですか?」
「私は恥ずかしながら近接戦闘があまり得意では無くて…その…」
「あ、いえ無理に近接戦闘をすることも無いですよ。
じゃあ、得意なことって何か有ります?」
「火魔法なら使えます。」
「と言うことは、アイリと一緒か、なら杖かな?」
「え? 前に出ないでも良いんですか?」
「良いんじゃない? それとも出たいの?」
「いえ、でも、それだとハル様を守ることが…」
「守りはビアンカが居るし、攻撃はシャルと俺、まぁ、俺は遊撃に近いけど居るし、回復はナタリー、そして属性の違うアイリとティアさんが居れば、俺達のPTはより強くなれると思う。」
「で、でも…」
「逆に慣れないことをして、ティアさんが怪我をする方が俺は悲しい。」
「ハル様…」
「と言うことで、火魔法に強い杖が有ったら欲しいんだけど。」
「ふん…ならこいつだ。」
店主が1本の金属の杖を置いた。
「これは?」
「ダンジョンから出る火属性を含んだ金属で作った杖だ。」
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【ファイアーロッド】
品質B
効果:攻撃力+5
火の鉱石から作られた杖
火魔法を使う場合、ダメージ30%増、魔力消費10%減
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「これ、火魔法を使うティアさんに丁度良さそうだ。幾らだ?」
「金貨10枚。」
「ほらよ。」
俺は即座に金貨10枚を取り出し、支払った。
「ハル様、もっと安い武器で良いです。」
「武器や防具の金をケチるのは、命を捨てるのと一緒だ。」
「良いこと言うじゃないか。他に欲しい物が有るなら言ってみろ。」
「後はナイフが1本、防具用にガントレットに小盾かな。」
「こっちは、全部で銀貨7枚だ。」
俺はお金を支払った。
「良い買い物をさせてもらった。また来るよ。」
「何か有ったら言え、相談にのってやろう。」
「ああ、その時は頼むよ。」
俺達は武器屋を後にした。
店を出て、ティアさんが言ってきた。
「良いんでしょうか?」
「さっきも言ったけど、ティアさんが怪我される方が俺は嫌だ。
この程度のお金でティアさんが無事なら安いもんだ。」
「…ありがとうございます。私、頑張りますね。」
「他に何か必要な物は有りますか?」
「いえ、特には。」
「遠慮はいらないぞ?」
「大丈夫です。」
「そっか、なら帰ろうか。」
「はい。」
そして、再び俺の腕にしがみついてきたティアさんと宿へと帰るのだった。
親子だから似るのではなく、母親を真似するから似るんだと思う。




